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エントロピーがわかる | ||
著者 | アリー・ベン・ナイム/中嶋一雄 | ||
出版社 | 講談社 | ||
サイズ | 新書 |
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発売日 | 2010年07月20日頃 | ||
価格 | 968円(税込) | ||
ISBN | 9784062576901 |
系はいつも低い確率の事象グループから高い確率の事象グループに進む(165ページ)
レビュー

熱、温度、秩序、無秩序、元にはもどらない、時間の矢、宇宙の熱的死‥‥これらは熱力学の第二法則、すなわち「エントロピー」増加則に関係する。だが、「エントロピー」とは一体何なのか――本書は、複数のサイコロを転がす思考実験をすることで、エントロピーを理解することができる。
いままで熱力学の世界の用語であると考えていた「エントロピー」は、じつは統計学や確率学に置き換えて考えることで、すぐに理解できるものだったのだ。もちろん、確率・統計に関する高校生程度の知識は必要ではあるが、大学生でも難解とされている熱力学の第二法則に比べたら簡明なことである。

だが一方で、宇宙のどこへ行っても確率・統計学の公理は成り立つのかという疑問が生じる。その辺は著者も承知しているらしく、「決して」「永久に」などという言葉を太字にするなど、特に注意を払っている。
もし、この前提があやふやなものだとすると、ナンシー・クレスのSF『プロバビリティ・サン』に登場する「確率子」が存在するのかもしれない。

だが一方で、宇宙のどこへ行っても確率・統計学の公理は成り立つのかという疑問が生じる。その辺は著者も承知しているらしく、「決して」「永久に」などという言葉を太字にするなど、特に注意を払っている。
もし、この前提があやふやなものだとすると、ナンシー・クレスのSF『プロバビリティ・サン』に登場する「確率子」が存在するのかもしれない。
(2010年11月1日 読了)
参考サイト
- エントロピーがわかる:講談社
- 『ハイペリオン』シリーズ(ダン・シモンズ/酒井昭伸,2000年11月)
- 『時間はどこで生まれるのか』(橋元淳一郎,2006年12月)
- 『生物と無生物のあいだ』(福岡 伸一,2007年05月)
- 『プロバビリティ・サン』(ナンシー・クレス/金子司,2008年12月)
- 『プロバビリティ・スペース』(ナンシー・クレス/金子司,2009年01月)
- 『大人が知っておきたい物理の常識』(左巻健男/浮田裕,2015年12月)
- 『新版 動的平衡』(福岡 伸一,2017年05月)
- 『新版 動的平衡 2』(福岡 伸一,2018年10月)
- 『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ/冨永 星,2019年08月)
- 『宇宙を支配する「定数」』(臼田 孝,2022年02月)
- 『宇宙の終わりに何が起こるのか』(ケイティ・マック/吉田 三知世,2021年09月)
- 『なぜ宇宙は存在するのか』(野村 泰紀,2022年04月)
- 『宇宙最強物質決定戦』(高水 裕一,2023年02月)
- 『宇宙検閲官仮説』(真貝 寿明,2023年02月)
- 『時間の終わりまで』(ブライアン・グリーン/青木 薫,2023年05月)
- 西暦1824年 - カルノーサイクル:ぱふぅ家のホームページ
- 西暦1874年 - マクスウェルの悪魔:ぱふぅ家のホームページ
- 西暦1877年 - ボルツマンの関係式:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)