『アイの物語』――SFだが現代社会の闇を浮き彫りに

山本弘=著
表紙 アイの物語
著者 山本 弘
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2009年03月25日頃
価格 1,144円(税込)
ISBN 9784044601164
たとえマシンには勝てなくても、ヒトには誇るべき点がある。(465ページ)

概要

不気味の谷現象のイラスト
グループSNEのゲームデザイナーでと学会会長の山本弘さんによるSF――複数の雑誌に発表された短編を「インターミッション」によって結びつけた作品だ。
アイザック・アシモフのロボット短編SF『われはロボット』をオマージュしながら、スタートレックのアナザーストーリーも登場するという、SFファンならニヤリとさせられる内容である。
しかし、アシモフとは異なり、登場するロボットは女性の人型ばかり。舞台は秋葉原や介護老人ホーム――現代日本ならではのテイストである。
介護現場で働くロボットは「すべてのヒトは認知症なのです」(286ページ)と言い放つ――その意味とは。そして、人間が緩やかな滅びに向かっている“現代”の背景には何があったのか。インターミッションを語っている女性の正体は? 「i」とは何か?
SFを通じて現代社会の闇を考えさせられる作品である。
(2009年9月26日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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