iMac を Windows 10 Pro にアップグレード

2016年7月 導入
Windows 10 Pro
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Microsoftの新しいOS「Windows 10」が、2015年(平成27年)7月29日にリリースされた。
これまで、「Windows 10 Insider Previewには新機能がてんこ盛り」「Windows 10 Pro は進化し続けるOS」で紹介してきたように、iMac 27インチ(ME088J/A)に導入した Windows 7 Professional 上の仮想環境(VMware)で試用してきた。いよいよ無償アップグレード期限を迎える時期になり、ホストOSをWindows 10にアップグレードすることにした。
OSのアップグレード自体は簡単だが、BootCampのバージョンアップなどでトラブルが発生したので、その備忘録を兼ねて報告していく。

目次

自動再起動を防ぐ

Windows 10 では自動更新がデフォルトになっている。
だが、席を離れた途端にOSが再起動するのは困るという場合、Anniversary Update では自動的に再起動しない時間帯(アクティブ時間帯)を指定する機能が追加された。
自動再起動を防ぐ - Windows 10
上図のように、[設定]→[更新とセキュリティ]→[Windows Update]→[アクティブ時間の変更]を指定することで、自動的に再起動しない時間帯を指定できる。指定できるアクティブ時間は1つだけで、12時間以下にしなければならない。

管理者権限でバッチ実行

管理者権限でバッチ実行 - Windows 10
サービスの再起動など、バッチを管理権限で実行したい場合、いちいち右クリックでコンテキストメニューを表示し、「管理者として実行」を選択しなければならない。
ところが、このバッチファイルに対するショートカットを作成し、ショートカットのプロパティから「ショートカット→詳細設定」を選ぶと、常に管理者として実行できるチェックボックスがあらわれる。
システムの脆弱性を考えると危険な香りがする機能ではあるが、便利なので使わせてもらっている。

Build 15002

Build 15002 - Windows 10
2017年(平成29年)1月にリリースされた Build 15002 では、最大35日間アップデートを停止できる機能が追加された。また、Windowsアップデート時にドライバのアップデートを含めるかどうかを設定できるオプションが加わった。
「Windowsの設定→更新とセキュリティ→詳細オプション」が左図のように変更になっている。
Build 15002 - Windows 10
Windowsアップデートなどに失敗した場合にPCのリフレッシュ/リセットを行う Refresh Windows 機能が追加された。DVDなどで提供されるWindowsイメージを必要としない点が特長だ。
「Windowsの設定→更新とセキュリティ→回復」が左図のように変更になっている。
「このPCを初期状態に戻す」の「開始する」をクリックして、オプションで「個人用ファイルを保持する」を選択するとPCのリフレッシュが実行され、オプションで「すべてを削除する」を選択するとPCのリセットが実行される。プリインストールPCであれば、さらに「出荷時の設定に戻す」オプションが利用できる。
ブラウザ Edge に、タブのプレビューバー機能や、複数のタブをまとめて置いておく機能が加わった。
また、Google Chrome 同様、ユーザーが明示的に許可しない限り、信頼できないFlashコンテンツはデフォルトでブロックされるようになった。

Skypeが動いている?

2016年(平成28年)11月頃から、Norton SecuritySkype 関連のプロセスが通信していると警告を挙げるようになった。Skypeをインストールした記憶がないので、何度か「常に遮断」を選択したのだが、すぐにまた警告を発する。

コントロールパネルの「プログラムと機能」を見たのだが、Skypeはインストールされていない。ところが、Windowsスタートからプログラム一覧を見ると、
Skype - Windows 10
このように「Skypeプレビュー」なるものがある。速攻でアンインストールした。

別にSkypeが悪いアプリだというつもりはないが、インストールしたことのないアプリに、勝手にネットアクセスさせるのは止めてほしい。

Anniversary Update の不具合

Anniversary Update の適用直後に、PCが起動しなくなるなどの報告があります。実際、私の身近でも起こり、セーフモードに入って解決したという事例がありました。
症状と対策については、下記サイトをご覧下さい。

Anniversary Update

Windows 10 Anniversary Update
2016年(平成28年)8月2日、公開1周年を記念した大型アップデート「Anniversary Update」(version 1607)の配信が始まった。

Bashシェルを使いたかったので手動アップグレードしたが、6時間以上を要した。巷間では多くのトラブルが報告されているが、Dropboxが自動起動しなくなったことを除けば大きな問題はなかった。(再インストールで復旧)
電源ONからログイン画面まで28秒、シャットダウンは5秒以下と、体感できるほど高速化された。
bash - Windows 10
Bashシェルがサポートされた。LinuxのUbuntu実行環境をサポートすることにより、Bashシェルやそれ以外のUbuntuベースのバイナリプログラムをそのまま入手して実行することが可能になる。
詳しくは ビルド14316 を参照されたい。
Edgeでは拡張機能がサポートされた。
詳しくはビルド14291 および ビルド14361 を参照されたい。

Windows Inkが加わった。スケッチ用のアプリや付箋アプリなどを使って、ペンによるメモ書き、イラスト描画などができるようになった。
詳しくはビルド14328 を参照されたい。

タスクバー上のカレンダー機能の強化され、タスクバー上のカレンダー(時刻と日付の調整)がUWPアプリのカレンダーと連動して予定などを表示できるようになった。

ライセンス認証方法が変更され、Microsoftアカウントに関連付けされたライセンス認証方式が追加された。これを利用することにより、ハードウェア構成を大きく変更してライセンス認証が解除されても、Microsoftアカウントを使ってオンラインで再認証できるようになった。

マルチデスクトップ機能の強化され、アプリやそのウィンドウを、全ての仮想デスクトップに表示させることができるようになった。

無償アップグレードすべきか

2016年(平成28年)7月29日、無償アップグレード期間が終了する。
1年半にわたってWindows 10を評価してきた結果、手持ちのほとんどのアプリケーションが動くことと、デザインには難があるが、応答速度は満足できるものであることから、アップグレードを決断した。

ただ、マイクロソフトによる無償アップグレードの勧めた方は強引なものがある。
2016年(平成28年)6月22日、消費者庁は、Windows 10に意図せずアップグレードしてしまうユーザーが続出している問題について「確認・留意が必要な事項について」と情報提供する資料を公表した。
これを受け、アップグレードを促すウィンドウが変更されたのだが、7月22日にはこんなウィンドウが表示されるようになっていた。
Windows 10 無償アップグレード

Windows 7 Proからのアップグレード手順

アップグレードでは、ほとんどのデバイスドライバ、サービス、アプリケーションの設定は引き継がれ、データが消えることもない。心配な方は、"C:\Users\" 以下をバックアップしておけばいいだろう。

iMacBootCamp 5.1 を使っているが、BootCampのバージョンアップはWindows 10へのアップグレードが終わってから行う。
Windows 10 無償アップグレード
Windows 7の右下の通知エリアに、Windows 10アップグレードの通知アイコンがある。これをクリックすると、事前にダウンロードされてているインストーラーを使ってアップグレードが始まる。
まず、ここでトラブルが起きた。
アップグレード直後にエラーが発生し、Windows 10アップグレード・パッケージを再ダウンロードしなければならなくなった。その容量は3Gバイト――1時間20分かかった。
下表に、主なプロセスと所要時間を整理した。
No. プロセス 所要時間
1 アップグレード・パッケージの再ダウンロード 80分
2 Windows 7再起動→Windows 10 アップグレード画面 - ファイルをコピーしています 25分
3 機能とドライバーをインストールしています 25分
4 設定を構成しています 10分
5 Windows10の設定 5分
6 合計 145分

BootCampのバージョンアップ手順

BootCampのバージョンアップ手順
Windows 10が起動したら、次にBootCampのバージョンアップを行う。バージョンアップしないと、Bluetoothやカメラなど iMac 固有の機能が使えない。

「すべてのプログラム」に Apple Software Update が移行されているはずなので、これを実行すると、BootCamp 6 へバージョンアップができる。
ここでは「インストール」を選択しないで、「メニュー→ツール→ダウンロードのみ」を選択する。通常手順でバージョンアップできないトラブルが発生する場合があるからだ。
BootCampのバージョンアップ手順
BootCamp 6 は1.1Gバイトあり、ダウンロードに30分以上かかる。気長に待とう。
BootCampのバージョンアップ手順
ダウンロードできたら、Apple Software Update の「メニュー→ツール→ダウンロードされた更新のフォルダを開く」を選び、"AppleBcUpdate.exe" を実行する。
BootCampのバージョンアップ手順
通常は、この手順で BootCamp 6 にバージョンアップできるはずだが、左図のようなエラーが出たら、インストール済みの BootCamp 5 をアンインストールする必要がある。
まず、Windows 10対応の インストール/アンインストール問題修復用プログラムをダウンロードする。
このプログラムを実行するとプログラム一覧が表示されるので、アンインストール対象として BootCamp 5 を選択する。すると、問題点が修復され、自動的にアンインストールされる。
そうしたら、再起動はせず、先ほどの"AppleBcUpdate.exe" を実行する。
これで BootCamp 6 にバージョンアップできるはずである。
BootCampのバージョンアップ手順
Windows 10を再起動すると、いくつかのドライバが更新され、BootCamp 6 になっているのが分かる。

日本語入力の変更

ATOK
日本語入力ソフトとして「ATOK」を利用しているのだが、MS IME に戻ってしまっている。
ATOK自体は引き継がれており、「Windowsボタン(右クリック)→コントロールパネル→言語→日本語→入力方式→入力方式の追加」を選択して、ATOKを追加してやる。
ATOK
次に、「コントロールパネル→言語→詳細設定→規定の入力方式の上書き」で、ATOKを選択する。

マイクロソフト社に悪意があるのではないかと思うほど、面倒な手順である。

Apacheの問題解決

IISの停止
Windows 7では Apache をインストールしていたのだが、サービス停止していたはずの IIS が復活しており、初期状態ではApacheサービスが開始できない状態だった。
「コントロールパネル→プログラムの機能の有効化または無効化」を選び、「インターネットインフォメーションサービス」のチェックを外す。

日本語フォントの変更

日本語フォント
Windows 10では、日本語フォントとして「Yu Gothic UI」を採用した。左がYu Gothic UI、右がWindows 7のメイリオである。
スマホのために開発されたフォントであるため、PCで使うと違和感がある。
メイリオに戻そうとしたのだが、Windowsの設定ではシステムフォントの変更ができない。
そこで、フリーソフト「Meiryo UIも大っきらい!!」を使ってメイリオに変更した。

ProgramFiles のアクセス権

ProgramFilesのアクセス権
"C:\ProgramFiles\" および "C:\ProgramFiles (x86)\" に、一律にアクセス権保護がかかっている。
このため、これらのフォルダに設定ファイルを書き込むプログラムが正常に動作しなくなる場合がある。
上図のように、フォルダのプロパティを表示し、Usersのセキュリティ設定をフルコントロールに変更してやると直る。

タスクマネージャ

タスクマネージャ
タスクマネージャの起動場所とデザインが変わった。
「Windowsボタン(右クリック)」または「Win+X」でコントロールパネルを立ち上げ、そこから「タスクマネージャ(T)」を選択する。

表示は左図のようにタブ構成になっており、Windows 7時代より表示がスッキリとした。
時々、Windows Modules Installer Worker がCPUリソースを30%ほど消費しているが、これはWindows Update後に不要ファイルを削除するためのプロセスだ。Windows 8以降に登場したもので、厄介ではあるが、バックグラウンドで頻繁にアップデートしているOSであるため、killすることはできない。

参考サイト

(この項おわり)
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