『プリズムの瞳』――永遠に生きる少女と絵描きロボットの物語

菅浩江=著
表紙 プリズムの瞳
著者 菅浩江
出版社 東京創元社
サイズ 単行本
発売日 2007年10月
価格 2,090円(税込)
ISBN 9784488018115
あなたたちとの思い出を、私は大切にします。(101ページ)

あらすじ

パーソナルロボットのイラスト
ロボット短編SF集だ。本書に登場するロボット「ピイ」は、アイザック・アシモフのロボット短編SF集「われはロボット」に登場する「ロビィ」を彷彿とさせる。

専門分野での活躍が期待されながら生産中止された人型ロボット「ピイ・シリーズ」は、20年ほど前に実際に流行った人工知能(AI)やエキスパート・システムを思い起こさせる。
当時、その研究やプログラムを書いていた自分としては、お客さまのニーズを聴きながら
システムを組み立てている今の自分が、まるで「ピイ」であるかのようだ。
しかし、ヒトである私には定められた寿命がある。永遠を生きるピイが、「あなたたちとの思い出を、私は大切にします。より正確に記憶するために、よろしければ、あなたたちが何を失いつつあるのかを教えてください」(101ページ)と語る場面は切ない。

ピイを破壊しようとする謎の男、ピイを修理する謎の老人集団、そして歳をとらない少女――一癖も二癖もある登場人物が、最後に一堂に会するシーンはなかなか読み応えがある。
(2009年9月15日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
header