『検索バカ』――クウキを読め?

藤原智美=著
表紙 検索バカ
著者 藤原智美
出版社 朝日新聞出版
サイズ 新書
発売日 2008年10月
価格 814円(税込)
rakuten
ISBN 9784022732408
私は「クウキを読め」という言葉を聞いたら、即座に「もっと卑屈に生きろ」といわれたのだ、と思うようにしています。(108ページ)

概要

社畜のイラスト
最近、「空気を読まない」とか「KY」といったキーワードがトレンドである。
同じテーマを扱っているのだが、「一流の人は空気を読まない」(堀紘一/角川書店/2008年10月)に比べて読みやすいのは、著者の藤原智美さんが、われわれ新人類の先輩にあたる「シラケ世代」だからであろうか。
藤原さんは、「『クウキを読め』という言葉を聞いたら、即座に『もっと卑屈に生きろ』といわれたのだ、と思うようにして」(108ページ)いるという。ごもっとも。
「クウキを読め」と、団塊世代のプレッシャーを受け続けたのは、まさに著者の世代であった。それを横目で見ていた新人類は、先輩世代を哀れに感じつつも、自らはそこまで卑屈にならないと心に誓ったものである。

藤原さんは、「若い世代になるほど『世の中は変えられない』という無力感です。『変えられない』が『変わらなくてもいい』へと、いつのまにか変化しているのかもしれません」(206ページ)と指摘するが、これこそ、かつて学園紛争で行き詰まった団塊世代が経験した無力感であり、その下の世代が「シラケる」引き金となった流れではないだろうか。いままた、その無力感を演出しているのが団塊ジュニアであり、それに続く就職氷河期世代がシラケているように見える。

歴史は繰り返す。しかし、GoogleやYahoo!を使いこなす「検索バカ」である新人類世代は、検索結果の先に価値を見いだしていると信じたい。
(2009年2月25日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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