3.5 比例と反比例(中学1年)

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比例と反比例の表・式・グラフを水奈と学ぶ中学1年生
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水を一定の速さで入れると、時間が2倍、3倍になるにつれて水の量も2倍、3倍になる。一方、一定の距離を進むときは、速さが2倍になると時間は半分になる。この二つの変わり方は何が違うのだろう。
本項では、伴って変わる二つの数量を表、式、グラフで捉え、比例と反比例を見分ける。座標や変域を含む読みやすい \( \TeX \)表記も学ぶ。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
中学1年関数の意味を知り、比例と反比例の特徴を理解する
表と式対応する値から比例定数を求め、式に表す
グラフ座標平面に点を取り、直線と双曲線の特徴を読む
\( \TeX \)\frac、array、座標の表記を使う
一次方程式と比例式で学んだ文字と等式を使い、二つの数量の関係を調べる。ここでは、一方の値を決めると他方の値がただ一つ決まる関数という見方を身に付ける。
表で対応を調べる → 式で関係を表す → グラフで全体を見るという流れを意識しよう。\( \TeX \)は表と数式を読みやすく表示するが、数量の関係を自動で判断するものではない。

教科書で見かける式

関数と変域
変数 \( x \) の値を決めると、変数 \( y \) の値がただ一つに決まるとき、\( y \) は \( x \) の関数であるという。変数の取り得る値の範囲を変域という。例えば、1辺が \( x \) cmの正方形の周の長さを \( y \) cmとすれば \( y=4x \) であり、長さを扱うので \( x>0 \) である。
比例
\( y=ax \)(\( a\ne0 \))と表せるとき、\( y \) は \( x \) に比例し、\( a \) を比例定数という。\( \displaystyle \frac{y}{x}=a \) は一定である。\( x \) が2倍、3倍になると、\( y \) も2倍、3倍になる。
反比例
\( \displaystyle y=\frac{a}{x} \)(\( a\ne0 \)、\( x\ne0 \))と表せるとき、\( y \) は \( x \) に反比例する。積 \( xy=a \) は一定である。\( x \) が2倍、3倍になると、\( y \) は \( \displaystyle \frac{1}{2} \) 倍、\( \displaystyle \frac{1}{3} \) 倍になる。
関係表式一定になる量
比例\( x:1,2,3 \)
\( y:2,4,6 \)
\( y=2x \)\( \displaystyle \frac{y}{x}=2 \)
反比例\( x:1,2,3 \)
\( y:6,3,2 \)
\( \displaystyle y=\frac{6}{x} \)\( xy=6 \)
比例のグラフ
\( y=ax \) のグラフは原点 \( (0,0) \) を通る直線である。\( a>0 \) なら右上がり、\( a<0 \) なら右下がりになる。\( a \) の絶対値が大きいほど、直線の傾きは急になる。
例えば \( y=2x \) では、\( (-2,-4) \)、\( (-1,-2) \)、\( (0,0) \)、\( (1,2) \)、\( (2,4) \) が一直線上に並ぶ。
反比例のグラフ
\( \displaystyle y=\frac{a}{x} \) のグラフは二つのなめらかな曲線からなり、双曲線という。\( a>0 \) なら第1象限と第3象限、\( a<0 \) なら第2象限と第4象限に現れる。\( x=0 \) では値が決まらず、グラフは座標軸に限りなく近づくが交わらない。
見るところ比例 \( y=ax \)反比例 \( \displaystyle y=\frac{a}{x} \)
グラフ原点を通る直線二つの曲線からなる双曲線
定数の求め方\( \displaystyle a=\frac{y}{x} \)\( a=xy \)
符号\( a>0 \) なら右上がり\( a>0 \) なら第1・第3象限
\( x=0 \)\( y=0 \)値は決まらない
式を求める
\( y \) が \( x \) に比例し、\( x=3 \) のとき \( y=12 \) なら、\( 12=3a \) より \( a=4 \)。したがって \( y=4x \) である。
\( y \) が \( x \) に反比例し、\( x=3 \) のとき \( y=8 \) なら、\( a=3\times8=24 \)。したがって \( \displaystyle y=\frac{24}{x} \) である。
文章題
1個120円のみかんを \( x \) 個買った代金を \( y \) 円とすると、\( y=120x \) である。比例定数120は1個当たりの値段を表す。
面積24cm<sup>2</sup>の長方形で、横を \( x \) cm、縦を \( y \) cmとすると、\( xy=24 \)、すなわち \( \displaystyle y=\frac{24}{x} \) である。長さなので変域は \( x>0 \)、\( y>0 \) となる。

\( \TeX \)表記

比例は \( y=ax \)、反比例は \( \displaystyle y=\frac{a}{x} \) と書く。分数を含むインライン数式には \displaystyle を付け、\( \displaystyle y=\frac{a}{x} \) のように表示する。座標は \( (x,y) \)、変域は \( -2\le x\le3 \) のように表す。
値の対応を数式の中で表にするときは array 環境を使える。& で列を区切り、\\ で行を改める。次の例では最初の列と数値の列の間に縦線を入れている。
\[ \begin{array}{c|ccc} x & 1 & 2 & 3 \\ y & 2 & 4 & 6 \end{array} \qquad \begin{array}{c|ccc} x & 1 & 2 & 3 \\ y & 6 & 3 & 2 \end{array} \]
\( \TeX \)表記表示要点
y=2x\( y=2x \)比例の式
y=\frac{6}{x}\( \displaystyle y=\frac{6}{x} \)分子と分母を波括弧でまとめる
(3,6)\( (3,6) \)点の座標は丸括弧で表す
-2\le x\le3\( -2\le x\le3 \)変域の端を含む不等号
x\ne0\( x\ne0 \)反比例で0を除く条件

\( \TeX \)命令の読み方と意味

表記・命令読み方の目安意味
\frac{a}{x}フラックfractionに由来し、分数を組む
\begin{array}ビギン・アレイ数式内に行と列を持つ表を始める
\qquadクワッド二つ分数式の間に広めの空白を入れる
\leレス・ザン・オア・イコール小なりイコール \( \le \) を表示する
\neノット・イコール等しくない記号 \( \ne \) を表示する
array の列指定 cccc では、c が中央揃えの列、縦棒が列間の罫線を表す。HTMLブロック内では列区切りのアンパサンドを &amp; と書き、ブラウザーへ & として渡す。表の行末に置く \\ は、\( \TeX \)表記では改行命令である。

よくある間違い

\( y=ax+b \) をすべて比例と考える
比例の式は \( y=ax \) であり、\( b\ne0 \) ならグラフは原点を通らないため比例ではない。
反比例の式を \( y=a-x \) とする
反比例は差ではなく積 \( xy=a \) が一定なので、\( \displaystyle y=\frac{a}{x} \) と表す。
比例定数の求め方を混同する
比例では \( \displaystyle a=\frac{y}{x} \)、反比例では \( a=xy \) を使う。
反比例のグラフを折れ線で結ぶ
点と点の間にも値があるときは、座標軸に近づくなめらかな双曲線として描く。
反比例で \( x=0 \) を代入する
0で割ることはできないので、\( \displaystyle y=\frac{a}{x} \) では \( x\ne0 \) である。
文章題で変域を無視する
長さ、個数、時間などの条件に合わせ、正の数や整数など取り得る値を確かめる。

コピーして使える例

比例の式
\( y = 3x \)
反比例の式
\( \displaystyle y = \frac{12}{x} \quad (x \ne 0) \)
比例の値の表
\[
\begin{array}{c|ccccc}
x & -2 & -1 & 0 & 1 & 2 \\
y & -6 & -3 & 0 & 3 & 6
\end{array}
\]
座標と変域
\( (x,y) = (2,6), \quad -2 \le x \le 3 \)

練習問題


次の問題を解き、必要な式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. \( y \) は \( x \) に比例し、\( x=4 \) のとき \( y=10 \) である。\( y \) を \( x \) の式で表す。
  2. \( y \) は \( x \) に反比例し、\( x=-3 \) のとき \( y=4 \) である。\( x=6 \) のときの \( y \) を求める。
  3. \( y=-2x \) のグラフ上にある点を、\( (2,-4) \)、\( (-3,6) \)、\( (1,2) \) からすべて選ぶ。
  4. \( \displaystyle y=\frac{12}{x} \) について、\( x=1,2,3,4,6 \) に対応する \( y \) の値を表にする。
  5. 周の長さが32cmの長方形で、横を \( x \) cm、縦を \( y \) cmとする。\( y \) を \( x \) の式で表し、比例または反比例かを答える。
解答例
  1. \( \displaystyle a=\frac{10}{4}=\frac{5}{2} \) より、\( \displaystyle y=\frac{5}{2}x \)。
  2. \( a=(-3)\times4=-12 \) より \( \displaystyle y=-\frac{12}{x} \)。\( x=6 \) のとき \( y=-2 \)。
  3. \( (2,-4) \) と \( (-3,6) \)。\( (1,2) \) は \( y=-2x \) を満たさない。
  4. \( x:1,2,3,4,6 \) に対して、\( y:12,6,4,3,2 \)。
  5. \( 2x+2y=32 \) より \( y=16-x \)。比例にも反比例にもならない。長方形なので \( 0<x<16 \)、\( 0<y<16 \)。

学習指導要領上の位置づけ

中学校第1学年の数学「C 関数」では、具体的な事象の中から伴って変わる二つの数量を取り出し、その変化や対応の仕方に着目して関数関係の意味を理解する。比例・反比例を関数の例として捉え、表、式、グラフを相互に関連付けて特徴を調べる。
小学校で学んだ比例の見方を、負の数を含む範囲、座標平面、反比例へ広げる段階である。日常の事象を比例・反比例として捉えて問題を解き、その方法や結果を説明する活動も重視される。第2学年の一次関数では、\( y=ax+b \) へ拡張して変化の割合や二元一次方程式のグラフを学ぶ。

次項:平面図形――作図と図形の移動(中学1年)

次項では、定規とコンパスによる基本の作図、図形の移動、対応する点や線の関係を扱う。垂直二等分線、角の二等分線、垂線などを数式と図の言葉で整理し、図形を説明する\( \TeX \)表記へ進む。

コラム:比例定数には単位がある

1個120円のリンゴを5個買い、代金600円を確かめる水奈
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比例の式 \( y=ax \) だけでは、\( a \) が何を表すのか抽象的に感じることがある。そこで比例定数に単位を戻して考える。1個120円のリンゴを \( x \) 個買う代金を \( y \) 円とすれば、\( y=120x \) であり、比例定数120の単位は「円/個」である。5個なら \( (120\,\mathrm{円/個})\times(5\,\mathrm{個})=600\,\mathrm{円} \)。個が消えて円が残り、買い物の計算になる。
小学校の算数で学んだ長さ、かさ、重さ、時間、速さや面積・体積が、比例・反比例につながっていることを思い出そう。異なる単元に見えても、「一方が変わると、もう一方がどう変わるか」を単位とともに考える点は同じである。

同じ考え方は走行距離にも使える。時速60kmで \( x \) 時間走った距離を \( y \) kmとすると、\( y=60x \) である。比例定数60に単位km/hを戻せば、\( (60\,\mathrm{km/h})\times(x\,\mathrm{h})=y\,\mathrm{km} \) となる。例えば2.5時間なら \( 60\times2.5=150 \) より150km進む。抽象的な文字式が、速さ×時間=距離という身近な計算に帰着する。

比例の問題では、まず比例定数を求め、次に「円/個」「km/h」のような単位を付けて意味を読み、最後に求めたい個数や時間を掛けるとよい。単位が答えの単位と一致するか確かめれば、掛ける数を逆にする誤りにも気付きやすい。

反比例でも定数には意味がある。縦 \( y \) cm、横 \( x \) cmの長方形の面積が24cm<sup>2</sup>なら、\( xy=24 \) の24は一定の面積である。式だけでなく単位を見ると、比例定数や反比例の定数が何を表すか判断しやすくなる。

コラム:定数と変数

定数は、考えている式や問題の中で値を変えず、一定に保つ数である。
変数は、条件に応じていろいろな値を取る数である。
どちらも文字で表せるため、文字の形だけでは区別できない。その式の中で値を固定しているか、変化させているかを見る必要がある。

比例の式 \( y=ax \) はすべてアルファベットなので、\( a \)、\( x \)、\( y \) のすべてが変数に見えやすい。しかし、一つの比例関係を考えている間、比例定数 \( a \) は固定され、\( x \) と \( y \) が対応しながら変化する。例えば \( y=120x \) では、\( a=120 \) は1個当たりの値段として一定であり、個数 \( x \) と代金 \( y \) が変数である。

数学では、定数や係数に \( a,b,c,\ldots \) のようなアルファベットの初めの方、いわゆる「若いアルファベット」を、変数に \( x,y,z \) のような終わりの方を使うことが一般的である。ただし、これは読みやすくするための慣習であり、文字そのものが役割を決める規則ではない。別の問題では \( a \) が変数になることもあるので、定義や条件を確かめよう。

コラム:比例のグラフは必ず原点を通る

比例の直線が原点を通り、一次関数の直線が原点を通らないことを示す水奈
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比例は \( y=ax \) と表される。ここで \( x=0 \) を代入すると、\( y=a\times0=0 \) となる。したがって、\( x=0 \) のとき \( y=0 \)、つまり点 \( (0,0) \) が必ずグラフ上にある。これが比例のグラフが原点を通る理由である。
点を一つずつ計算して偶然原点を通るのではない。\( a \) がどのような定数でも、0を掛けた結果は0になるためである。個数と代金なら、0個買ったときの代金は0円となり、この状況が原点に対応する。実際の問題で \( x>0 \) など変域が限られていても、式 \( y=ax \) が表す直線そのものは原点を通る。
一方、\( y=ax+b \) に \( x=0 \) を代入すると \( y=b \) になる。\( b\ne0 \) ならグラフは点 \( (0,b) \) でY軸と交わり、原点を通らない。この形は3.11 一次関数と二元一次方程式のグラフで学ぶ一次関数である。比例 \( y=ax \) は、一次関数で \( b=0 \) とした特別な場合と見ることもできる。

コラム:反比例のグラフは絶対に原点を通らないし、X軸やY軸と交わらない

反比例の双曲線が原点、X軸、Y軸と交わらないことを説明する水奈
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反比例は \( \displaystyle y=\frac{a}{x} \)(\( a\ne0 \))と表される。Y軸上では \( x=0 \) だが、0で割ることはできないため \( y \) の値が決まらない。したがってグラフはY軸と交わらず、\( x=0 \)、\( y=0 \) の原点も絶対に通らない。
X軸上では \( y=0 \) である。反比例を \( xy=a \) と書き換えると、X軸との交点があるなら左辺は \( x\times0=0 \) になる。しかし \( a\ne0 \) なので、\( 0=a \) となって矛盾する。したがって、反比例のグラフはX軸とも交わらない。
\( x \) の絶対値を大きくすると \( y \) は0へ近づき、\( x \) を0へ近づけると \( y \) の絶対値は大きくなる。このため、双曲線はX軸とY軸へ限りなく近づくが、どちらにも触れない。\( a>0 \) なら第1・第3象限、\( a<0 \) なら第2・第4象限に二つの枝が現れる。

コラム:\( \TeX \)でグラフを描く方法

TikZは、線、図形、座標、関数のグラフなどを命令で描くための\( \TeX \)パッケージである。通常は\( \LaTeX \)環境で図を作るが、WebページではTikZJaxを利用すると、ブラウザー内でTikZコードをSVG画像へ変換できる。
TikZJaxは、<script type="text/tikz">内のコードを見つけると、WebAssemblyで動く\( \TeX \)とTikZを使って処理し、その要素をSVGへ置き換える。画像ファイルを別に用意せず、座標や式をコードとして記事内に残せる点が利点である。
TikZJaxの読み込み
<link rel="stylesheet" type="text/css" href="https://tikzjax.com/v1/fonts.css">
<script src="https://tikzjax.com/v1/tikzjax.js"></script>
上の2行をHTMLの<head>内へ置く。次に、描きたい図を<script type="text/tikz">で囲む。次の例では、矢印付きのX軸とY軸を描き、定義域を指定したplot命令で比例 \( y=2x \) の直線を引く。
TikZによる比例グラフ
<script type="text/tikz">
\begin{tikzpicture}[scale=0.9]
  \draw[->] (-3.2,0) -- (3.2,0) node[right] {$x$};
  \draw[->] (0,-3.2) -- (0,3.2) node[above] {$y$};
  \node[below left] at (0,0) {$O$};
  \draw[domain=-1.5:1.5,samples=100,smooth,
        variable=\x,blue,very thick]
    plot ({\x},{2*\x});
  \node[blue,right] at (1.2,2.4) {$y=2x$};
\end{tikzpicture}
</script>
\draw[->]は終点に矢印を付けた線、domain=-1.5:1.5は \( x \) の描画範囲、samples=100は計算する点の数を表す。plot ({\x},{2*\x})が、各 \( x \) に対して \( y=2x \) を計算して結ぶ部分である。
反比例を描く場合は、0をまたぐ一つの定義域にしてはいけない。\( \displaystyle y=\frac{6}{x} \) は \( x=0 \) で定義されないため、負の範囲と正の範囲を二つのplot命令に分ける必要がある。TikZJaxは初回に\( \TeX \)環境を読み込むため、単純な数式だけを描画するKaTeXより表示開始まで時間がかかる場合がある。

参考サイト

(この項おわり)
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