具体物を数えて計算の意味をつかむ
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目次
本項で扱う範囲
本項の要点
小学1年0から9までの数字と、数を並べた表記
小学1年たし算・ひき算の式と等号
\( \TeX \)0から9までの数字と、\( + \)、\( - \)、\( = \) はキーボードからそのまま入力できる
教科書で見かける式
| # | 表示 | \( \TeX \)表記 |
|---|---|---|
| 1 | \(1234567890\) | 1234567890 |
| 2 | \(1+2=3\) | 1 + 2 = 3 |
| 3 | \(4-1=3\) | 4 - 1 = 3 |
\( \TeX \)表記
数字、\( + \)、\( - \)、\( = \) は、\( \TeX \)表記でもキーボードにある半角文字をそのまま使える。文中に式を入れるときは、式の前を \(、後ろを \) で囲む。例えば \( 3 + 2 = 5 \) は \(3+2=5\) と表示される。
式だけを中央に大きく示すときは、前を \[、後ろを \] で囲む。\( \TeX \)表記の記号の前後に半角空白を入れると人が読みやすくなるが、表示するときの間隔は\( \TeX \)が整える。 \[ 7 + 3 = 10 \] \[ 10 - 4 = 6 \]
式だけを中央に大きく示すときは、前を \[、後ろを \] で囲む。\( \TeX \)表記の記号の前後に半角空白を入れると人が読みやすくなるが、表示するときの間隔は\( \TeX \)が整える。 \[ 7 + 3 = 10 \] \[ 10 - 4 = 6 \]
\( \TeX \)命令の読み方と意味
\( + \)、\( - \)、\( = \) は命令ではなく、半角の記号を直接入力する。\( + \) は「プラス」で加えること、\( - \) は「マイナス」で引くこと、\( = \) は「イコール」で左右が等しいことを表す。算数では、それぞれ「たす」「ひく」「は」と読むことも多い。
\( と \) は「インライン数式の開始と終了」、\[ と \] は「ディスプレイ数式の開始と終了」を表す区切りである。前者は文章の行内、後者は独立した行に式を表示する。ここで使うバックスラッシュは、日本語環境で円記号に見える場合がある。
\( と \) は「インライン数式の開始と終了」、\[ と \] は「ディスプレイ数式の開始と終了」を表す区切りである。前者は文章の行内、後者は独立した行に式を表示する。ここで使うバックスラッシュは、日本語環境で円記号に見える場合がある。
| \( \TeX \)表記 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| + | プラス | たし算 |
| - | マイナス | ひき算 |
| = | イコール | 左右が等しい |
| \( ... \) | インライン数式 | 文中に式を置く |
| \[ ... \] | ディスプレイ数式 | 式を独立した行に置く |
よくある間違い
- 全角の記号を入力する
- \( \TeX \)表記では、全角の「+」「-」「=」ではなく、半角の +、-、= を使う。
- 存在しない命令を書く
- たし算やひき算に \plus、\minus という命令は使わない。記号を直接入力する。
- 数式の区切りを閉じ忘れる
- \( で始めたら \)、\[ で始めたら \] で閉じる。異なる種類を組み合わせない。
- 等号を「答えが出る」の意味だけで捉える
- \(5=3+2\) や \(3+2=4+1\) も正しい。等号は、左右が同じ数であることを示す。
コピーして使える例
文中に置くたし算とひき算
\( 3 + 2 = 5 \) \( 5 - 2 = 3 \)
中央に大きく置く計算式
\[ 7 + 3 = 10 \] \[ 10 - 4 = 6 \]
練習問題
次の問題を解き、式を\( \TeX \)表記で記述する。
- 4個のボールに3個を加える。全部で何個になるか。
- 9枚のカードから5枚を取る。何枚残るか。
- \(6+2\) と同じ答えになるひき算を、答えが8になる式で一つ作る。
- 「左側と右側が同じ数になる」という等号の意味が分かる式を、答えだけを右側に置かずに一つ作る。
解答例
-
\(4+3=7\) となるため、答えは7個である。
解答1の\( \TeX \)表記\( 4 + 3 = 7 \)
-
\(9-5=4\) となるため、答えは4枚である。
解答2の\( \TeX \)表記\( 9 - 5 = 4 \)
-
\(6+2\) の答えは8である。答えが8になるひき算には、例えば \(10-2=8\) がある。
解答3の\( \TeX \)表記\( 10 - 2 = 8 \)
-
答えだけを右側に置かない式には、次のような例がある。
解答4の\( \TeX \)表記\( 5 = 3 + 2 \) \( 3 + 2 = 4 + 1 \)
学習指導要領上の位置づけ
小学校第1学年の算数は、学習指導要領の「A 数と計算」で、ものの個数を数えること、数の大小や順序、数の構成と表し方、加法と減法の意味や計算を扱う。具体物、図、言葉、数、式を結び付け、計算の仕方を考えることが重視されている。
本項は、そのうち数字による数の表現、たし算とひき算の場面、\( + \)、\( - \)、\( = \) を使う式に対応する。\( \TeX \)表記は学習指導要領の学習内容ではなく、そこで学ぶ式をコンピュータ上で正確に表示するための技術として扱っている。
本項は、そのうち数字による数の表現、たし算とひき算の場面、\( + \)、\( - \)、\( = \) を使う式に対応する。\( \TeX \)表記は学習指導要領の学習内容ではなく、そこで学ぶ式をコンピュータ上で正確に表示するための技術として扱っている。
次項:かけ算(小学2年)
次項では、小学2年で学ぶかけ算を取り上げる。同じ数ずつのまとまりを式に表す考え方、倍と九九、被乗数と乗数の意味を確認し、乗算記号 \( \times \) を表示するための\( \TeX \)命令を紹介する。
コラム:アラビア数字とゼロ
アラビア数字の変遷
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現在使われる0から9までのアラビア数字は、名称とは異なり、もとになる数字と十進位取り記数法がインドで発達したものである。古代のエジプト数字やローマ数字にも数を記す仕組みはあったが、位によって同じ数字の値が変わる現在の方式とは異なっていた。インドではブラーフミー数字などの字形が長い時間をかけて変化し、十進法と位取りを組み合わせた表記へ発展した。

位取り記数法では、例えば21と201を区別するために「その位には何もない」と示す場所が必要になる。古代バビロニアでは六十進位取り記数法の空位を示す印が使われ、中央アメリカのマヤでもゼロに相当する記号が独立に生まれた。しかし、現代の十進法へつながるゼロはインドの体系の中で発達した。初めは空位を示す点などであったものが数字となり、ブラーマグプタは628年の『ブラーマ・スプタ・シッダーンタ』で、ゼロを同じ数どうしを引いた結果と説明し、ゼロを含む計算規則をまとめた。
位取り記数法では、例えば21と201を区別するために「その位には何もない」と示す場所が必要になる。古代バビロニアでは六十進位取り記数法の空位を示す印が使われ、中央アメリカのマヤでもゼロに相当する記号が独立に生まれた。しかし、現代の十進法へつながるゼロはインドの体系の中で発達した。初めは空位を示す点などであったものが数字となり、ブラーマグプタは628年の『ブラーマ・スプタ・シッダーンタ』で、ゼロを同じ数どうしを引いた結果と説明し、ゼロを含む計算規則をまとめた。
ウズベキスタンのヒヴァ城入口にあるフワーリズミー像
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インドの数字と計算法はイスラム世界へ伝わり、9世紀初めにはフワーリズミーがインド式計算法をアラビア語で著した。その書物は12世紀にラテン語へ翻訳され、計算法を意味する「アルゴリズム」という語にも彼の名が残った。
さらにフィボナッチが1202年(建仁2年)の『算盤の書』で九つの数字とゼロを紹介し、商業計算での有用性を示した。ヨーロッパではローマ数字や計算盤が長く併用されたが、写本、商業、印刷術を通じて次第に普及し、16世紀ごろまでに広く使われるようになった。

つまり「アラビア数字」という名は、ヨーロッパから見てアラビア語圏を経由して伝わったことに由来する。起源と伝播の両方を示す場合にはインド・アラビア数字と呼ぶ。ゼロは単なる「無」の記号にとどまらず、\(10\)、\(100\)、\(205\) のような位取りと、\(5-5=0\) のような計算を一つの体系で扱えるようにした重要な数である。
つまり「アラビア数字」という名は、ヨーロッパから見てアラビア語圏を経由して伝わったことに由来する。起源と伝播の両方を示す場合にはインド・アラビア数字と呼ぶ。ゼロは単なる「無」の記号にとどまらず、\(10\)、\(100\)、\(205\) のような位取りと、\(5-5=0\) のような計算を一つの体系で扱えるようにした重要な数である。
コラム:+(足す)と-(引く)
たし算とひき算そのものは古代から行われていたが、初期の計算書は記号ではなく文章や言葉の省略形で手順を記していた。ヨーロッパでは「より多い」を表すラテン語 plus、「より少ない」を表す minus、またはそれぞれの頭文字などが使われた。\( + \) の形は、ラテン語で「そして」を意味する et を速く書いた合字から生じたという説が有力で、14~15世紀の写本には現在の \( + \) に近い形が見られる。一方、\( - \) の正確な由来には諸説があり、単純な横線として不足を示す商業上の印が定着したと考えられている。
Behende und hübsche Rechenung auff allen Kauffmanschafft
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ヨハネス・ヴィトマンは1489年(長享3年)、ライプツィヒで刊行した商業算術書『Behende und hübsche Rechenung auff allen Kauffmanschafft』で \( + \) と \( - \) を印刷物に用いた。これは両記号が印刷された最初期の確実な例である。ただし、その時点では計算命令というより、商品の重量などの超過と不足を示す印であった。記号は印刷以前から商人の帳簿や樽の印などに使われていたとされ、実務の略号が数学へ入った流れが見える。
16世紀に入ると、1514年(永正11年)のギール・ファンデル・フッケの算術書や、1518年(永正15年)のヘンリクス・グラマテウスの算術・代数書などで、\( + \) と \( - \) が加法と減法の演算記号として使われた。イングランドではロバート・レコードが1557年(弘治3年)の『知恵の砥石』で両記号を説明したことが普及を後押しした。印刷によって同じ形を繰り返し再現できるようになり、地域や著者ごとに異なっていた略記が、現在の国際的な算術演算子へまとまっていったのである。
コラム:=(等号)
ロバート・レコード
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等しいという関係も、記号よりはるかに古い。古代から中世の数学書では、「等しい」「~になる」に当たる言葉を文章中に書くか、ラテン語 aequalis などの省略形を使うことが多かった。現在のように式の左辺と右辺を一つの記号で結ぶ書き方はまだ統一されておらず、計算は文章を読み進めながら理解する必要があった。

現在の \( = \) を数学書で導入した人物として知られるのが、ウェールズ出身の医師・数学者ロバート・レコードである。レコードは1557年(弘治3年)に英語で刊行した代数学書『知恵の砥石』(The Whetstone of Witte)で、同じ長さの平行な2本線を等しさの記号として使った。「同じ長さの平行線ほど等しい二つのものはない」という趣旨で形を選んだのである。当初の線は現在の等号より横に長く、同じ計算の中で「等しい」と何度も言葉で書く手間を省く目的があった。
現在の \( = \) を数学書で導入した人物として知られるのが、ウェールズ出身の医師・数学者ロバート・レコードである。レコードは1557年(弘治3年)に英語で刊行した代数学書『知恵の砥石』(The Whetstone of Witte)で、同じ長さの平行な2本線を等しさの記号として使った。「同じ長さの平行線ほど等しい二つのものはない」という趣旨で形を選んだのである。当初の線は現在の等号より横に長く、同じ計算の中で「等しい」と何度も言葉で書く手間を省く目的があった。
新しい記号は、提案されてすぐ世界標準になったわけではない。レコードの使用後、印刷物で再び確認されるのは1618年(元和4年)で、1631年にはウィリアム・オートレッドやトーマス・ハリオットの著作にも現れた。同じ時代には別の等号や言葉による表現も併用されていたが、代数学の発達と書物の流通によって \( = \) が次第に定着した。短い2本線は、長い説明を左右の値が等しいという一つの関係へ凝縮した記号なのである。

小学算数で \(3+2=5\) を「3たす2は5」と読むと、\( = \) を「答えを書く合図」と思いやすい。しかし、その歴史と形が示す本来の役割は左右を結ぶことにある。そのため \(5=3+2\) も \(3+2=4+1\) も正しく、等号を天びんの支点のように見ると意味をつかみやすい。

多くのプログラミング言語では、\(x=3+2\) が「3たす2の結果を変数xに代入する」という意味になり、\( = \) を「代入演算子」と呼んでいる。等号は \( == \) で表す。
小学算数で \(3+2=5\) を「3たす2は5」と読むと、\( = \) を「答えを書く合図」と思いやすい。しかし、その歴史と形が示す本来の役割は左右を結ぶことにある。そのため \(5=3+2\) も \(3+2=4+1\) も正しく、等号を天びんの支点のように見ると意味をつかみやすい。
多くのプログラミング言語では、\(x=3+2\) が「3たす2の結果を変数xに代入する」という意味になり、\( = \) を「代入演算子」と呼んでいる。等号は \( == \) で表す。
参考サイト
- 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編:文部科学省
- Support Table:KaTeX
- A history of Zero:MacTutor History of Mathematics
- Decimal numeration and the place-value system:MacTutor History of Mathematics
- The Origin of the Number Zero:Smithsonian Magazine
- Earliest Uses of Symbols of Operation:MacTutor History of Mathematics
- Mathematical Treasures - Widman's Commercial Arithmetic:Mathematical Association of America
- Earliest Uses of Symbols of Relation:MacTutor History of Mathematics
- Robert Recorde:MacTutor History of Mathematics
(この項おわり)

この項では、小学1年で扱う身近な例を通して、数、たし算、ひき算と、答えが同じであることを示す等号を学ぶ。さらに、これらの短い式を\( \TeX \)表記で記述する。