
仏殿
大本山永平寺(福井県吉田郡永平寺町志比 5-15)は、總持寺と並ぶ曹洞宗の大本山で、1244 年(寛元 2 年)、道元によって開かれた。
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永平寺

永平寺
だが、悟りを開くまでに厳しい修行が必要であることに矛盾を感じた道元は、1223 年(貞応 2 年)、宋で禅を学んだ栄西禅師の弟子、明全和尚とともに宋へ渡った。

永平寺
宋で、如浄禅師のもとで修行した道元は、1227 年(嘉禄3 年)に帰国。座禅の在り方を説いた「普勧坐禅儀」を記した。

傘松閣
京都に興聖寺を建立するが、比叡山からの迫害に遭い、1243 年(仁治 4 年)、越前国(現在の福井県)に身を寄せ、翌1244 年(寛元 2 年)、傘松峰大佛寺を建立する。これが永平寺のはじまりである。

傘松閣
拝観料を払って、1971 年(昭和 46 年)に建てられた 5階建ての鉄筋コンクリート製の吉祥閣に入る。ここで履き物を脱いで、回廊と呼ばれる廊下を伝って拝観する。

回廊
次の建物が傘松閣で、1930 年(昭和 5 年)に建築。222畳敷きの大広間には、230 枚の絵がはめ込まれた天井がある。

永平寺には 70 あまりの建物があり、そのうち回廊で繋がっている山門、仏殿、法堂、僧堂、庫院、浴室、東司は坐禅姿を模しているとされ、七堂伽藍と呼ぶ。
僧堂、浴室、東司(トイレ)は三黙道場といって、私語禁止である。

回廊から、中雀門、大庫院をのぞむ。

永平寺には 70 あまりの建物があり、そのうち回廊で繋がっている山門、仏殿、法堂、僧堂、庫院、浴室、東司は坐禅姿を模しているとされ、七堂伽藍と呼ぶ。
僧堂、浴室、東司(トイレ)は三黙道場といって、私語禁止である。

回廊から、中雀門、大庫院をのぞむ。

回廊
きらびやかなのは傘松閣だけで、他の建物は禅宗らしく質素なたたずまいだ。外国人観光客もほとんどいなかった。

法堂へ向かって回廊は階段になっている。

法堂へ向かって回廊は階段になっている。

回廊
修行僧は、毎朝、1~2 時間かけて回廊を雑巾掛けするというから、大変な重労働だ。

鳴り物
寺院内には時計はなく、携帯電話の電波が届かない場所もあるほど。

こうした鳴り物を使って、日課の合図をする。こちらの木の板は、相当、年季が入っている。

こうした鳴り物を使って、日課の合図をする。こちらの木の板は、相当、年季が入っている。

鳴り物
参拝するときは、鳴り物を鳴らしてはいけない。

承陽殿
承陽殿は、道元から 5 世までの住職の像を安置している。1881 年(明治 14 年)に建築された。

承陽殿
中央にある扁額は、明治天皇が道元に贈られた御筆である。
道元は承陽大師の別名があったことから、この名が付いた。
道元は承陽大師の別名があったことから、この名が付いた。

法堂
回廊から法堂を見上げたところ。

法堂
法堂は 1843 年(天保 13 年)の建築で、聖観音像を安置している。

法堂
寺院内は、修行僧が黙々と日課をこなしており、読経しているときには建物内に入ることはできない。写真撮影は許可されているが、修行僧が映り込まないように配慮すること。

大庫院は 1930 年(昭和 5 年)に建築された地上 3階地下 1階の木造で、修行僧に食事を用意する台所兼事務所の役割を果たしている。

大庫院は 1930 年(昭和 5 年)に建築された地上 3階地下 1階の木造で、修行僧に食事を用意する台所兼事務所の役割を果たしている。

明治になるまで、永平寺の紋は定められていなかった。御撫物を賜った寺院として、もっぱら菊花の紋を使用していた。
1879 年(明治 12 年)、承陽殿、孤雲閣が焼失し、再建する際、道元の出身とされる久我家の紋(久我竜胆)が使用されるようになった。
1879 年(明治 12 年)、承陽殿、孤雲閣が焼失し、再建する際、道元の出身とされる久我家の紋(久我竜胆)が使用されるようになった。

150 人ほどいる修行僧が、毎朝午前 3 時半(冬期は午前 4 時半)に起床する。その 1 時間前から食事の準備を始めるという。
大庫院の 2階は瑞雲閣と呼ばれ、一般参詣者の宿泊に充てる和室や応接間がある。
大庫院の 2階は瑞雲閣と呼ばれ、一般参詣者の宿泊に充てる和室や応接間がある。

大庫院の前に、大きなすりこぎ棒がぶら下がっている。

元々は寺の地ならしをするために使ったものだが、すりこぎ棒に見立てて削ったという。この すりこぎ棒を 3 回さすると、女性は料理上手に、男性は(ゴマすりが巧くなり)出世すると言われている。多くの参詣客がさすった部分が白くなっている。

元々は寺の地ならしをするために使ったものだが、すりこぎ棒に見立てて削ったという。この すりこぎ棒を 3 回さすると、女性は料理上手に、男性は(ゴマすりが巧くなり)出世すると言われている。多くの参詣客がさすった部分が白くなっている。

仏殿から中雀門と山門を見下ろす。
中雀門は、宮中の朱雀門に相当するもので、1852 年(嘉永 5 年)、道元禅師 600 回大遠忌に建築された。
中雀門は、宮中の朱雀門に相当するもので、1852 年(嘉永 5 年)、道元禅師 600 回大遠忌に建築された。

庭
仏殿は七堂伽藍の中心に当たる建物でで、1902 年(明治 35 年)に改築された。須弥壇には釈迦如来(現在)が、右に弥勒菩薩(未来)、左側に阿弥陀如来(過去)の三世如来の三世仏が安置されている。

山門から庭をのぞむ。
苔むした趣のある庭だが、石段が傾いていたり危険であるため、一般参詣客は庭に出ることはできない。

山門から庭をのぞむ。
苔むした趣のある庭だが、石段が傾いていたり危険であるため、一般参詣客は庭に出ることはできない。

山門
山門は、回廊からは木の陰になって全貌を見ることはできないが、1749 年(寛延 2 年)に再建された唐時代様式の楼閣門だ。永平寺は何度も火災に見舞われるが、この山門だけが焼け残り、最古の建物となっている。

山門を内側から見たところ。

修行僧は、入山するときと、下山するときの、たった 2 回だけ山門を通ることが許されるという。

修行僧は、入山するときと、下山するときの、たった 2 回だけ山門を通ることが許されるという。

山門の内側には仏教の守護神である四天王が安置されており、外部から進入する悪魔を遮っている。

庭
永平寺は、中国に初めて仏教が伝来した後漢明帝のときの元号「永平」から名付けられた。永久の平和という意味だ。
山門の上方には、山号である吉祥山の名の由来が書かれた「吉祥の額」が掲げられている。
山門の上方には、山号である吉祥山の名の由来が書かれた「吉祥の額」が掲げられている。

祠堂殿の入口上部には、長さ 18 メートル、重さ 250kg の巨大な数珠が掛けられている。

参詣路の最後に、「ひといき座禅」の間が用意されている。自由に座禅を組める。

参詣路の最後に、「ひといき座禅」の間が用意されている。自由に座禅を組める。

永平寺
1253 年(建長5 年)、道元が没する。1300 年代に入ると、寺勢は衰えるが、1253 年(建長5 年)に住職となった 5 世義雲が再興する。応仁の乱の戦禍で伽藍が焼失した。その後、織田信長が朝倉氏を滅ぼした影響で、越前一向一揆が起き、信長はこれを平定する。1575 年(天正 3 年)、信長は永平寺に禁制を下した。

江戸時代に入り、1615 年(慶長20 年)、江戸幕府は永平寺諸法度を布告し、總持寺とともに曹洞宗大本山として統制させることになった。

江戸時代に入り、1615 年(慶長20 年)、江戸幕府は永平寺諸法度を布告し、總持寺とともに曹洞宗大本山として統制させることになった。

門前
永平寺の門前には、多くの土産物屋や食堂が並ぶ。

永平寺門前警備派出所
永平寺門前警備派出所

門前では獅子舞が見られた。
参考サイト
- 大本山永平寺
- 両大本山(永平寺・總持寺):曹洞宗 曹洞禅ネット
- 永平寺町観光ガイド
近隣の情報
- 福井駅と恐竜広場:ぱふぅ家のホームページ
- 永平寺は曹洞宗の大本山:ぱふぅ家のホームページ
- 丸岡城は現存天守閣として日本最古(らしい):ぱふぅ家のホームページ
- 永平寺口駅には100年前の旧駅舎:ぱふぅ家のホームページ
- 大絵馬がお出迎え(2020年1月6日)
- 龍馬の書簡も歴史博物館で「幕末明治の福井藩」(2019年9月23日)
- 20段、2000体・恐竜ひな人形…福井流のおひな様(2019年3月4日)
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この付近でネットができる宿
- 永平寺 親禅の宿 柏樹關 (福井県吉田郡永平寺町志比6-1)
(この項おわり)