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比べてわかる!フロイトとアドラーの心理学 | ||
著者 | 和田秀樹 | ||
出版社 | 青春出版社 | ||
サイズ | 新書 |
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発売日 | 2014年08月02日頃 | ||
価格 | 990円(税込) | ||
ISBN | 9784413044301 |
部分より全体、原因ではなく目的、過去より今。これらを重視するのが、アドラー心理学と森田療法の共通点です。(129ページ)
概要
レビュー

アルフレッド・アドラー
序章から分かりやすい。
脳と心の関係について、「臓器としての脳細胞や神経伝達物質が『脳のハードウェア』だとすれば、心は『脳のソフトウェア』ということになる」(22ページ)と定義したうえで、薬を使って治療する生物学的精神医学の対象は脳で、薬を使わない臨床心理学の対象は心だとする。
脳と心の関係について、「臓器としての脳細胞や神経伝達物質が『脳のハードウェア』だとすれば、心は『脳のソフトウェア』ということになる」(22ページ)と定義したうえで、薬を使って治療する生物学的精神医学の対象は脳で、薬を使わない臨床心理学の対象は心だとする。

カール・グスタフ・ユング
また、神経症について「ハードの部分には何も問題がないのに、あたかも神経に問題があるかのような症状が出る」(24ページ)と解説する。
第1章、第2章では、フロイト、アドラー、ユングの人となりについて解説する。
第1章、第2章では、フロイト、アドラー、ユングの人となりについて解説する。

ジークムント・フロイト
和田さんは、フロイトの治療を原因追求型、アドラーを目的型としたうえで、アドラーと同じ時代に日本で活躍した「森田療法」で有名な森田正馬を取り上げる。そして、「部分より全体、原因ではなく目的、過去より今。これらを重視するのが、アドラー心理学と森田療法の共通点」(129ページ)と整理する。
そして、「森田療法やアドラー心理学は、単に『心の病を治す精神療法』ではありません。より積極的に相手を『元気にする心理療法』だといえるでしょう」と評価する。
一方、症状の重いボーダーライン患者には、森田療法やアドラー心理学では治療が困難なようで、今後もフロイトの影響は残り続けるだろうとしている。
そして、「森田療法やアドラー心理学は、単に『心の病を治す精神療法』ではありません。より積極的に相手を『元気にする心理療法』だといえるでしょう」と評価する。
一方、症状の重いボーダーライン患者には、森田療法やアドラー心理学では治療が困難なようで、今後もフロイトの影響は残り続けるだろうとしている。
第5章で和田さんは、現代社会に必要な心理療法の基本方針を3つ挙げている――思い込みから解放し、対人関係を良好にし、感情をコントロールすること。言われてみれば当たり前のことばかりだが、健常人でもこれらを実践できている人は少ないのでは無いだろうか。
和田さんは、謝罪会見で堂々とした態度で口から出まかせのような言い訳を並べ立てたりする人物がパーソナリティ障害ではないかと疑念を呈する。「アドラー流の目的論でいえば、そういう人は会見でどんなに厳しい質問を受けても、嘘をつくのをやめないでしょう」(153ページ)と指摘する。
また、原則的に治療不可能な反社会性パーソナリティ障害(サイコパス)は「最悪の殺人だけは法律の力で食い止めたいところです」(155ページ)と述べる。
また、学校のいじめ問題については、「アドラーのいうように、別のことで注目される、以前のような成績優秀者やスポーツなどで評価されるシステムが再確立されるほうが望ましいかもしれません」(167ページ)と意見提起する。
和田さんは、謝罪会見で堂々とした態度で口から出まかせのような言い訳を並べ立てたりする人物がパーソナリティ障害ではないかと疑念を呈する。「アドラー流の目的論でいえば、そういう人は会見でどんなに厳しい質問を受けても、嘘をつくのをやめないでしょう」(153ページ)と指摘する。
また、原則的に治療不可能な反社会性パーソナリティ障害(サイコパス)は「最悪の殺人だけは法律の力で食い止めたいところです」(155ページ)と述べる。
また、学校のいじめ問題については、「アドラーのいうように、別のことで注目される、以前のような成績優秀者やスポーツなどで評価されるシステムが再確立されるほうが望ましいかもしれません」(167ページ)と意見提起する。
(2014年12月31日 読了)
参考サイト
- ヒデキワダ・ドットコム:和田秀樹 公式ポータルサイト
- 『エリートの創造』(和田秀樹=著):ぱふぅ家のホームページ
- 『感情暴走社会』(和田秀樹=著):ぱふぅ家のホームページ
- 『比べてわかる!フロイトとアドラーの心理学』(和田秀樹=著):ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)