別府タワーはタワー六兄弟の三男

別府タワー（大分県別府市北浜3丁目10-2）は、1957年（昭和32年）5月10日完成した観光タワーで、高さ90メートル。開業65年を迎えた2022年（令和4年）5月10日から大規模改修に入っており、展望台は8月22日から12月頃まで営業を休止する予定。ギリギリ間に合った。

鉄骨鉄筋コンクリート造りの5階建ての建物の上に鉄骨を組んだ構造で、秒速160メートルの台風にも耐えるという。完成時の高さは100メートルあったが、アンテナなどを取り外したことで、現在の高さは90メートルになっている。

建築家の内藤多仲 （ないとう たちゅう） （1886～1970年）が設計したタワー六兄弟の3番目で、これにちなんで、2010年（平成22年）2月にはキャラクター「別府三太郎」を発表した。

開業時には観光センターテレビ塔と名付けられように、当初、電波塔としての利用が計画されていたが、大分県下の放送局は十文字原高原に十文字原テレビ・FM放送所（1959年開局）を建設したため、その役割は果たさず、1961年（昭和36年）1月に別府タワーに名称変更した。

2007年（平成19年）10月に国の登録有形文化財に登録。

テナント募集中になっているが、経営は大丈夫か⁉

1階は飲食店、2階は別府アートミュージアム、2021年（令和3年）に別府タワーを買収した不動産・観光事業会社の開世通商本社、4階はカラオケとなっている。

開成通商は大分県の省電力キャンペーン「121万人夏の夜の大作戦～キャンドルナイト～」の協力企業で、1年に一度だけ、広告ネオンサインを含む全照明が消される。

エレベーターに乗って17階に上がると、高さ55メートルの展望台がある。昭和の香りを色濃く残す展望台は、エレベータを降りたところに売店があり、開業時に4階にあり移設された別府タワー神社が鎮座している。

展望台の窓ガラスは、あちらこちらにヒビが入っている。注意書きには「当時のままのガラスを使用しております。ひび割れていますが、ガラス全体に特殊コーティングを施しています。安全のためガラスに強い力を加えないようご注意願います」と記されている。

文化財のためガラス交換もできないのかと思ったが、今回の改修工事でひび割れたガラスを全て交換するという。

山側は、別府温泉から噴出する湯気が何本も見える。

目の前を走る国道10号線は、1970年代に入り拡幅工事が行われ、このため敷地が削られるなどして入場者が返照した。1987年（昭和62年）には収入源の広告ネオンサイン契約が打ち切られ、経営危機に陥る。

1988年（昭和63年）にタイホーレジャーグループによる買収で解体の危機を脱出。広告ネオンサイン契約が復活する。

眼下には、1974年（昭和49年）に開設された的ヶ浜公園が見える。かつてこの辺りは白砂青松の渚だったことから、この名が付いた。

売店の脇に、レゴで作った別府タワーが置かれていた。かわいい。非売品。

【鉄道】

• 別府駅下車、徒歩約8分

【バス】

• 大分交通または亀の井バス「別府タワー前」バス停