Windows 10 Pro は進化し続けるOS

2015年7月 入手
Windows 10 Pro
大きな写真大きな写真
(1918×1202 ピクセル, 688 Kbyte)
Microsoftの新しいOS「Windows 10」が、2015年(平成27年)7月29日にリリースされた。それまで試用していたWindows 10 Insider Previewが、自動的に正式版にPro版にアップグレードされた。
新しいOSは、ひと言で言えば、Windows 7とWindows 8.1のいいとこ取りをした感じである。
2015年(平成27年)11月、混乱があったものの、初のメジャーアップデートとなるNovember Update(1511)Build 10586)がリリースされた。2016年(平成28年)1月27日現在の最新ビルドは 14251 である。

現在Windows 7/8/8.1を利用しているユーザーは無償でアップグレードできる。
デスクトップにポップアップ表示される「Windows 10へのアップグレード」を予約すると、すぐにアップグレードが開始される。または、Windows Updateにおける「オプションの更新プログラム」によってアップグレードできる。
ネット上では様々な憶測が飛び交っているが、「Windows 10へのアップグレード更新プログラム」は実際にWindows 10をインストールする前に意思確認を行うので、間違ってアップグレードしてしまうことはないだろう。

Windows 10に要求されるメモリは、32ビットは1Gバイト、64ビットは2Gバイト。ストレージの空き容量は32ビットが16Gバイト、64ビットは20Gバイト必要だ。ディスプレイは8インチ(解像度は800×600ピクセル)以上をサポートする。
スタートボタンとスタートメニューが復活した。シャットダウンや再起動もスタートメニューから行えるようになった。
メニューにはWindows 8のライブタイルも格納されており、ここは評価が分かれるところだろう。
地味に進化したのがコマンドプロンプトだ。
マウスで範囲を指定し、CTRL+C, CTRL+Vでコピペできるようになった。その他にも複数のショートカットキーが使えるようになった。

また、ウィンドウ幅を小さくしたときに、スクロールバーではなく表示文字が折り返されるようになった。
バッチ処理を常用するときに助かる機能アップだ。

エディション

Windows 10 Home
個人向けのPC、タブレット、2in1が対象のエディション。Windows 8.1の後継に相当する。サブパターン。
Windows 10 Mobile
個人向けのスマートフォン、小型タブレットが対象のエディション。Windows Mobile 8.1の後継に相当する。
Windows 10 Pro
スモールビジネス向けPC、タブレット、2in1が対象のエディション。Windows 8.1 Proの後継に相当する。
Windows 10 Enterprise
企業向けPC、タブレット、2in1が対象のエディション。Windows 8.1 Enterpriseの後継に相当する。
Windows 10 Education
教育機関のPC、タブレット、2in1が対象のエディション。
Windows 10 Mobile Enterprise
企業向けのスマートフォン、小型タブレットが対象のエディション。
Windows 10 IoT Core
小さなフットプリント、ゲートウェイのような低コストデバイス、IoT(モノのインターネット)が対象の組み込み用エディション。
無償アップグレード対象OSのエディション対応は下記の通りである。
Windows 7 Starter Windows 10 Home
Windows 7 Home Basic Windows 10 Home
Windows 7 Home Premium Windows 10 home
Windows 7 Professional Windows 10 Pro
Windows 7 Ultimate Windows 10 Pro
Windows 8.1 Windows 10 Home
Windows 8.1 Pro Windows 10 Pro
Windows 8.1 Pro Student Windows 10 Pro
Windows 8.1 Pro WMC Windows 10 Pro
Windows 10では、ソリティアやマインスイーパー、ハーツなどのゲームが復活し、英Kingの人気ゲーム「キャンディークラッシュ」もインストールされる。

Windows 7からWindows 10へアップグレードすると、DVD-Video再生機能やUSBフロッピーディスクドライブのドライバがが削除される。別途再生ソフトをインストールすれば問題ない。Microsoftによれば、Windows 10用のDVD再生機能オプションを提供する予定もあるという。

無償アップグレードに注意喚起

2016年(平成28年)6月22日、消費者庁は、Windows 10に意図せずアップグレードしてしまうユーザーが続出している問題について「確認・留意が必要な事項について」と情報提供する資料を公表した。

これを受け、アップグレードを促すウィンドウが数のように変更された。
「無償アップグレードを辞退する」人がいるのだろうか?
Windows 10 無償アップグレード

ビルド14361

2016年(平成28年)6月6日、Build 14361がリリースされた。

Edgeの拡張機能で、パスワード管理機能を備える拡張機能「LastPass」が利用可能になった。最新のInsideer Previewで利用できる拡張機能はこれで計10個となった。

ビルド14328

2016年(平成28年)4月22日、Build 14328がリリースされた。

Windows Inkは、付箋紙や対応アプリに手書きで文字を描くもの。付箋紙、Sketchpad、Officeスイート、Microsoft Edge、マップなどのアプリで利用できる。
「Surface Pro 4」や「Surface Book」に付属する新しい「Surfaceペン」は初期設定でWindows Inkを利用できる。残念ながらマウスでは動かないようだ。
  • 付箋紙の作成
  • スケッチパッドでの手書き(定規付き)
  • Snipベースでの画像への手書き
  • 最近使ったInk対応アプリを開く
  • ペンの設定画面を開く


この他、スタートメニューで「すべてのアプリ」が1クリックで表示できる機能や、ロック画面でのCortanaの起動などの機能が追加された。

ビルド14316

bash - Windows 10
2016年(平成28年)4月6日、Build 14316がリリースされた。仮想環境で実行しているせいか、いままでになくアップデートに時間がかかった(およそ2時間)。

このビルドでは、Ubuntubash が利用できるようになった。
まず、「Windowsの機能」ダイアログから "Windows Subsystem for Linux"(WSL) を有効にする。有効にしたら再起動が必要だ。
bash - Windows 10
コマンドプロンプトを起動し、"bash" を実行する。
初回はライセンス確認を求められれ、「y」キーを押すことで Ubuntu のイメージファイルをWindowsストアからダウンロードして、展開する。この間、約20分。
bash - Windows 10
しばらくするとプロンプトが変わり、bashが起動したことが分かる。バージョン4.3.11だ。
bash - Windows 10
コマンドプロンプト上で gawkapt-get が使えるのは、不思議な感じがする。

ビルド14291

Loading
2016年(平成28年)3月17日、Build 14291がリリースされた。

ブラウザ Edge の拡張機能が搭載された。拡張機能を追加するには、 Edge 画面右端の[・・・]を選択し、「拡張機能」を開く。Microsoftの翻訳機能(上図)、マウスジェスチャー、他のWebブラウザで人気の「Reddit Enhancement Suite」の早期プレビューを追加できる。
さらに、よく使用するWebサイトのタブをピン留め(固定)できる機能や、アドレスバー上で右クリックした際に、クリップボード上にコピーしていたURLへ直接ジャンプしたり、選択していた文字列を貼り付けて即座に検索できたりする機能を追加した。
日本語入力ソフトキーボード - Windows 10
また、携帯配列の日本語入力ソフトキーボードと手描き入力機能が追加された。モバイルデバイスと同じ使い勝手の文字入力を実現している。

ビルド14251

Edge - Windows 10
2016年(平成28年)1月27日、Build 11102に続いてBuild 14251がリリースされた。ビルド番号が大きく増えたが、これまでPCとモバイルで分かれていたビルド番号を統一するためのものである。

バグ修正などが中心だが、ブラウザ Edge の戻る/進むボタンに履歴メニューが追加された。

November Update(1511)

Cortana - Windows 10
2015年(平成27年)11月12日、初のメジャーアップデートとなるTH2(Build 10586)がリリースされた。THはWindows 10の開発コード Threshold の略称と言われており、7月29日の正式版リリースがTH1とされている。

Cortana が日本語で使えるようになった。
カードを設定すると、左図のように最新ニュースや天気予報が表示される。

アップデートには、ダウンロードも含めて1時間以上を要した(長い)。
途中でWindowsが突然落ちるというトラブルに見舞われた。再起動はしたものの、Edgeが起動しなくなり、もう一度再起動したら治った。まだ不安定な部分があるようだ。
11月25日、正式な「November Update(1511)」がリリースされ、再びアップデートに1時間以上を要した。
Microsoftでは、今回のアップデートに不備があったとして公開を一時停止した後、あらためて公開するという事態になった。
業務用PCでは、停止時間が長いということと、アップデートにおけるネットワーク負荷も高いようだ。企業のネットワーク管理者は帯域管理に注意が必要だ。

ビルド10565

Microsoft Edge - Build10565 - Windows 10
ビルド10565では、Edgeで複数のタブを開いているとき、背後にあるページのタブにカーソルを合わせると小さなサムネイルでプレビュー表示する機能「Tab Preview」が追加された(左図参照)。写真はプレビューしないようだが、多くのタブを開いている時に便利だ。

また、Skype アプリを起動せずに直接メッセージングや通話で返信できる「Quick Reply」機能が使えるようになった。Skypeユーザーには便利な機能だ。Skypeアプリも存続している。
Build 10565のISOファイルは、公式サイトからダウンロードできる。日本語版の64ビット版は3.76Gバイト、32ビット版は2.83Gバイトだ。
Build 10565では、Windows 7/8/8.1のプロダクトキーを使用してWindows 10のアクティベーションが可能となった。これにより、Windows 7/8/8.1をインストールせず、Windows 10をクリーンインストールできる。

アプリ「メール」は様々なサービスに対応

標準アプリ「メール」は、Windows 8/8.1の進化版で、Outlook.comやGmail意外に、様々なインターネットメールに対応している。

アカウントの追加方法については「Windows 10 メール アプリ 新規設定方法(IMAP)」に詳しい。また、「Windows 10の通知機能でGmailの新着メールを確認したい」で紹介されているように、新着メールが到着したらアクションセンターに通知を出すこともできる。

ライトユーザーなら、このアプリの機能で十分だろう。

ロック画面に表示

ロック画面 - パーソナル設定 - Windows 10
ロック画面にアプリケーションの状態を表示することができる。

「設定→パーソナル設定→ロック画面」を開き、その中にある「状態の詳細を表示するアプリを選ぶ」と「簡易ステータスを表示するアプリを選ぶ」でステータスを表示したいアプリを選択できる。
ロック画面 - Windows 10
設定したアプリは、ロック画面の時計と日付のすぐ下に、内容を含めたステータスが表示される。

新アプリ「フォト」はレタッチができる

フォト - Windows 10 Pro
新アプリ「フォト」は、画像ビューワだけでなく、レタッチもできる便利なツールだ。

サポートしている画像形式は、JPEG, PNG, BMPだけでなく、キヤノンのデジタル一眼レフカメラ「EOS 6D」のRAW形式も開くことができた。
フォト - Windows 10 Pro
「基本修正→補正」を実行すると、明るさやコントラルト、色合いなどを簡易補正してくれる。

この他にも、切り取り、回天、傾き補正、赤目処理、フィルター、カラー調整など、デジカメ写真のレタッチに必要な機能が網羅されている。

変わる Windows Update

Windows 10ではWindows Updateの周期が大きく変わる。
Microsoftは、セキュリティ対策やバグフィックスだけでなく、最新テクノロジーの追加投入を行うため、OSそのものを強化し続ける計画だ。これを「Windows as a Service」と表現しており、「Windows 10が最後のOSリリースになる」と説明している。
具体的にはWindows Updateの周期を4つのグループに分ける。

Windows Insider Preview Branchは、一番早いタイミングで最新アップデートが受けられる。Windows Insider Program参加者が利用してきたものだ。
Current Branch(CB)は、Windows 10 Homeにおける初期設定で、年2~3回の大規模アップデートが行われる。
Current Branch for Business(CBB)は、企業向けの設定で、CBから約4カ月後にリリースされ、最大約8カ月間の社内テストが可能というもの。対象エディションはWindows 10 Pro/Enterpriseの2つであり、Homeは対象外だ。
Long Term Servicing Branch(LTSB)は、2~3年に1回程度のリリース、最大10年間のサポート、新機能や機能拡張のリリースはなしと、固定された環境で長期間利用し続けたい法人ニーズに応えたものだ。サブスクリプション契約が必要なWindows SA(Software Assurance)またはEnterprise Upgradeで利用可能だ。

IMEにクラウド候補機能

IMEクラウド候補機能 - Windows 10 Pro
日本語入力ソフト「Microsoft IME」にクラウド候補機能が追加された。Bingで使われている検索ワードのサジェスト機能を利用し、話題のワードを予測変換に表示することができる。ATOK でお馴染みの機能が、ようやくMS-IMEにも実装された形だ。
クラウド候補機能を使うための設定は以下の通り。
  1. 通知領域に表示されているMicrosoft IMEアイコンを右クリックする。
  2. プロパティを選択する。
  3. 詳細設定をチェックする。
  4. 予測入力タブにある「クラウド候補を使用する」にチェックを入れる。
  5. 「OK」ボタンをクリックする。
IMEクラウド候補機能 - Windows 10 Pro

"Windows.old" はすぐに削除すべきか

Windows 7/8.1からWindows 10にアップグレードすると、過去の環境をバックアップした "Windows.old" フォルダがCドライブに生成され、これによりアップグレード前の状態に戻ることができる。このバックアップフォルダは、1か月後に自動消去される。
環境にもよるが、"[Windows.old:blue" は数十GBにも達するので、ディスク容量を圧迫する。不要ならば削除しても構わないが、もしトラブルが発生してもアップグレード前の環境に戻せなくなる。

Windows 10の予約をしていなくてもインストーラがダウンロードされる

Windows 10 Pro
Windows 7/8.1の利用者で「Windows 10の予約」をしていない場合でも、インストールファイル約6Gバイトがダウンロードされることが分かった。HDDの残容量が少ないような環境では注意が必要だ。
私の環境でも、いつの間にかWindowsの起動ドライブの直下に "$WINDOWS.~BT" という隠しフォルダができており、約5.8Gバイトを占有していた。

2015年(平成27年)9月12日現在、自動ダウンロードを中止する方法は公表されていないが、非公式ながらITmediaが「Windows 10、予約しなくても約6GBのファイルを自動ダウンロード(回避方法あり)」で回避方法を紹介している。

参考サイト

(この項おわり)
header