『ヒルズな人たち』――新人類+団塊ジュニア

佐々木俊尚=著
表紙 ヒルズな人たち
著者 佐々木 俊尚
出版社 小学館
サイズ 単行本
発売日 2005年04月11日頃
価格 1,540円(税込)
rakuten
ISBN 9784093875646
彼らには、頼るべき世界観も、安心できる大家族的集団もない。そうしたものが崩壊してなくなってしまった後の更地に、彼ら新世代のネット起業家たちが登場してきたからだ。(253ページ)

概要

六本木ヒルズ 森タワー
六本木ヒルズ 森タワー
ITベンチャーの旗手たちのインタビュー本である。

ライブドアの堀江貴文、楽天の三木谷浩史、ソフトバンクの孫正義、サイバーエージェントの藤田晋、元ライブドア役員で宇宙を目指す榎本大輔、オーケイウェブの兼元謙任、USENの宇野康秀など、いまをときめく人々。反対に、ジェットコースターを下るような人生を歩んだSentivisionの明瀬洋一、M2Xの松島庸、光通信の重田康光と続く。
これら10人の「ネット起業家たちには、2つの世代的特徴がある」と筆者は言う。「ひとつは1960年代半ばに生まれた昔の『新人類』世代であり、もうひとつは。1970年代前半生まれの団塊ジュニア世代である」。新人類世代の私としては、楽天の三木谷社長や光通信の重田社長は、とても身近に感じる存在である。そして、われわれの世代が社会に変革をもたらしていると思うと、自分も頑張ろうという気持ちになれる。

しかし、筆者は非情にも、こう続ける。「しかし彼らには、頼るべき世界観も、安心できる大家族的集団もない」。それはあるかもしれない。サラリーマン生活の中で理不尽なことがあっても、私には帰る家がある。彼らはどうなのだろうか。そういう漠然とした不安から、私は今でもサラリーマン生活を続けている。

なお、本書の中では、インタビューを密に行った人と、そうでない人があるようだ。後者については、筆者の主観と事実を区別しにくいので、その意味では本書はドキュメンタリー本とは呼べないだろう。
(2005年7月5日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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