2.9 角度と図形(小学2〜6年)

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分度器と色紙を使って角度と図形を教える水奈
身近な形を分類し、角度を測って図形の性質を確かめる
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身の回りには、三角形や四角形、円などの形があふれている。図形の学習では、見た目だけでなく、辺の長さ、角の大きさ、辺の平行・垂直、対称性といった性質に注目する。例えば、正方形は四つの辺が等しく、四つの角がすべて直角である。
この項では、小学2~6年で学ぶ平面図形と立体図形の基礎を整理し、\( \angle ABC \)、\( 90^\circ \)、\( \triangle ABC \) などを読みやすく表す\( \TeX \)表記を学ぶ。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
小学2年三角形、四角形、長方形、正方形、直角を知る
小学3年二等辺三角形、正三角形、角、円、球を学ぶ
小学4年角度、垂直・平行、平行四辺形、ひし形、台形、直方体、立方体を学ぶ
小学5年合同、三角形や四角形の角、正多角形、角柱、円柱を学ぶ
小学6年線対称と点対称、縮図と拡大図を学ぶ
\( \TeX \)\angle^\circ\triangle\parallel\perp を使う

教科書で見かける式

内容表示\( \TeX \)表記
角の大きさ\( \angle ABC=60^\circ \)\angle ABC = 60^\circ
直角\( \angle A=90^\circ \)\angle A = 90^\circ
三角形\( \triangle ABC \)\triangle ABC
平行\( AB\parallel CD \)AB \parallel CD
垂直\( AB\perp CD \)AB \perp CD
三角形の内角\( \angle A+\angle B+\angle C=180^\circ \)\angle A + \angle B + \angle C = 180^\circ

\( \TeX \)表記

角は、頂点を中央に置いた3文字で表す。\( \angle ABC \) では頂点は \( B \) であり、辺 \( BA \) と辺 \( BC \) が作る角を意味する。頂点の角が一つに決まるときは \( \angle B \) と略せる。角度の単位「度」は、数字の右上に \( ^\circ \) を置き、\( 45^\circ \) のように表す。
三角形は \( \triangle ABC \) と書く。対応する頂点の順序には意味があるので、合同な二つの三角形を並べるときは対応順をそろえる。小学5年で扱う三角形の内角の和は \( \angle A+\angle B+\angle C=180^\circ \) である。四角形の内角の和は \( 360^\circ \) になる。

2直線がどこまで延ばしても交わらない関係は平行であり、\( AB\parallel CD \) と表す。2直線が直角に交わる関係は垂直であり、\( AB\perp CD \) と表す。これらの記号は線分そのものの形ではなく、線分または直線どうしの関係を示す。
図形名を文章で説明するときは「長方形」「ひし形」のように日本語で十分である。\( \TeX \)表記は、角、度、平行、垂直など、記号にすると関係が明確になる部分に使う。図そのものを描くには、別途SVGや作図用の仕組みが必要である。

\( \TeX \)命令の読み方と意味

\( \TeX \)表記読み方意味
\angle ABCアングル角 \( ABC \) を表す。中央の \( B \) が頂点
60^\circサーカムフレックス、サーク上付きの度記号を付けて \( 60^\circ \) とする
\triangle ABCトライアングル三角形 \( ABC \) を表す
\parallelパラレル平行記号 \( \parallel \) を表示する
\perpパーペンディキュラー垂直記号 \( \perp \) を表示する
\congコングルーエント合同を示す記号 \( \cong \) を表示する

よくある間違い

角を表す3文字の順序を誤る
\( \angle ABC \) の頂点は中央の \( B \) である。頂点を端に書かない。
度記号を英字のoで代用する
\( 60^\circ \) の右上の記号は英字のoではなく、角度の単位を表す度記号 \( \circ \) である。
角度と辺の長さを混同する
角の開き具合は、辺を長く延ばしても変わらない。
見た目だけで平行や直角と決める
図が傾いていても性質は変わらない。記号、測定、定義から判断する。
正方形を長方形に含めない
正方形は四つの角が直角なので、長方形の条件も満たす。
合同と面積が等しいことを同じと考える
合同なら面積は等しいが、面積が等しいだけでは合同とは限らない。
円と球を混同する
円は平面図形、球は立体図形である。

コピーして使える例

角度
\( \angle ABC = 60^\circ \)
三角形の内角の和
\( \angle A + \angle B + \angle C = 180^\circ \)
平行と垂直
\( AB \parallel CD,\quad EF \perp GH \)
合同な三角形
\( \triangle ABC \cong \triangle DEF \)

練習問題


次の問題を解き、必要な式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. \( \angle ABC=35^\circ \) のとき、角の頂点はどこか。
  2. 直角の大きさを度数で表す。
  3. 三角形の二つの角が \( 50^\circ \)、\( 65^\circ \) のとき、残りの角を求める。
  4. 四角形の三つの角が \( 90^\circ \)、\( 80^\circ \)、\( 100^\circ \) のとき、残りの角を求める。
  5. 線分 \( AB \) と線分 \( CD \) が平行であることを記号で表す。
  6. 正方形が長方形でもある理由を、角に注目して説明する。
解答例
  1. 頂点は \( B \) である。
  2. \( 90^\circ \)
  3. \( 180^\circ-50^\circ-65^\circ=65^\circ \)
  4. \( 360^\circ-90^\circ-80^\circ-100^\circ=90^\circ \)
  5. \( AB\parallel CD \)
  6. 正方形の四つの角はすべて直角であり、長方形の条件を満たすからである。

学習指導要領上の位置づけ

小学校算数の「B 図形」では、低学年から高学年へ、図形を構成する要素とその関係に着目する学習を積み重ねる。第2学年では三角形、四角形、長方形、正方形、直角を扱い、第3学年では二等辺三角形、正三角形、角、円、球へ広げる。第4学年では角の大きさ、垂直・平行、平行四辺形、ひし形、台形、直方体、立方体を扱う。
第5学年では合同、三角形や四角形の角の大きさ、正多角形、角柱、円柱を学ぶ。第6学年では縮図・拡大図、対称な図形などを通して、図形の性質を筋道立てて考える。観察や操作、作図、測定を組み合わせ、性質を見いだして説明する活動が重視される。

次項:面積と体積(小学4~6年)

次項では、正方形、長方形、三角形、平行四辺形、台形、円の面積と、直方体・立方体の体積を取り上げる。単位と公式の意味を確かめ、読みやすい\( \TeX \)表記を紹介する。

コラム:垂直・平行・対角線・四角形の定義

垂直とは二つの直線が直角に交わる関係、平行とは同じ平面上で二つの直線をどこまでも延ばしても交わらない関係である。対角線は多角形の隣り合わない二つの頂点を結ぶ線分である。四角形には2本の対角線があり、その長さや交わり方を調べると図形の性質が見える。
四角形定義または主な条件
台形少なくとも一組の向かい合う辺が平行な四角形
平行四辺形二組の向かい合う辺がそれぞれ平行な四角形
ひし形四つの辺の長さがすべて等しい四角形
長方形四つの角がすべて直角である四角形
正方形四つの辺が等しく、四つの角が直角である四角形

コラム:合同・多角形の内角の和・角柱と円柱

二つの図形を移動、回転、裏返しによってぴったり重ねられるとき、その二つは合同である。対応する辺の長さと角の大きさはそれぞれ等しい。合同を式で書くときは、対応する頂点の順序をそろえて \( \triangle ABC\equiv\triangle DEF \) のように表す。

三角形の内角の和は \( 180^\circ \) である。頂点の数が \( n \) の多角形は、一つの頂点から対角線を引くと \( n-2 \) 個の三角形に分けられるため、内角の和は \( (n-2)\times180^\circ \) となる。四角形なら \( 360^\circ \)、五角形なら \( 540^\circ \) である。

角柱は、合同で平行な二つの多角形を底面に持ち、側面が長方形または平行四辺形になる立体である。円柱は、合同で平行な二つの円を底面に持ち、曲面で囲まれた立体である。どちらも二つの底面の間の垂直な距離を高さといい、体積は「底面積×高さ」で求められる。

コラム:図形を確かめる道具

図形を確かめる道具
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図形の性質は、目で見ただけでは正確に判断できない。定規は辺の長さや直線を、三角定規は垂直・平行を、分度器は角度を、コンパスは等しい長さや円を確かめる道具である。例えば分度器では、中心を角の頂点に合わせ、\( 0^\circ \) の線を一方の辺に重ね、もう一方の辺が通る目盛りを読む。内側と外側の目盛りを取り違えないことが大切である。
紙を折る操作も有効である。二つ折りでぴったり重なる図形には対称の軸があり、線対称を具体的に確かめられる。図形を半回転させて重なるか調べれば、点対称を捉えやすい。デジタル作図ツールは形を動かして性質を予想するのに便利だが、測定結果だけでなく、なぜそうなるのかを図形の条件から説明したい。

コラム:なぜ角度は360なのか?

太陽は約360日で天球を1周
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円の一周が \( 360^\circ \) なのは、自然法則によって360と決まるからではなく、古代から受け継がれた単位の約束である。その由来には複数の説があり、一つだけで確定したとはいえない。なかでも有力な説明の一つが、と天体観測との結び付きである。地上から見ると、太陽は星空を背景にして一年でほぼ一周する。古代には一年を12か月、各月を30日とする理想化された360日の暦が使われたため、太陽が約360日で天空を一周し、一日に円周の約360分の1を進むと捉えやすかった。
天空の一周を360等分し、その一つを1度とする考えは、暦と天文学を同じ数で扱える。
ただし、実際の太陽年は約365.24日であり、古代の人々も一年が360日より長いことを知っていた。したがって、「太陽が正確に360日で一周すると発見したから」と説明するのは正しくない。360日は計算しやすい概数または理想化された暦であり、暦を季節に合わせるためには余分な日や閏月が必要であった。

別の説明として、古代メソポタミアで使われた六十進法がある。\( 360=6\times60 \) なので、60を基準にする計算と相性がよい。また、360は2、3、4、5、6、8、9、10、12など多くの整数で割り切れる。半周、四分の一周、三等分、十二等分などを整数の度数で表せるため、天文学や幾何学に便利であった。円に内接する正六角形では一辺が半径と等しく、円を六つに分けやすいことから、「六つの部分と六十進法を組み合わせた」という幾何学的な説もある。ただし、この正六角形説を直接証明する史料は乏しい。暦、天体観測、六十進法、360の割りやすさが互いに支え合って定着したと考えるのが慎重である。
三角形の頂点の角度を測る
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小学生がつまずきやすい第一の点は、角度を二本の線の長さや、囲まれた部分の広さだと思うことである。角度は一方の辺から他方の辺までの回転の大きさであり、辺を長くしても変わらない。第二は、分度器の中心を頂点に合わせず、基準線を一方の辺に重ねないことである。第三は、内側と外側の二つの目盛りを取り違えることである。測る前に鋭角か鈍角かを予想すると、\( 40^\circ \) と \( 140^\circ \) のような読み違いに気付きやすい。
さらに、\( 0^\circ \) と \( 360^\circ \) は辺の向きが同じでも、回転した量が異なる。\( 0^\circ \) は回転していない状態、\( 360^\circ \) は一周した状態である。\( 180^\circ \) より大きい角は半円形の分度器だけでは一度に読めないため、「\( 180^\circ \) と残り」に分けるか、一周 \( 360^\circ \) から小さい角を引いて考える。時計の文字盤や実際に体を回す活動を使い、四分の一周が \( 90^\circ \)、半周が \( 180^\circ \)、一周が \( 360^\circ \) と結び付けると理解しやすい。

コラム:図形とコンピュータ

小学校で学ぶ様々な図形
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小学校の算数で扱う2次元図形、すなわち平面図形には、三角形、四角形、長方形、正方形、直角三角形、二等辺三角形、正三角形、円、平行四辺形、ひし形、台形、多角形、正多角形がある。さらに、合同な図形、線対称・点対称な図形、拡大図・縮図を通して、形どうしの関係や変換も学ぶ。
3次元図形、すなわち立体図形には、箱の形、球、直方体、立方体、角柱、円柱がある。平面図形は紙に描けるが、立体図形を一枚の教科書から読み取るには、見えない辺、面のつながり、展開図を折った後の姿を頭の中で補わなければならない。
角柱や展開図どおりの模型など、実物を見たり持ったりした経験が少ない児童は、図と実体を結び付けられず理解が追い付かないことがある。

かつて立体教材は、教師や児童が厚紙を切り、展開図を折って作ることが多かった。この工作には、面の形や辺どうしの対応を確かめられる良さがある。現在はパソコンやタブレットで立体を表示し、自由に回転・拡大したり、透明にして内部や見えない辺を確かめたりできる。同じ立体を正面、横、真上から比べることも容易であり、平面上の図と立体との対応を繰り返し試せる。
学校に設備と運用の余力があれば、画面上のモデルを3Dプリンタで出力できる。立方体、角柱、円柱だけでなく、展開図から組み立てた形、同じ体積で形が異なる立体、切断面を示す分割模型なども作れる。児童は手に取り、回し、辺や面を指でたどり、重さや大きさを感じられる。とくに画面や言葉だけでは形を捉えにくい児童にとって、触れることは観察の大切な入口である。工作、画面表示、3Dプリントは競い合う方法ではなく、目的に応じて組み合わせたい。

パナソニックの体感型ミュージアム RiSuPia (リスーピア)  は、理科と数学の原理や法則に、映像を見るだけでなく体を動かして触れられる展示を重視していた。残念ながら東京の施設は2020年(令和2年)12月27日に閉館したが、「触って試すことで抽象的な考えを実感へ変える」という発想は、図形教材にも受け継げる。
図形をプログラムで描くと、数値を一つ変えて結果を比べたり、同じ処理を繰り返して模様を作ったりできる。児童が命令と図形の変化を対応させれば、角度、辺の長さ、座標、回転、対称性を操作しながら確かめられる。代表例は次の通りである。
言語・環境対象活用例
Scratch2次元ペンを進めて回す命令を繰り返し、正三角形、正方形、正多角形、回転模様を描く
Python
turtle
2次元進む距離と曲がる角度を数値で指定し、外角と正多角形の関係や線対称な模様を確かめる
JavaScript2次元・
3次元
CanvasSVGで作図し、Three.jsなどを使ってブラウザ上で直方体や角柱を回転させる
Processingp5.js2次元・
3次元
座標、色、回転を使った図形アニメーションや、視点を動かせる立体教材を作る
OpenSCAD2次元・
3次元
cubespherecylinderなどを組み合わせ、寸法を変えられる模型を設計して3D印刷する

参考サイト

(この項おわり)
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