木曽駒ヶ岳の千畳敷カールを眺める

2025年11月16日 撮影
千畳敷カール - 木曽駒ヶ岳
千畳敷カール
木曽駒ヶ岳 (きそこまがたけ) は、長野県南部から岐阜県境にかけて連なる木曽山脈(中央アルプス)の主峰(標高2,956メートル)を有する日本百名山の一つである。行政的には長野県駒ヶ根市、上松町、木曽町にまたがる位置にあり、伊那谷と木曽谷を分ける分水嶺をなしている。
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千畳敷カール - 木曽駒ヶ岳
千畳敷カール
木曽駒ヶ岳を語るうえで欠かせないのが、千畳敷カール (せんじょうじきかーる) である。「畳を千枚敷き詰められるほどの広さがある」というたとえから千畳敷と呼ばれるようになった。
千畳敷カールは、標高約2,600メートルに位置する氷河地形で、半円形の大きな窪地が特徴である。その名称は、畳を千枚敷き詰められるほど広いことに由来するとされる。最終氷期に発達した氷河が山腹を削り取り、氷河の融解後に残された典型的なカール地形であり、日本における氷河地形の代表例として知られている。カール底には平坦な草地が広がり、夏季には色とりどりの高山植物が一斉に咲き誇る。一方、周囲を取り囲むカール壁は急峻で、落石や雪崩が発生しやすい厳しい自然環境も併せ持つ。
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千畳敷カール - 木曽駒ヶ岳
千畳敷カール
千畳敷カールは学術的価値のみならず、景観的価値においても極めて高い評価を受けている。

ロープウェイの終点である千畳敷駅から直接アクセスできるため、標高差の大きな高山景観を比較的容易に体験できる点が特徴である。その一方で、利用者の増加に伴う自然環境への影響も課題となっており、植生保護や登山道整備などの取り組みが進められている。木曽駒ヶ岳と千畳敷カールは、地球の長い歴史が刻まれた地形と、人間の信仰や利用の歴史が重なり合う場所であり、日本の山岳文化と自然環境を理解するうえで重要な存在である。
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登山道 - 木曽駒ヶ岳
登山道
千畳敷カールから木曽駒ヶ岳山頂へは、千畳敷駅からカール底を横断し、八丁坂と呼ばれる急斜面を登って約1時間で乗越浄土 (のっこしじょうど) に至り、そこから稜線をたどって約1時間で山頂に到着する。
八丁坂は傾斜が強く、冬季や残雪期には全面が雪に覆われ、滑落の危険が高い。雪道ではアイゼンの確実な装着、ピッケルの携行と使用技術が不可欠であり、天候急変による視界不良や強風、雪庇の踏み抜きにも注意が必要である。また落石や雪崩の危険もあるため、事前の気象情報確認と早めの行動が大切だ。天候や技量によって、3~4時間かかることもあり、休憩や安全確認の時間も含めて余裕を持った計画が求められる。
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 - 木曽駒ヶ岳
宝剣岳 (ほうけんだけ) とは、木曽駒ヶ岳の南側、中央アルプス主稜線上に位置する標高2,931メートルの岩峰である。山名は、天に向かって突き立つ鋭い岩稜が剣や宝剣を思わせる姿に由来するとされ、中央アルプスを代表する険峰として知られている。山体は花崗岩からなり、切り立った岩壁と細い稜線が連続するため、一般的な登山道というよりは岩稜登攀の性格が強い。
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駒ヶ岳神社 - 木曽駒ヶ岳
駒ヶ岳神社
宝剣岳は古くから山岳信仰の対象であり、修験道の行場として畏敬の念をもって見られてきた。一方、近代登山においては高度な岩登り技術を要する山として位置づけられ、ヘルメットやロープの使用が推奨される難所である。千畳敷カールから仰ぎ見る姿は象徴的で、中央アルプスの厳しさと美しさを体現する存在である。

千畳敷駅を出てすぐのところに信州駒ケ岳神社が鎮座している。木曽駒ヶ岳を御神体とする山岳信仰に基づく神社であり、長野県駒ヶ根市に里宮として鎮座している。木曽駒ヶ岳山頂付近にある駒ヶ岳神社の遥拝所としての性格を持ち、古来、麓から山の神を祀り、登拝の安全や五穀豊穣を祈願する場として信仰されてきた。
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駒ヶ岳神社 - 木曽駒ヶ岳
駒ヶ岳神社
険しい高山は神の宿る場所と考えられ、直接山頂まで赴くことが困難な人々のため、里に社を設けて山岳信仰を日常の中に取り込んだのが信州駒ヶ岳神社である。御祭神は伊邪那岐命 (イザナギノミコト) 伊邪那美命 (イザナミノミコト) とされ、国土生成と自然の秩序を司る神として崇敬されている。

近代以降、木曽駒ヶ岳が登山や観光の山として広く知られるようになると、信州駒ヶ岳神社は地域の守護神としての役割に加え、登山者の安全祈願の拠点としての性格を強めた。現在も例祭や山開き神事を通じて、山と人との結びつきを伝える存在であり、中央アルプス信仰を今に伝える重要な神社である。
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 - 木曽駒ヶ岳
中央アルプスは北アルプスや南アルプスに比べて稜線が比較的なだらかである一方、花崗岩からなる山体が急峻な谷を刻み、山岳景観に独特の厳しさを与えている点が特徴である。
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南アルプス - 木曽駒ヶ岳
南アルプス
木曽駒ヶ岳の山頂付近は森林限界を超えており、ハイマツ帯と岩稜が広がり、晴天時には御嶽山、北アルプス、南アルプス、遠く富士山に至るまでの展望が得られる。

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富士山 - 木曽駒ヶ岳
富士山
木曽駒ヶ岳のなりたちは、日本列島の形成史と深く結びついている。中央アルプスは新生代第三紀以降の地殻変動によって隆起した山脈であり、特に花崗岩類の貫入と隆起、さらに河川や氷河による侵食作用が現在の地形を形づくった。
最終氷期には山頂部に氷河が発達し、その削剥作用によってカール地形が形成された。氷河が後退した後も、厳しい寒冷環境と風雪による風化が続き、現在見られる鋭い稜線や岩場が維持されている。こうした地質・地形的背景により、木曽駒ヶ岳周辺では高山植物が多様に分布し、コマクサやチングルマなど、氷期の遺存種とされる植物群落が確認できる。

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木曽駒ヶ岳
JR駒ヶ根駅を下車し、駒ヶ岳ロープウェイバスに乗り、木曽駒ヶ岳を目指す。自家用車の場合は、直接「しらび平駅」に乗り入れることが規制されているため、菅の台バスセンターに駐車し、バスに乗り換える。
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木曽駒ヶ岳
歴史的に見ると、木曽駒ヶ岳は古くから信仰の対象とされてきた山である。
中央アルプス一帯は修験道の修行の場として知られ、山岳信仰と結びついた登拝が行われてきた。特に木曽側からの登山道は、木曽義仲をはじめとする中世の歴史とも重なり、木曽谷の人々にとって精神的支柱となる存在であった。近代以降は、学術的な調査や近代登山の対象として注目され、植物学や地形学の研究も進められた。
1967年(昭和42年)7月に駒ヶ岳ロープウェイが開通すると、高山帯へのアクセスが飛躍的に向上し、木曽駒ヶ岳は本格的な登山者だけでなく、一般観光客にも広く知られる山となった。
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しらび平駅 - 木曽駒ヶ岳
しらび平駅
約45分で終点の しらび平駅 (しらびだいらえき) に到着する。ここから駒ヶ岳ロープウェイに乗り換える。山頂側の千畳敷駅まで、標高差(高低差)950メートル(国内最大級)、全長2,333メートルを約7分半で結ぶ。
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駒ヶ岳ロープウェイ - 木曽駒ヶ岳
駒ヶ岳ロープウェイ
ゴンドラの定員は61名。
運行間隔は、基本的におおよそ20〜30分ごとであり、繁忙期など混雑時には臨時便が出ることもある。ただし、公式時刻表は時季・天候・メンテナンスの状況により変動するため、訪問前に確認してほしい。
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駒ヶ岳ロープウェイ - 木曽駒ヶ岳
駒ヶ岳ロープウェイ
駒ヶ岳ロープウェイは、日本における最初期の山岳ロープウェイのひとつであり、当時はまだ特定の山岳愛好者のみに限られていた中央アルプス方面の山を、広く一般に開放する画期的な観光施設であった。
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駒ヶ岳ロープウェイ - 木曽駒ヶ岳
駒ヶ岳ロープウェイ
当初のゴンドラには「くろゆり号」「すずらん号」といった名称が付けられていた。
その後、1998年(平成10年)11月には現在のしらび平駅および千畳敷駅が整備され、施設の更新が行われた。
ロープウェイ乗車中には、峡谷を流れる川や谷、滝などの自然景観が眼下に広がる
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千畳敷駅 - 木曽駒ヶ岳
千畳敷駅
千畳敷駅は、中央アルプス木曽駒ヶ岳の東斜面、千畳敷カールの縁に位置する駒ヶ岳ロープウェイの終点駅である。所在地は長野県駒ヶ根市で、標高は2,612メートル。日本一標高の高い駅とされている。
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千畳敷駅 - 木曽駒ヶ岳
千畳敷駅
高山帯に位置するため気温は平地より著しく低く、夏季でも平均気温は10度前後にとどまり、朝夕や天候悪化時には氷点下近くまで下がることがある。冬季は厳しい寒さと強風にさらされる環境である。

駅前には千畳敷カールが広がり、宝剣岳木曽駒ヶ岳の岩稜を間近に望むことができる。登山拠点としての機能に加え、散策路や展望施設、山岳情報の提供なども整備されており、登山者から観光客まで幅広い利用者を受け入れている。一方で、急激な高度上昇による高山病への注意や、天候急変への備えが不可欠な場所でもある。
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千畳敷駅 - 木曽駒ヶ岳
千畳敷駅
千畳敷駅の歴史は、中央アルプス開発と観光振興の流れの中で形成された。
1967年(昭和42年)7月に駒ヶ岳ロープウェイが開業し、それに伴って現在の千畳敷駅が設けられた。これにより、それまで熟練した登山者に限られていた高山帯への到達が容易となり、木曽駒ヶ岳と千畳敷カールは全国的な観光地として知られるようになった。その後も安全対策や施設改修が重ねられ、現在に至るまで中央アルプス観光と登山の重要な玄関口として機能している。
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交通アクセス

【鉄道+バス】
【自動車】
  • 「しらび平駅」には自家用車で乗り入れることができない。菅の台バスセンターに駐車し、駒ヶ岳ロープウェイバスに乗る。
木曽駒ヶ岳 関連

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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