国立科学博物館には巨大なフーコーの振り子がある

2004年1月10日 撮影
国立科学博物館
国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)を訪れた。
国立科学博物館は、1871年(明治4年)10月、文部省科学博物局の観覧施設として湯島聖堂内に博物館を設置したのがはじまり。1930年(昭和5年)12月、現在の本館が落成した。2001年(平成13年)4月、独立行政法人国立科学博物館となった。
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目次

ステンドグラス

ステンドグラス-国立科学博物館
国立科学博物館本館は地上3階、地下1階の重厚な建物である。それまでの建物が関東大震災で全焼したことから、1923年(大正12年)に建設計画が持ち上がった。実際の着工は1928年(昭和3年)、1930年に落成し、翌1931年(昭和6年)にオープンした。

国立科学博物館のステンドグラスは「小川三知 (さんち) 」の作品である。これ以外に、慶応大学図書館、青森県宮越邸、新宿河田町小笠原伯爵邸などに残っているそうだ。
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恐竜

タルボサウルスとマイアサウラ-国立科学博物館
国立科学博物館といえば、恐竜のメッカだ。
玄関ホールには、博物館を象徴する2体の恐竜の骨格模型がある。手前がマイアサウラ、奥はタルボサウルスである。2体とも白亜紀後期の恐竜で、マイアサウラが北米、タルボサウルスがモンゴルにいた。

マイアサウラについては子育てをした恐竜として有名である。名前も「良いお母さんトカゲ」という意味である。実際の子育てを母親がしたかは不明。おそらく鳥の子育てから見ればオスメス交代で子育てをしたかもしれない。
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最近は、巣の中の卵の数から、マイアサウラの子育てはは鳥のようなきめの細かいものではなく、ワニのような半分放置に近いアバウトなものではないかという説もある。この標本にも卵が展示されている。
タルボサウルスは、われわれの世代には懐かしい怪獣スタイルで展示されている。いまでは、もっと頭を低く構え、体躯を水平にしたスタイルで闊歩していたと推測されている。
アロサウルス-国立科学博物館
このアロサウルスは、われわれが子どもの頃には玄関ホールに展示されていた。国立科学博物館ではもっとも古い恐竜の一つである。当然、これもタルボサウルスと同じく怪獣スタイルでの復元となっている。
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昔はティラノサウルスの先祖といわれていたが、現在はティラノサウルスは小型獣脚類が巨大化した種族であることがわかり、ティラノサウルスとは種類が違うことが明らかになった
子どもの頃の恐竜図鑑ではティラノサウルスがライオンで、アロサウルスがトラにたとえられていた。ティラノサウルスの次に凶暴な肉食恐竜といわれていた。
イクチオステガ-国立科学博物館
生物の進化を展示する模型。正面はイクチオステガだ。造形に古めかしさを感じる。
デボン紀後期に生息していた原始両生類で、最初の四肢動物といわれる。
体長約1メートル。重力から内臓を守るために肋骨がかなり発達していた。しかし体が重くなりすぎて、ほとんど水中での生活をしていたと考えられている。
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足の先端には7本もの指があり、陸上を歩くのには適していなかったと考えられている。
かつては陸上脊椎動物の直接の祖先といわれているが、最近では疑問視されている。

フーコーの振り子

フーコーの振り子-国立科学博物館
地下1階には、地球の自転を目で確かめることができるフーコーの振り子がある。
本館の吹き抜けを通って吊り下げられており、ステンレス線の長さは19.5メートル、球の重さは49.6キロ、直径は23センチである。
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フーコーの振り子-国立科学博物館
上からフーコーの振り子を見下ろしたところ。ちょっと怖い。
1934年(昭和9年)4月に、天文学者・鈴木敬信の指導のもと、東京計器製作所(現・東京計器)が製作した、その後何回かの改良が重ねられている。

フランスの民間科学者レオン・フーコー(1819~1868)は、1851年(嘉永4年)2月3日、パリ天文台のカッシーニ・ホールに長さ11メートルの振り子をぶら下げ、「地球が自転することを」証明する公開実験を行った。これが「フーコーの振り子」である。
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表紙 フーコーの振り子
著者 アミーア・D.アクゼル/水谷淳
出版社 早川書房
サイズ 単行本
発売日 2005年10月31日頃
価格 1,980円(税込)
ISBN 9784152086808
さらに詳しく知りたい方には本書をお勧めする。
レオン・フーコーと、彼を取り立てたフランスの大学者フランソワ・アラゴー、そしてルイ・ナポレオンの関わりを中心に描いたドキュメンタリー。19世紀末、パリで花開いた科学技術の歴史を知ることができる。

ラムダロケット

ラムダロケット-国立科学博物館
本館の外庭には、写真のラムダロケット発射ランチャをはじめ、D51形蒸気機関車、シロナガスクジラといった、館内に納まりきらない大型の展示物がある。

この発射ランチャは、1970年(昭和45年)2月11日、日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げたものと同じ型のラムダロケットを搭載している。
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1964年(昭和39年)には東大・生産技術研究所ロケット班と航空研究所が合併して宇宙航空研究所が設立され、新型のラムダ3型ロケットで高度1,000kmまで到達した。しかし、この後、ラムダロケットの打ち上げは連続4回失敗する。
さらに、科学技術庁が推進する種子島発射場の建設において、地元漁協との交渉が難航、1967年(昭和42年)4月以来、内之浦での打上げも中止されていた。交渉が妥結し、打上げ解禁となったのは1968年(昭和43年)9月になってのこと。内之浦ではすぐに実験が再開された。
1970年(昭和45年)2月11日、ようやくラムダ4型5号機(L-4S-5)が打ち上げられた。このロケットは、全長16.5m、全重量9.4t、1段目の直径は74cm、1段目の推力は37tという、今から考えると随分と小さなものだった。それでも、遠地点5,150km、近地点 335kmの地球周回軌道に日本初の人工衛星を投入した。この人工衛星は、内之浦にちなんで「おおすみ」と命名された。日本は、自力で人工衛星を打ち上げた世界で4番目の国となった。
さらに詳しく知りたい方には本書をお勧めする。
小惑星探査機「はやぶさ」を管理するJAXA(宇宙航空研究開発機構)と、その前身である宇宙研(宇宙科学研究本部)の歴史を描いたドキュメンタリーである。
表紙 はやぶさ
著者 吉田武(数理工学)
出版社 幻冬舎
サイズ 新書
発売日 2006年11月
価格 902円(税込)
ISBN 9784344980150
世界88万人の夢を乗せて、我らが探査機「はやぶさ」は太陽系誕生の鍵を握る、小惑星イトカワへと旅立った。果たして表面の物質は採取できたのか。本当に地球に帰還できるのか。3億キロの彼方で繰り広げられた人類史上初の大冒険を伝える感動と興奮のサイエンス・ノンフィクション。独自のロケット、独自の探査計画で世界中の研究者を驚かせ続けている異能集団「宇宙研」の歴史を辿り、その独創性の秘密に迫る。
 
恐竜の化石 関連

交通アクセス

【鉄道】
  • JR上野駅・公園口から徒歩5分
  • 東京メトロ銀座線/日比谷線・上野駅から徒歩10分
  • 京成線・京成上野駅から徒歩10分

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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