宮城峡蒸溜所はニッカウヰスキー第2の蒸留所

2024年9月6日 撮影
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
宮城峡蒸溜所 (みやぎきょうじょうりゅうしょ) (宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地)は、ニッカウヰスキーのウイスキー蒸溜所で、余市蒸溜所に次ぐ蒸留所として、1969年(昭和44年)5月に落成した。正式名称はニッカウヰスキー株式会社仙台工場。
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ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ウイスキーの製造方法やニッカの歴史を案内する無料のガイドツアーがある。要予約。所要時間70分。
1934年(昭和9年)に竹鶴政孝 (たけつる まさtらか) は北海道余市に大日本果汁の工場を構え、原酒の熟成を待つ間、りんごジュースを売って会社を支えた。
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ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
1936年(昭和11年)にウイスキー、ブランデーの製造を開始し、1940年(昭和15年)に第1号を発売した。
1952年(昭和27年)には、大日本果汁の「に」「か」をとって、ニッカウヰスキーと社名変更した。
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宮城峡 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
宮城峡
ウイスキーづくりは水が命であることから、竹鶴は井戸の「井」をとって「ニッカウ井スキー」で登記したかったのだが、当時は漢字とカタカナを混在させての登記ができず、似た形のカタカナとして「ヰ」を充てた。

宮城峡蒸溜所でつくられるシングルモルト・ウイスキー「宮城峡」は、やわらかい山の水を仕込み水とし、木々が生み出す大気に抱かれ熟成を重ね、華やかでフルーティな香りを楽しませてくれる。
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ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
宮城峡蒸溜所の敷地面積は20万m2で、東京ドーム4.3個分。
異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドし、より味わい深く豊かなウイスキーをつくりたいと考えていた竹鶴は、それに適した水と自然に囲まれた場所を探し、1967年(昭和42年)5月に、新川川と広瀬川との合流地付近に第2の蒸留所の建設地とすることを決めた。
この頃、イギリス・ポンドが固定相場制から変動相場制に移行し、輸入ウイスキーが安く買えるようになった。
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ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
イギリス政府は日本政府に対し、輸入洋酒の関税が高すぎると外圧をかけたため、1971年(昭和46年)1月から洋酒の関税自由化に踏み切った。1972年(昭和47年)4月にはウイスキー等の関税費を引き下げ、市場が急拡大した。
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ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ブラックニッカのラベルに描かれていることでお馴染みのヒゲのおじさんは、19世紀のイギリスでウイスキーブレンドの名人で、キング・オブ・ブレンダーズと呼ばれていたW・P・ローリー卿である。
ローリー卿はグラスゴーでウイスキーづくりをはじめ、ブレンドの重要性を説いた。スコットランドへ留学していた竹鶴は、グラスゴーでウイスキーづくりを学んだ。
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乾燥塔(キルン塔)・蒸留塔 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
乾燥塔(キルン塔)・蒸留塔
ウイスキーづくりは、原料の二条大麦を乾燥させ、麦芽をつくるところからはじまる。
写真左側の乾燥塔(キルン塔)が、そのための設備で、現在は使われていないが、特徴的なパゴタ屋根(仏教用語)は蒸留所のシンボルとして保存されている。
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 サイロ- ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
サイロ
現在は、原料の大麦麦芽を買い入れ、白い巨大なサイトに貯蔵している。
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乾燥塔(キルン塔)・蒸留塔 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
乾燥塔(キルン塔)・蒸留塔
発酵で活躍する酵母は糖分をアルコールに変えることができるが、大麦のデンプンをアルコールに変えることはできない。そこで前処理として、発芽した麦(麦芽)を乾燥させ、糖化酵素をつくらせる。
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仕込棟 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
仕込棟
仕込み塔の中では、麦芽を粉砕し、温めた仕込み水と混ぜてお粥状態にすることで、酵素が働き糖化する。これを濾過して麦汁をつくる。
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発酵槽 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
発酵槽
発酵中の麦汁に酵母を加えると、酵母は麦汁中の糖を分解し、アルコールと炭酸ガスに変え、ウイスキー特有の香味成分をつくる。この段階の発酵液のアルコール分は約7%。
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 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
発酵工程はコンピュータで管理されているが、制御室は撮影禁止。
次に蒸留工程に入る。蒸留棟に並んでいる巨大な純銅製のポットスチル(単式蒸溜器)に発酵液を入れ、二度蒸留し、アルコール分を60~70%にしていく。
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宮城峡蒸溜所のポットスチルは、胴体部分に膨らみを持つバルジ型で、余市蒸留所は膨らみのないストレートヘッド型で、この形状の違いもウイスキーの味に影響するという。
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ポットスチルには、余市蒸留所と同じように注連縄がかけられている。
竹鶴の実家は広島県賀茂郡竹原町(現・竹原市)に古くからある造り酒屋だ。京都の松尾大社には酒の神様が祀られており、亀の井の水は酒造時に入れると酒が腐らないと言われ、延命長寿、よみがえりの水としても知られていた。
信心深い竹鶴は、ウイスキーづくりの心臓部であるポットスチルに注連縄をかかさなかったという。

1953年(昭和28年)から余市蒸留所で使用していたポットスチルが屋外展示されている。
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ポットスチル - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ポットスチル
容量は1,800リットルで、宮城峡蒸溜所で使用しているポットスチルの約10分の1の大きさだ。2014年(平成26年)9月から放映していたNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」の撮影に使われた。
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貯蔵庫 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
貯蔵庫
蒸溜がおわった酒は、樽に入れ、貯蔵庫の中で長期間じっくり熟成させる。ウイスキーの琥珀色、奥深い味わいの秘密はこの貯蔵、樽熟成にある。宮城峡蒸溜所では、2014年(平成26年)現在、25棟の貯蔵庫がある。

樽は樽材、内面の焼き方、大きさなどの違いによってさまざまな種類があり、樽材にはホワイトオーク、スパニッシュオーク、ミズナラなどがつかわれる。
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仙台工場竣工時の樽 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
仙台工場竣工時の樽
1969年(昭和44年)に宮城峡蒸溜所が竣工したときの樽。
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ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
宮城峡蒸溜所は、広瀬川と新川川 (にっかがわ) の合流部分にあり、仕込み用の水は新川川の伏流水を使用している。「にっかがわ」という名前は、たまたま似ているというだけで、ニッカウヰスキーとは関係がない。
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ウイスキーの試飲 - ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
ウイスキーの試飲
見学コースの最後は、ゲストホールでウイスキーの試飲――宮城峡、スーパーニッカ、APPLE WINEの3種類をストレートでいただける。カウンターには、新川川の水、炭酸水、氷などが用意されている。スーパーニッカは学生時代によく飲んだ懐かしい味だが、いまはガツンと来る印象。それに比べ、宮城峡はまろやかだ。
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APPLE WIN(22度)はヤヴァい甘さである😓
なお、未成年者にはソフトドリンクが提供される。

交通アクセス

【バス】
  • 仙台駅前より作並温泉行き(市営バス)「ニッカ橋」下車
  • JR仙山線「作並駅」から無料シャトルバス(金土日祝日のみ運行)で約10分
【自動車】
  • 東北自動車道「仙台宮城IC」より国道48号線を山形方面へ約25分
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出発地の最寄駅:

目的地:ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
 関連

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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