『パソコンは日本語をどう変えたか』――日本語とITの闘い

Yomiuri PC編集部=編
表紙 パソコンは日本語をどう変えたか
著者 Yomiuri PC編集部
出版社 講談社
サイズ 新書
発売日 2008年08月
価格 990円(税込)
rakuten
ISBN 9784062576109
人類を月に送り込んだ英知が、日本の新聞作りを変えようとしていた。(26ページ)

概要

ワープロのイラスト
日本経済新聞が紙面作成のためのコンピュータ入力システム「ANNECS」を採用した1960年代後半から、Windows Vistaに至るまでの日本語システムの歴史をまとめた本だ。
日本語入力は専用ハードウェアから誕生したワープロ、そして汎用PCで使えるソフトウェアに代わり、さらにOSに組み込まれるようになっていく。
ただ歴史を振り返るだけでなく、プリンタやディスプレイへの漢字出力の仕組み、かな漢字変換の仕組み、日本語フォントの変遷といった重要なキーワードを解説している。

レビュー

とくに「第8章 大規模文字セット――深遠なる漢字の世界」が面白かった。
私は、ちょうど JIS78JIS83 の狭間で日本語を扱うようになったものだから、このJIS漢字セットの改訂をもろに受けた世代である。その後、MacOS Xに搭載されたヒラギノの文字種の多さに驚き、Windows Vistaのメイリオで字形が変わった(JIS2004)ことに困惑した。
とくに、DTPシステムや自治体向けシステムを担当していた時は、画面に表示される文字と印字される文字が異なることに苦労させられた。そして外字を導入すると、今度はデータベースに登録できないというジレンマ。
本書に登場する「文字鏡」は「60万~70万程度」(201ページ)の収録を目指すという。とんでもない数字である。これは、欧米発のOSや、Unicode といった文字コード標準規格が想定していなかった世界だと思う。

システム屋をやっている限り、日本語文字との格闘は続くような気がする。
だが、そのことがあるから、日本語にこれほど興味を感じていることも確かである。
(2011年2月15日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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