大田市場 青果棟・水産棟・関連棟

2008年11月17日 撮影
大田市場
水産棟-大田市場
モニュメントを見れば、すぐに水産棟とわかる。
大田市場の水産品取扱額は1日当たり8,100万円と、築地市場の21億円には遠く及ばない。
じつは、当初、築地市場を大田市場に移転・合併させる計画があった――見学会の冒頭に、市場の方が説明してくれた。
大田市場付近は昭和30年代から大井埠頭埋め立て地として埋め立てが始まっており、将来的には、60万平方メートルの敷地に都内の主要な市場を集める計画だった。そして、1971年(昭和46年)に埋め立てが完了した。
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青果棟-大田市場
大田市場では、新鮮な魚を提供するための関東一大きな水槽や冷蔵機能を持ち合わせたセリ場を用意している。
地盤が安定するまでの間、埋め立て地は整地されることもなく放置されていた。その間に雨水が溜まり自然の淡水池ができ、野草が繁茂し、いつしか野鳥の楽園となっていた。
この野鳥の楽園を守ろうと、地元住民などが立ち上がり、1978年(昭和53年)、敷地の北西の一角が東京港野鳥公園としてオープンした。
が、この時はまだ小さな市民公園に過ぎなかった。
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2009年(平成21年)1月5日、青果物の初セリがあった。景気が後退する中、2008年(平成20年)の初セリに比べ、イチゴは8%安、ダイコンは10%安、レンコンは28%安となった。
東京青果の川田一光社長はセリの冒頭で「果物にとって厳しい1年となることが予想される」と述べている。
青果棟-大田市場
青果棟のモニュメントは、カブ、タケノコ、それにブドウだ。

その後、築地市場側は、新しい市場として50万平方メートルの敷地を求めるなど、反対運動が強くなっていった。さらに、野鳥公園の拡張運動に押される形で大田市場の計画面積は徐々に縮小していった。
築地市場の統合には失敗したものの、最終的に神田、荏原、蒲田、大森の4つの市場を移転させ、総面積40万平方メートルの大田市場と、それを取り囲むように約26万平方メートルの野鳥公園が誕生した。
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卸売場-大田市場
日本一というだけあり、青果棟の中は広い。1階の卸売場だけで、東京ドームに匹敵する広さである。
フォークリフトはもちろんのこと、大型トラックも出入りしている。

21世紀に入り、築地市場の移転先とされる、ゆりかもめ・市場前駅付近では、環境基準の1,000倍に当たるベンゼンが検出されるなど土壌汚染が指摘されている。土壌改善のためには1,000億円以上の費用がかかるといい、これだけで大田市場の建設費に匹敵する。
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競売場-大田市場
一方、来年施行される市場法改正により、市場を経由した取引は一層減少すると予想されている。
中央卸売市場の運営は非常に厳しい局面にあると言える。
野菜のせりは毎朝6時50分から始まる。
花き部とは異なりシステム化はされておらず、昔ながらの方法でせりが行われている。
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大田市場
イオンやセブン&ワイといった巨大流通グループが君臨する時代にあって、こうした伝統が失われていく一方、相次ぐ偽装や事故で食の安全が揺らぐという大問題も抱えている。
卸売市場も巨大流通グループも、いずれもシステム化が不十分であることだけは確かである。
青果棟には、仲卸業者が177社、301店舗入っている。
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関連棟-大田市場
関連棟には、市場関係者のための食堂や雑貨品店が並ぶ。銀行や郵便局もある。

関連棟では、見学者に対しても小売をしてくれる。
一般人が大田市場内で買い物ができるのは、秋の一般公開日のだけである。
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交通アクセス

大田市場(東京都大田区東海三丁目2番1号)の青果棟、水産棟、関連棟は花き棟から道路をひとつ隔ててある。

青果棟は、延べ床面積9万4,900平方メートル。2007年(平成19年)の1日当たり取扱量は3,175トン、取扱額は8億6,200万円。前述のように日本一の規模を誇る。
水産棟は、延べ床面積2万4,900平方メートル。2007年(平成19年)の1日当たり取扱量は88トン、取扱額は8,100万円。

近隣の情報

参考サイト

参考書籍

表紙 野鳥の公園奮闘記
著者 加藤幸子(作家)
出版社 三省堂
サイズ 全集・双書
発売日 1986年06月
価格 1,922円(税込)
ISBN 9784385412184
 
(この項おわり)
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