『揺籃の星』――三部作の第一作目

ジェームズ・P.ホーガン=著
表紙 揺籃の星(上)
著者 ジェームズ・P.ホーガン/内田昌之
出版社 東京創元社
サイズ 文庫
発売日 2004年07月
価格 880円(税込)
ISBN 9784488663230
表紙 揺籃の星(下)
著者 ジェームズ・P.ホーガン/内田昌之
出版社 東京創元社
サイズ 文庫
発売日 2004年07月
価格 924円(税込)
ISBN 9784488663247
人生というのは、やるべきときに、やるべきことを、せいいっぱいやれる人間だと証明するチャンスなんです。(61ページ)

概要

土星のイラスト(惑星)
アニメでもパクられることが多い「巨人」シリーズでお馴染みのジェームズ・P.ホーガンの、新作ハードSFである。
本作は、トンデモ本の元祖たる“ヴェリコフスキーの彗星”こと『衝突する宇宙』と、ハードウェアSFの嚆矢たる『幼年期の終わり』が合わさり、現代風にアレンジされた感じだ。冷戦後の世界情勢に対する風刺も読み取れる。
ホーガンの作品に登場する主人公は、“良き”科学者である。私は、この設定が大好きである。本作の主人公キーンは、象牙の塔に籠もるのを良しとしない勤勉な科学者だ。自らの研究をビジネスにしようと寡黙に働く彼だが、ある日を境に、人類存亡の危機に巻き込まれる。キーンは聴衆に対して激しい口調でこう言う――たいせつなのは今日なにをするかということなんです(下巻61ページ)。

ストーリー展開は早く、下巻の終盤では悲劇的な光景が展開される。だが、本書は三部作の第一作目だとのこと。続編が楽しみだ。
(2007年3月15日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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