東海道新幹線 300系は初代「のぞみ」車両

1992年にデビュー
東海道新幹線 300系
2006年3月15日 東京駅 写真:パパぱふぅ
新幹線300系電車は、東海道・山陽新幹線の第3世代の車両で、「のぞみ」として1992年(平成4年)3月にデビューした。2012年(平成24年)3月17日のダイヤ改正で引退した。
東海道新幹線 300系の大きな写真大きな写真
(1078×1280 ピクセル, 604 Kbyte)
東海道新幹線 300系
2000年12月10日 東京駅 写真:パパぱふぅ
100系では230km/hだった営業最高速度は260km/hになり、東京~新大阪を約2時間半で結ぶ「のぞみ」として登場することになった。当初、新横浜駅のみ停車して名古屋駅と京都駅を通過する「のぞみ301号」は大きな話題となった。
東海道新幹線 300系
2003年7月26日 東京駅 写真:パパぱふぅ
1993年(平成5年)に「のぞみ」の運転区間が博多駅まで延長され、東京~博多間を5時間4分で結ぶようになった。
東海道新幹線 300系の大きな写真大きな写真
(1280×949 ピクセル, 651 Kbyte)
新幹線300系と500系
2006年7月24日 東京駅 写真:パパぱふぅ
安定した高速走行を実現するために、車体の空力特性の向上と軽量化が行われている。
車体は、東海道・山陽新幹線用車両では初めてアルミニウム合金が使用された。
新幹線300系と500系の大きな写真大きな写真
(1920×1440 ピクセル, 1703 Kbyte)
東海道新幹線 300系
2010年6月6日 石橋(神奈川県小田原市) 写真:こぱふぅ
また、新幹線で初めてVVVFインバータ制御を採用した。交流モータの採用により、100系の直流モーターと比較して出力は約30%アップしながら重量は半減した。
これらのおかげで、100系では840トンあった編成重量が、約630トンと大幅に軽くなった。
空気抵抗低減のために車体断面が縮小され、車高は100系より40cm程低くなった。
東海道新幹線 300系の大きな写真大きな写真
(2560×1920 ピクセル, 2864 Kbyte)
東海道新幹線 300系
2000年12月10日 東京駅 写真:パパぱふぅ

車内

東海道新幹線300系の車内
新幹線300系電車の車内を紹介する。

100系車両には食堂車、個室、カフェテリア、2階建てというバリエーションがあったが、300系ではこれらを切り捨て、ひたすら高速化にこだわっている。このため、シートのクッション材まで薄くなっている。
なお、普通車B席(3人掛けの中央)は、他の席に比べ4センチほど幅が広い。少しでも広い座席をお求めの方はB席を指定すべし。
東海道新幹線300系の車内の大きな写真大きな写真
(960×1280 ピクセル, 478 Kbyte)
東海道新幹線300系の身障者用トイレ
11号車には車椅子が固定できるスペースがある(普通車指定席扱い)。11号車のトイレは広く、車椅子でも出入りできる。これは300系だけでなく、16両編成新幹線の共通仕様である。
身障者専用というわけではないので、狭いトイレが苦手という方は11号車指定席をとろう!
東海道新幹線300系の身障者用トイレの大きな写真大きな写真
(950×1280 ピクセル, 513 Kbyte)
東海道新幹線300系の洗面台
洗面台には液体石けんが用意されている。
洗面台の脇にAC100Vのコンセントがあるが、これは電気カミソリ用のコンセントとのこと。ドライヤーなど大容量の電気製品は遠慮した方がいいだろう。PCや携帯の充電も、他のお客さんの迷惑になる。
東海道新幹線300系の洗面台の大きな写真大きな写真
(960×1280 ピクセル, 353 Kbyte)
東海道新幹線300系のゴミ箱
ゴミ箱は、ペットボトル/カンとその他の分別方式だ。
東海道新幹線300系のゴミ箱の大きな写真大きな写真
(960×1280 ピクセル, 500 Kbyte)
東海道新幹線300系の公衆電話
車内電話は、NTTのテレホンカードで利用できる。
新幹線では、LCX(リーケージ・コアキシャル・ケーブル、漏洩同軸ケーブル)という方式を用いて通信を行っている。これは、電波が漏れでる特殊な同軸ケーブルを用い、LCXの近傍のみ無線通信を可能にする方式であり、トンネルが多く高速走行する新幹線向きの通信方式となっている。
携帯電話では通話がとぎれがちなので、まだまだ使う機会がある。
東海道新幹線300系の公衆電話の大きな写真大きな写真
(960×1280 ピクセル, 642 Kbyte)

東海道新幹線 開業50周年

東海道新幹線 開業50周年
2014年8月11日 名古屋駅 写真:こぱふぅ
東海道新幹線 開業50周年を記念し、名古屋駅の新幹線ホームに300系のポスターが貼ってあった。

奈良旅行へ出かける際、わざわざ300系を予約したことを思い出す。
東海道新幹線 開業50周年の大きな写真大きな写真
(1280×1791 ピクセル, 1084 Kbyte)
東海道新幹線 開業50周年
2014年8月11日 名古屋駅 写真:こぱふぅ
名古屋駅の構内には、東海道新幹線の歴史や50年前の名古屋駅の航空写真が展示されていた。
東海道新幹線 開業50周年の大きな写真大きな写真
(2560×1300 ピクセル, 1290 Kbyte)

「のぞみ」の由来

新しい新幹線の名前を選考する有識者会議で、最後まで支持されていたのは「きぼう」だった。その席でエッセイストの阿川佐和子さんは、「『ひかり』と『こだま』は大和言葉なので、それに合わせるなら『きぼう』は『のぞみ』になりますね」と発言し、これが最終的な名前となった。
この選考に出席する際、阿川さんが父に相談したところ、「日本国鉄の列車の名前は歴代すべて大和言葉でつけられてきた」とアドバイスされたという。

阿川さんの父で作家の阿川弘之さんは、元帝国海軍士官である。
太平洋戦争末期、帝国海軍士官のあいだで「世界の三バカ」という言葉が流行した。エジプトのピラミッド、中国の万里の長城、日本の戦艦「大和」のことを指し、これらは金と労力ばかり必要で、大きな図体をしながら役に立たないことを揶揄する言葉である。
これになぞらえ、昭和30年代に阿川弘之さんは、新幹線も建設資金の回収に苦しむだけで、「世界四バカ」になるのではないかと新聞紙面で発言し、これに同調する動きが生まれた。
その後、新幹線はわが国の高い技術力を象徴する存在となり、「のぞみ」という名前を提案した阿川弘之さんは、無類の鉄道ファンでもあった。

参考書籍

表紙 惜別300系「のぞみ」
著者
出版社 三栄
サイズ ムックその他
発売日 2012年04月
価格 2,200円(税込)
ISBN 9784779614743
 
300系 関連
(この項おわり)
header