
L0系リニア新幹線
山梨県立リニア見学センター(山梨県都留市小形山2381)を、2016年(平成28年)3月12日に続いて再訪。今回は体験乗車に当選し、L0系に乗車して500km/hの世界を体験した。
大きな写真

(2560×1725 ピクセル, 1661 Kbyte)

2016年(平成28年)3月12日 撮影
1997年(平成9年)5月、山梨リニア実験線18.4kmでの走行試験が始まり、2013年(平成25年)、42.8kmに延長された。2015年(平成27年)4月21日、603km/hの有人走行が行われ、ギネス世界記録を更新した。

リニア見学センター
山梨県立リニア見学センターは、リニア走行を見学したり、超伝導に関する実験が行われている「どきどきリニア館」(有料)と、土産物屋や観光情報を中心とする「わくわくやまなし館」に分かれている。

リニア見学センター
目の前には田園風景が広がる。
超電導リニアの走行音はほとんど聞こえない。のどかなものである。
超電導リニアの走行音はほとんど聞こえない。のどかなものである。

山梨リニア実験線
わくわくやまなし館から線路をまたいで反対側に抜けると、小高い丘があり展望台になっている。ここからもリニア新幹線が走る様子を見ることができる。

MLX01-2
体験乗車当選者は、どきどきリニア館の入場料が割引になる。
1回には、2003年(平成15年)に最高速度581km/hを記録した試験車両(MLX01-2)の実物が展示されている。
1回には、2003年(平成15年)に最高速度581km/hを記録した試験車両(MLX01-2)の実物が展示されている。

MLX01-2
超電導リニアは、軌道と車体の両方に電磁石を備え、磁力による反発力で浮上する。軌道側の磁石の磁極を切り替えることで、車両に推進力を与えている。このため、地上から運転を行い、車両には運転席がない。

実験線では10cmほどの高さに浮上するが、原理的に、高速走行していないと浮上ができない。そこで、150km/hくらいまではゴム車輪で走行する。
推進力となる磁場は回生ブレーキとして利用することもできるが、500km/hからの制動距離は約6kmと、東海道新幹線の2倍である。

実験線では10cmほどの高さに浮上するが、原理的に、高速走行していないと浮上ができない。そこで、150km/hくらいまではゴム車輪で走行する。
推進力となる磁場は回生ブレーキとして利用することもできるが、500km/hからの制動距離は約6kmと、東海道新幹線の2倍である。

高温超伝導磁石
電気抵抗がゼロになる超伝導現象は、特殊合金と極低温によって実現する。高温超伝導といっても、約20K(-253℃)の極低温である。ただ、液体ヘリウムを使って4Kまで下げる必要がなく、冷凍機による冷却が可能な温度である。

ジオラマ
3階には、山梨リニア実験線を模した大型ジオラマや、シアターがある。
ジオラマは、1時間に3回、12分間の上映が行われる。
2階、3階の見学ラウンジから L0系の走る姿を見ることができる。
通過のタイミングをアナウンスしてくれるが、映像のように、あっという間に通り過ぎる。
通過のタイミングをアナウンスしてくれるが、映像のように、あっという間に通り過ぎる。

山梨リニア実験線
時間が近くなったので、体験乗車会場へ移動する。

山梨リニア実験線
会場には、旅行鞄などの大きな荷物を持ち込むことはできない。事前にわくわくやまなし館にあるロッカーに預ける。ビジネスバッグ、デジカメなどの小さな手荷物は持ち込み可能。

会場に入ると、まず手荷物検査があり、飛行場と同様の検査が行われる。

会場に入ると、まず手荷物検査があり、飛行場と同様の検査が行われる。

搭乗券発券
手荷物検査が終わると、搭乗券発券機の前に並ぶ。当選葉書にある予約番号を入力すると、搭乗券が発券される。

搭乗券
発券された搭乗券。右下の2次元バーコードを認識してゲートを通過できる。航空券のようだ。
ゲート内にはトイレがないので、入る前に用を足しておこう。
ゲート内にはトイレがないので、入る前に用を足しておこう。

ギネス記録認定証
乗車前、実際の座席順に並んだ椅子に腰掛け、ガイダンスを受ける。
このとき解説パンフレットや L0系をあしらった文具をもらえる。子どもには、ペーパークラフトや自由研究用のワークシートが用意されている。

部屋には、解説パネルなどがあり、自由に撮影できる。
写真は、2015年(平成27年)4月21日、603km/hを達成し、ギネス世界記録に認定されたときの認定証だ。
このとき解説パンフレットや L0系をあしらった文具をもらえる。子どもには、ペーパークラフトや自由研究用のワークシートが用意されている。

部屋には、解説パネルなどがあり、自由に撮影できる。
写真は、2015年(平成27年)4月21日、603km/hを達成し、ギネス世界記録に認定されたときの認定証だ。

超電導リニア開発の経緯
超電導リニアは、1977年(昭和52年)7月、宮崎実験線で実験が始まった。当時のニュース映像の記憶があるが、かれこれ40年前の話である。歴代のリニアモーターカーの模型が、どきどきリニア館の1階に展示されている。初期の車両はウルトラマンに出てきそうなデザインだ。

山梨リニア実験線
1997年(平成9年)5月、山梨実験線での走行試験をはじめ、2013年(平成25年)、500km/h走行に必要な42.8km(笛吹市境川~上野原市秋山)にまで延長された。全線の大部分がトンネルだ。
営業運転を想定した実験を行うため、最小曲線半径8000メートルや、最大勾配40‰の区間を用意している。
営業運転を想定した実験を行うため、最小曲線半径8000メートルや、最大勾配40‰の区間を用意している。

中央リニア新幹線
リニア中央新幹線は、品川~名古屋間を45分で結び、2027年(令和9年)の開業を目指す。
山梨実験線は営業路線の一部となるため、間もなく走行試験は中断となるという。このタイミングで当選できて良かった。
山梨実験線は営業路線の一部となるため、間もなく走行試験は中断となるという。このタイミングで当選できて良かった。

超電導リニアの原理
1997年(平成9年)の山梨実験線開業から20年間で223万km(地球55周)の走行実験を行っており、多くのデータを蓄積してきた。
今後、低コストで効率的な保守体系の検証や、高温超伝導磁石の長期耐久性の検証を行うそうだ。
今後、低コストで効率的な保守体系の検証や、高温超伝導磁石の長期耐久性の検証を行うそうだ。

超電導リニアの安全性
かつてはペースメーカーに影響が出るという心配もされたが、現在は国の承認基準をクリアしている。
大地震が発生しても、磁力によってガイドラインから外れることはないという。また、走行中に変電所がダウンしても、隣接する変電所から給電することで、走行を継続することができるとしている。
大地震が発生しても、磁力によってガイドラインから外れることはないという。また、走行中に変電所がダウンしても、隣接する変電所から給電することで、走行を継続することができるとしている。

乗車
いよいよ乗車。
実験線42.8kmを30分ほどで2往復する。上野原から笛吹まで15分で往復できると考えると、おそるべきスピードである。
実験線42.8kmを30分ほどで2往復する。上野原から笛吹まで15分で往復できると考えると、おそるべきスピードである。

L0系車内の様子
車内は東海道新幹線ににしているが、座席は4列シートだ。先頭車の定員は24名、中間車は68名。12両編成である。営業運行時には16両編成になる予定。

L0系車内の様子
座席も東海道新幹線によく似ている。

L0系車内の様子
窓も東海道新幹線によく似ている。大部分がトンネルなので、飛行機よりも風景を楽しむということはないだろう。

実際に乗ってみると、最小曲線半径では軌道を傾けて遠心力を打ち消していることや、最大勾配でも加減速を行う必要がないことに加え、そもそも風景を見ることができないので、社内放送がなければ、これらの区間を走っているのがわからないほどだった。

実際に乗ってみると、最小曲線半径では軌道を傾けて遠心力を打ち消していることや、最大勾配でも加減速を行う必要がないことに加え、そもそも風景を見ることができないので、社内放送がなければ、これらの区間を走っているのがわからないほどだった。

L0系車内の様子
座席の下にコップ受けがあった。営業車両では、さまざまな改良が入ると思うが、コンセントやWiFiが装備されるかが気になるところだ。さすがに500km/h走行中に携帯電話の電波を安定して拾うのは無理だろう。

L0系車内の様子

500km/h走行
先頭車両カメラの映像と走行スピードは、天井のモニタでリアルに見ることができる。
150km付近でゴム車輪から浮上したところで、走行音が変わる。
150km付近でゴム車輪から浮上したところで、走行音が変わる。

500km/h走行
あっという間に500km/hに到達する。
感覚として、車内の音は、飛行機より静かだが、新幹線よりうるさい感じ。新幹線より揺れるようにも感じた。営業車両では改良が進むだろう。
感覚として、車内の音は、飛行機より静かだが、新幹線よりうるさい感じ。新幹線より揺れるようにも感じた。営業車両では改良が進むだろう。

軌道
体験乗車が終わると、ガラス越しに L0系 を見ることができる。
写真は、軌道側の電磁石。

超電導リニアは、500km/h走行時、東海道新幹線N700系の1.5~2倍の電力を必要とする。乗客1人当たりに換算すると、N700系の3倍、航空機の半分という。開業時には、東京電力、中部電力、関西電力の3社から電力供給を受ける予定だ。
写真は、軌道側の電磁石。

超電導リニアは、500km/h走行時、東海道新幹線N700系の1.5~2倍の電力を必要とする。乗客1人当たりに換算すると、N700系の3倍、航空機の半分という。開業時には、東京電力、中部電力、関西電力の3社から電力供給を受ける予定だ。

リニアの見える丘 2020年3月11日 撮影
交通アクセス
【鉄道】

- JR中央線「大月駅」下車、駅前バス停よりリニア見学センター行路線バスにて15分
- 富士急行線「禾生駅」下車、徒歩約30分
- 中央自動車道「都留I.C.」から約6km
- 中央自動車道「大月I.C.」から約6.5km

参考サイト
- 山梨県立リニア見学センター
- L0系:JR東海
- リニアの見える丘:笛吹市
- つくば科学フェスティバルで小学生の研究発表に感銘:ぱふぅ家のホームページ
- 日本科学未来館とエイリアン展:ぱふぅ家のホームページ
- 超電導リニア体験乗車の旅(体験乗車編):Station Masterのぼちぼちブログ
- 超電導リニア体験乗車:noriheraのブログ
- JR東海 超電導リニア体験乗車:かくれクマノミの旅日記
近隣の情報
- リニア実験線で 500km/h走行を体験:ぱふぅ家のホームページ
- 山梨県立リニア見学センターで超電導リニア L0系を見る:ぱふぅ家のホームページ
- 猿橋は日本三奇矯の一つ:ぱふぅ家のホームページ
- 新桂川橋梁は中央本線最長の橋梁:ぱふぅ家のホームページ
- 忍野八海は富士山の伏流水などを水源とする8か所の湧水池:ぱふぅ家のホームページ
- 大たいまつ100本に炎、富士の夏終わる(2023年8月30日)
- 上大月駅舎お披露目、高校生とデザインコラボ(2021年3月5日)
- 武士の美学にふれる、ミュージアム都留で「日本刀」展(2020年11月11日)
- 清流にゆれるバイカモの花都留市の長慶禅寺(2019年7月2日)
- 満月から満月まで、大月で「月物語」(2018年4月2日)
- とうざんの里でフクジュソウ見頃(2018年2月22日)
- 富士山のふもとで500万本のキバナコスモス見ごろ(2017年10月3日)
- 縁結び、サクラの幹にハートのこぶ 山梨の小室浅間神社(2016年5月15日)
- 富士山と桜と五重塔が競演 外国客に人気の名所、山梨に(2016年4月16日)
(この項おわり)