逢来橋は世界最長の木造歩道橋

逢来橋 （ほうらいばし） （静岡県島田市南2丁目地先）は、大井川に架かる木造橋で、全長897.422メートル、幅2.7メートル。「897.4メートルの長い木橋」にかけて「厄なしの長生き橋」とも呼ばれる。

2018年（平成30年）3月20日に、大井川左岸（北側）に蓬莱橋897.4茶屋をオープンした。お休み処兼物産販売所で、テイクアウトの緑茶、ソフトクリーム、島田の逸品、島田市緑茶化計画のスイーツなど島田市ならではの商品を販売している。

1997年（平成9年）12月30日に、「世界最長の木造歩道橋」としてギネス世界記録に認定された。
蓬莱橋897.4茶屋の近くの広場にモニュメントが設置されている。

大井川は南アルプス北部にある間ノ岳 （あいのだけ） （標高3.190メートル）を水源とし、フォッサマグナに沿って険しい山岳地帯を流れ下る。流域の平均年降水量は3,100mmと多く、水量が豊富で氾濫することも多い。

江戸時代、江戸城や駿府城を守るため、大井川には橋を架けず、渡し船も禁止された。大井川を渡るには、大名・庶民を問わず、馬や人足を雇って輿や肩車で渡るしかなく、「越すに越されぬ大井川」と呼ばれた。

明治維新後、徳川慶喜を護衛してきた幕臣たちが牧ノ原台地に入植し、1879年（明治12年）に東海道の島田宿と結ぶために蓬萊橋が架けられた。徳川宗家の主で静岡藩知事でもあった徳川家達が、牧之原台地を蓬莱山に見立てて、この名が付いた。

勝海舟は、1869年（明治2年）から牧之原台地の開墾に従事した旧幕臣たちを物心両面で支えたと伝えられている。
このことが現在の島田市のお茶の生産にもつながっており、この功績をたたえて、牧之原大茶園を望める場所に勝海舟の銅像を設置した。

牧ノ原台地は、石が多く、水はけが良い赤土であることから、米作には向かないが、茶の生産に向いており、現在では静岡県有数の茶の産地となっている。
日当たりのよい台地で茶葉が成長しすぎるため、蒸し時間を長くすることで渋みを和らげ、まろやかで飲みやすいお茶（深蒸し茶）を生産している。

関係者以外からは通行料金をとったことから、現在も有料（大人100円）となっており、橋の維持費用に充てられている。現在は歩行者と自転車のみが通行できる。

木造橋のため、大井川の増水のたびに被害を受けてきたため、1965年（昭和40年）に橋脚のみを鉄筋コンクリート化した。渡し板はすべて木製のまま。法律上は農道に分類されている。
川下側に鉄筋コンクリート製の島田大橋が架けられてからは、地元住民が利用することはほとんどなくなった。

映画やテレビドラマなどの撮影にもたびたび利用され、ギネス世界記録に認定されてからは多くの観光客が訪れるようになった。

2003年（平成15年）3月に、高輝度LED照明機器が設置され、日没とともに緑色の光が橋の輪郭を浮かび上がらせ、幻想的な空間を演出する。

天気の良い日には橋上から富士山を望むことができる。

2017年（平成29年）3月に、橋の改修工事で発生した古木をリサイクルして作られたフォトフレームが、右岸（南側）に設置された。

【鉄道】

• JR島田駅から徒歩20分

【自動車】

• 新東名「島田金谷I.C.」から車で20分
• 東名「吉田I.C.」から車で15分