網走監獄は網走刑務所の旧建造物を保存公開

2017年2月18日 撮影
博物館網走監獄
博物館網走監獄 正門
博物館 網走監獄 (あばしりかんごく) (北海道網走市字呼人1-1)は、網走刑務所の旧建造物を保存公開する野外歴史博物館である。
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正門は、1919年(大正8年)に建設が始まり、1923年(大正12年)に完成した煉瓦造りの重厚な建造物だ。差し渡しは23メートルに及ぶ。いまでも網走刑務所の正門として使われており、こちらは1983年(昭和58年)に再現構築されたものだ。
ゲート - 網走監獄
ゲート
網走刑務所は、明治維新後の内乱による犯罪者を含む政治犯を収監すると同時に、ロシア帝国の進出を牽制するとともに、北海道開拓の労働力として使役するために、1890年(明治23年)に開設された。
なお、網走刑務所は現在も刑務所として運用されており、公開されているわけではない。網走監獄は野外博物館という位置づけだ。
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網走刑務所の名前が全国に知れ渡るのは、1965年(昭和40年)4月に公開された映画『網走番外地』(東映/主演:高倉健)によるところが大きい。2年半の間に10本も作られた人気シリーズである。
鏡橋 - 網走監獄
鏡橋
鏡橋 (かがみばし) は、網走川を渡って刑務所に行く途中に架けられた橋で、1890年(明治23年)から4回架け替えられてきた。「流れる清流を鏡として、我が身を見つめ、自ら襟をただし目的の岸にわたるべし」との思いから、この名前が付けられた。
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写真は、1917年(大正6年)に完成した二代目の橋を2012年(平成24年)に再現構築したものである。
裏門 - 網走監獄
裏門
1919年(大正8年)から5年をかけて、受刑者が煉瓦を積み上げ、全長1kmに及ぶ赤煉瓦の壁を完成させた。
通用門とも呼ばれる裏門は、受刑者が、農作業や養豚など、塀の外の作業場に出かける時に通った。
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重厚な正門と比べると、差し渡しは半分の約12メートル。ここをくぐり抜けると構外に出られることから、受刑者にとっては解放感を味わえる門だったようである。
1993年(平成5年)9月まで網走刑務所で使われており、1995年(平成7年)、移設された。登録文化財の指定を受けている。

手前に見える小屋は、出入口や作業場などに置かれた哨舎 (しょうしゃ) と呼ばれる見張所である。外部からの進入や受刑者達の行動を監視しており、所内に8箇所設置されていた。
庁舎 - 網走監獄
庁舎
1912年(明治45年)に建てられた庁舎は、刑務所管理の各部門が集まっている。最高責任者の典獄室をはじめ、会議室、総務課、戒護課、用度課、教育課、作業課の各課に区切られている。至るところに意匠的な工夫がなされた明治期の官庁建築の典型であり、水色とグレーの外観庁舎に電気が灯ると網走の人々は「最果ての不夜城」と呼んでいたという。

1988年(昭和63年)、移設された。重要文化財の指定を受けている。
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庁舎 - 網走監獄
庁舎展示
2015年(平成27年)7月、庁舎の展示がリニューアルされた。この写真のように、パネルや模型を使ってわかりやすく解説されている。
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佐藤久翁之像 - 網走監獄
佐藤久翁之像
庁舎の展示の一角に、網走新聞社社主だった佐藤久翁之像がある。

1973年(昭和48年)、網走刑務所の改築計画が発表されると、貴重な建造物が失われることを憂慮した佐藤久氏が中心となり、建造物の移築保存を提唱。財団法人を設立し、1983年(昭和58年)に博物館として開館した。

網走新聞は、1947年(昭和22年)、佐藤久氏が「日刊あばしり新聞」を発刊したのが始まりで、公称部数は7千部だった。経営は比較的安定していたが、2004年(平成16年)7月に発生した自宅火災で、跡を継いで社長となった佐藤久の長男、佐藤紘一夫妻が死去したことをきっかけに廃刊となった。
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職員官舎 - 網走監獄
職員官舎
職員官舎は1912年(明治45年)に建設されたもので、補修を続けて1983年(昭和58年)まで刑務官の住宅として使用されてきた。通称「看守長屋」。
2004年(平成16年)に再現された。木造平屋の三軒長屋で、大正・昭和期の看守家族の生活の様子を再現している。
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釧路地方裁判所網走支部法廷復原棟 - 網走監獄
釧路地方裁判所網走支部法廷復原棟
釧路地方裁判所網走支部法廷復原棟は、1900年(明治33年)から1952年まで使われていた旧網走区裁判所の外観を再現し、新庁舎建設にともない1952年(昭和27年)から1991年まで使用されていた内装を移築したものである。
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単独法廷の様子 - 網走監獄
単独法廷の様子
1人の裁判官によって重罪以外の比較的軽い刑罰を審査する単独法廷が再現されている。
これ以外にも、合議法廷、合議室、仮監置室、勾留質問室が移設されている。
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味噌醤油蔵 - 網走監獄
味噌蔵
網走兼務所は自給自足を目指し、1892年(明治25年)に味噌醤油工場を建てた。これらを貯蔵するのが味噌醤油蔵で、写真は1983年(昭和58年)に再現されたものである。
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休泊所 - 網走監獄
休泊所
休泊所 (きゅうはくじょ) は、受刑者が塀の外に出て日帰りできない作業をする場合に寝泊まりする小屋をいう。
1891年(明治24年)4月から8ヶ月間に、延べ1,000人以上の受刑者が投入され、休泊所を建てては移動していったことから、「動く監獄」と呼ばれた。
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舎房 - 網走監獄
舎房
舎房 (ちょうしゃ) は木造平家建てで、5つの舎房が放射状に建っていることから五翼放射状房とも呼ばれる。ベルギーのルーバン監獄をモデルにつくられた。
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舎房 - 網走監獄
舎房
通路と房を隔てる壁は中央を木製扉、両脇を竪格子、上部に鉄格子付きの窓が付いている。壁を破られないよう柱を密に立ててある。
木造の監獄は世界的に珍しく、主要施設を完全な形で残す国内最古の行刑施設でもある。
木造ながら堅牢な構造で、床はレンガ敷き。第1、3、5舎の全長は58.2メートル、第2、4舎は72.7メートルあり、中央見張所内の中心にある八角形の哨舎 (しょうしゃ) から全方向を監視することができる。
計226房に700人以上が収監できる。廊下には暖房用のストーブがあり天井の天窓から自然光を取り入れるなど、北国独特の工夫が施されている。
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1912年(明治45年)に建築され。1985年(昭和60年)に移設された。2016年(平成28年)2月、国の重要文化財の指定を受けた。
煉瓦造り独居房 - 網走監獄
煉瓦造り独居房
煉瓦造り独居房は、1912年(明治45年)に建築された。窓がなく、扉は二重で、煉瓦の壁の厚さは40cm以上ある。
規則違反者を窓の無い真っ暗な部屋に閉じこめ、食事を減らし、反省させるという厳しい罰則を受けて建築されたものだ。
1991年(平成3年)に移設された。
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教誨堂 - 網走監獄
教誨堂
教誨堂 (きょうかいどう) は、1912年(明治45年)に建築され、僧侶や牧師が受刑者に人の道を説き、更生するよう導く教誨事業が行われた講堂である。屋根は桟瓦葺入母屋造りで、和洋折衷の意匠や技法を組み合わせた建築となっている。
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教誨堂 - 網走監獄
教誨堂
内部は板張り、無柱の広間となっており、内壁と折上天井を白漆喰塗としている。
堂内正面には、仏像が安置されている。

受刑者たちが精魂こめて建設したと伝えられている。1981年(昭和56年)に移築され、国の重要文化財となっている。
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雪像 キティちゃん - 網走監獄
雪像 キティちゃん
監獄雪の広場では、友の会ボランティアによる雪像づくりが行われ、1月14日に完成した。
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雪像 機関車トーマス監獄号 - 網走監獄
雪像 機関車トーマス監獄号
こちらは、機関車トーマス監獄号
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かまくら 懲罰房 - 網走監獄
かまくら 懲罰房
懲罰房をモデルにしたかまくら――中に入ることができる。
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温度計 - 網走監獄
この日の気温は氷点下5℃。

網走市の1月の平均気温は氷点下7.2℃、2月は氷点下6.1度となっている。じつは、北海道内陸の北見市、旭川市、帯広市に比べると雪も少なく冷え込みも穏やかな、とても過ごしやすい気候の町である。
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交通アクセス

【鉄道】
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目的地:博物館網走監獄
網走刑務所 関連

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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