シリーズ概要
魔法少女は、突如発生する自然災害の一種「怪異」の沈静化と救助活動を行う企業に所属する従業員だ。魔法少女企業は、大手から中小まで500社以上が存在する社会で、とある新卒女性が魔法少女として活躍する物語――『株式会社マジルミエ』は、岩田雪花さんの原作、青木裕さんの作画で、2001年10月から少年ジャンプ+に連載されている。
魔法少女が「仕事」である世界――ありがちな設定なのだが、ビジネス側の背景設定が極めてリアルだ。かつては国営だった魔法少女が、この時代には民営化されており、大手から中小まで500社以上の魔法少女企業がひしめきあう。その業界団体である魔法団体連盟の上には、監督官庁の魔力エネルギー庁や厚生労働省が控えているという構図。さらなる規制緩和を目論む面々――私達が、いま現実に見ている社会そのものではないだろうか。
目次
株式会社マジルミエ 第1巻
越谷「何があっても守るのが、うちの仕事だから」
新卒の桜木カナが面接を受けに来ていた会社に怪異が発生。株式会社マジルミエに退治依頼。専属魔法少女の越谷仁美が現場へ急行する。だが、怪異が育ちすぎており、越谷ひとりでは安全に退治ができない。サポートが1人必要だ。カナは選考を辞退し、サポートに立候補する。
無事に怪異を退治し、カナは株式会社マジルミエに入社する。越谷とにこやかに談笑する営業担当の翠川楓――そこに現れたのは、魔法少女のコスプレをした社長の重本浩司。そして、人と目も合わせない魔法エンジニアの二子山和夫‥‥。
越谷をサポートしたときの記録を見た重本は、カナが優秀であることを見抜く。そして、16時半からの退治案件に越谷とペアを組ませる。二子山は即変身プログラムを組む。
2人は怪異がいる現場に到着。越谷が攻撃するが、予備のホウキでは業務継続が難しい。驚異的な記憶力を持つカナは、参考書の隅に載っていたホウキの機能を思い出し‥‥。
重本は、先輩の指示通り動かずに、自己判断で本番ぶっつけの魔法を実行するカナが、ベンチャー向けの人材だと確信し、「ようこそ我が社へ」とカナを歓迎する。
無事に怪異を退治し、カナは株式会社マジルミエに入社する。越谷とにこやかに談笑する営業担当の翠川楓――そこに現れたのは、魔法少女のコスプレをした社長の重本浩司。そして、人と目も合わせない魔法エンジニアの二子山和夫‥‥。
越谷をサポートしたときの記録を見た重本は、カナが優秀であることを見抜く。そして、16時半からの退治案件に越谷とペアを組ませる。二子山は即変身プログラムを組む。
2人は怪異がいる現場に到着。越谷が攻撃するが、予備のホウキでは業務継続が難しい。驚異的な記憶力を持つカナは、参考書の隅に載っていたホウキの機能を思い出し‥‥。
重本は、先輩の指示通り動かずに、自己判断で本番ぶっつけの魔法を実行するカナが、ベンチャー向けの人材だと確信し、「ようこそ我が社へ」とカナを歓迎する。
株式会社マジルミエ 第2巻
重本「魔法がなければ作る」
マジルミエは、古い商店街の怪異退治を依頼される。広域魔方陣を使えばすぐに終わる案件だが、重本は「現場を見る前に退治方法を判断するのは、うちの美学に叶ってない」と反論する。現場を飛んでみたカナは、強力な広域魔方陣を使うと商店街の景観が失われることに気付く。それを回避して怪異退治をするには、地下からの攻撃が必要になるが、そんな魔法はない‥‥だが、重本は「魔法がなければ作る」と指示し、二子山は短時間で要求通りの魔法をつくってみせ、越谷が発動する。
思い出が無傷で戻ってきたと、商店街の人たちは報酬とは別に、越谷とカナが持ちきれないほどの商品をプレゼントしたのだった。
重本はカナに言う――世の中に情報は山ほどあるが、現場で下せる判断は1つだ。だから、きちんと現場を見て、判断をする分だけ人は成長する。そういう機会を増やすことが、うちの美学なんだよ。
マジルミエがカラオケで懇親会を催す。重本がアニメ「うたうたい天使シンガーシュガー」の変身衣装で歌い始めれば、二子山と越谷が完璧な合いの手を入れ、カナが完璧な振付で歌って躍る‥‥。
カナは、大手化粧品メーカーのミヤコ堂に共同業務に出掛ける。出迎えたのは、ミヤコ堂の魔法少女・葵リリー。2人は高級ホテルの点検業務に出向くが‥‥。
思い出が無傷で戻ってきたと、商店街の人たちは報酬とは別に、越谷とカナが持ちきれないほどの商品をプレゼントしたのだった。
重本はカナに言う――世の中に情報は山ほどあるが、現場で下せる判断は1つだ。だから、きちんと現場を見て、判断をする分だけ人は成長する。そういう機会を増やすことが、うちの美学なんだよ。
マジルミエがカラオケで懇親会を催す。重本がアニメ「うたうたい天使シンガーシュガー」の変身衣装で歌い始めれば、二子山と越谷が完璧な合いの手を入れ、カナが完璧な振付で歌って躍る‥‥。
カナは、大手化粧品メーカーのミヤコ堂に共同業務に出掛ける。出迎えたのは、ミヤコ堂の魔法少女・葵リリー。2人は高級ホテルの点検業務に出向くが‥‥。
株式会社マジルミエ 第3巻
土刃メイ「先日の御社の魔法少女といい、今の笑顔論といい、効率が悪く結果のない美学は、顧客にとって詐欺と同じではないですか」
カナとリリーは、突然変異する怪異に遭遇する。2人は苦戦するが、見ている人たちを不安にさせまいと、リリーはカナに「魔法少女は美しく笑っているものよ」と鼓舞する。そこへ、魔法少女業界最大手・アスト株式会社のエース・土刃メイが救援にやって来る。強力な魔法を操り、効率最優先で怪異に対応するメイのやり方に、カナは疑問を感じる。
ミヤコ堂から戻ったカナ。マジルミエの社員たちは魔法業界EXPOへ向かう。株式会社サテスファが退治プレゼンで使った怪異が変異する。会場に居合わせたアスト社長・古賀圭は、「契約の無い仕事なんで仕事じゃないよ。金にもなんないし。本当にやばきゃ依頼が来るよ」と一蹴する。一方、マジルミエの重本は、社員たちに変異怪異の駆除を指示する。
重本は採用面接で二子山に、「評価は繋がるためのものだ。一方的な批評とは違う。仲間と評価し合えば、自らの強みも弱みもわかる。評価で見えた弱い部分は、別の人間が埋めればよい。それが会社で、それが仕事だ」と言い、「1人で戦わないで、我々の仲間になってくれ」とオファーした。
二子山が会場に持ち込んだノートPCでは、魔法を開発する処理速度が追いつかない。そこで二子山は、他社の技術者たちに支援を頼み込み、何とか変異怪異を退治する。
重本は変異怪異の出現を予想していた。15年前に何があったのか、アストの古賀社長との関係は‥‥
ミヤコ堂から戻ったカナ。マジルミエの社員たちは魔法業界EXPOへ向かう。株式会社サテスファが退治プレゼンで使った怪異が変異する。会場に居合わせたアスト社長・古賀圭は、「契約の無い仕事なんで仕事じゃないよ。金にもなんないし。本当にやばきゃ依頼が来るよ」と一蹴する。一方、マジルミエの重本は、社員たちに変異怪異の駆除を指示する。
重本は採用面接で二子山に、「評価は繋がるためのものだ。一方的な批評とは違う。仲間と評価し合えば、自らの強みも弱みもわかる。評価で見えた弱い部分は、別の人間が埋めればよい。それが会社で、それが仕事だ」と言い、「1人で戦わないで、我々の仲間になってくれ」とオファーした。
二子山が会場に持ち込んだノートPCでは、魔法を開発する処理速度が追いつかない。そこで二子山は、他社の技術者たちに支援を頼み込み、何とか変異怪異を退治する。
重本は変異怪異の出現を予想していた。15年前に何があったのか、アストの古賀社長との関係は‥‥
株式会社マジルミエ 第4巻
槇野まきの「選択するのって、こうやって責任が伴いますけど、選択しないより絶対キャリアアップできますからね」
越谷とカナのホウキを調整してくれる銀次ハナは小学生だった‥‥。
翠川は、魔法業界EXPOでマジルミエが怪異を退治した動画をアップし、多くの反応を得た。そこで重本は、マジルミエの魔法プログラムと退治体制をパッケージングして「アリスシステム」として販売するという。
銀次がホウキの調整を終えた。カナのホウキには108個のコマンドが備わり、その膨大な量の取扱説明書を読むのだった。
カナは、中堅の株式会社アプダから出向でやって来た魔法少女・槇野あかねの指導役となり、アリスシステムを実施で教える。越谷、カナ、あかねは取り壊し中の団地に現れた海尉を退治に向かうが‥‥。重本は、危険な現場に立ち会うと、今でも心臓をつかまれる思いがすると呟く。
翠川は、魔法業界EXPOでマジルミエが怪異を退治した動画をアップし、多くの反応を得た。そこで重本は、マジルミエの魔法プログラムと退治体制をパッケージングして「アリスシステム」として販売するという。
銀次がホウキの調整を終えた。カナのホウキには108個のコマンドが備わり、その膨大な量の取扱説明書を読むのだった。
カナは、中堅の株式会社アプダから出向でやって来た魔法少女・槇野あかねの指導役となり、アリスシステムを実施で教える。越谷、カナ、あかねは取り壊し中の団地に現れた海尉を退治に向かうが‥‥。重本は、危険な現場に立ち会うと、今でも心臓をつかまれる思いがすると呟く。
株式会社マジルミエ 第5巻
古賀「お断りします。研究案件は金にならない。良い人材を派遣した場合の機会損失も膨大だ」
重本は、厚生労働大臣が同席する魔法団体連盟主催の「魔法少女の怪異変異に対する退治対策方針会議」に出席し、少ない魔力で怪異を退治できるアリスシステムを紹介する。重本は、魔法の過剰利用は怪異を活性化させると主張するが、魔力エネルギー庁の越谷長官は現行システムを変更するにはコストがかかるし、少ない魔力を使うほうが怪異を抑えられる証拠が無いと反論する。独立行政法人魔法技術総合研究所(魔総研)の萬田所長は疑問を呈するが、会議はアリスシステムの全面導入は見送る形で終わろうとしたところ、重本は魔総研で確認したという新種の怪異をアリスシステムを使って退治するという。元魔法省官僚で、新日本魔法エネルギー協会会長の鎌倉も異存はないと応じた。
こうしてマジルミエは、魔総研の新型怪異退治に乗り出すことになる。一方、渓央大学大学院魔学研究科の堤教授は、アリスシステムが、越谷長官とアストの古賀社長が進めている魔力規制緩和の障害となることから、越谷長官の娘である越谷仁美に手を抜くよう迫る。
マジルミエ一行が魔総研に到着すると、アロハシャツを着た萬田所長と、魔法少女の赤坂いろは副所長が出迎える。あとから、越谷長官と堤教授もやって来る。魔総研が封印している丙型怪異の姿は‥‥。
こうしてマジルミエは、魔総研の新型怪異退治に乗り出すことになる。一方、渓央大学大学院魔学研究科の堤教授は、アリスシステムが、越谷長官とアストの古賀社長が進めている魔力規制緩和の障害となることから、越谷長官の娘である越谷仁美に手を抜くよう迫る。
マジルミエ一行が魔総研に到着すると、アロハシャツを着た萬田所長と、魔法少女の赤坂いろは副所長が出迎える。あとから、越谷長官と堤教授もやって来る。魔総研が封印している丙型怪異の姿は‥‥。
株式会社マジルミエ 第6巻
萬田所長「今日も常識が現場で変わる。俺たち上ができるのは、それを見守るだけだ」
7年前、重本と翠川はラーメン屋で偶然、越谷仁美に出会い、越谷長官にお伺いを立てた上で引き抜きにかかる。越谷長官は重本に、「私たちは魔法少女を食い物に金をもらう仕事だ。魔法少女の苦しみをわかる人間でないと、魔法少女の上には立てない。そういう経営をしろ」と命じる。
魔法少女3人がかりで苦戦する中、アスト株式会社のエース・土刃メイが派遣される。だが、越谷長官は公平な視察ができないと、メイへの依頼をキャンセルする。カナは、アストにとってのメリットを示し、メイに協力要請する。4人の魔法少女と、重本が二子山をサポートする2人オペレーター体制で丙型怪異の退治が始まる。
萬田所長は、アリスシステムの本質は、平凡な新人が自民で感が得る力を身につける育成力がアリスシステムの凄みだと理解した。
怪異を退治し業務終了――使った魔力はアストの想定の10分の1以下、負傷ゼロ。重本は越谷長官に評価を聞くが、越谷長官は検討のテーブルには載せておくという慎重な姿勢を崩さなかった。
マジルミエは社員を増やすことになった。魔法少女として、槇野あかね、赤坂いろはの2人が転職してきた。
魔法少女3人がかりで苦戦する中、アスト株式会社のエース・土刃メイが派遣される。だが、越谷長官は公平な視察ができないと、メイへの依頼をキャンセルする。カナは、アストにとってのメリットを示し、メイに協力要請する。4人の魔法少女と、重本が二子山をサポートする2人オペレーター体制で丙型怪異の退治が始まる。
萬田所長は、アリスシステムの本質は、平凡な新人が自民で感が得る力を身につける育成力がアリスシステムの凄みだと理解した。
怪異を退治し業務終了――使った魔力はアストの想定の10分の1以下、負傷ゼロ。重本は越谷長官に評価を聞くが、越谷長官は検討のテーブルには載せておくという慎重な姿勢を崩さなかった。
マジルミエは社員を増やすことになった。魔法少女として、槇野あかね、赤坂いろはの2人が転職してきた。
株式会社マジルミエ 第7巻
闇森「信じてくれる人のおかげでできたんス。だから、今回もできます」
マジルミエ一行は、最古の魔法による怪異討伐伝承が残る京都の塔ノ森神社へ向かう。重本は京都魔法大学での講演と、そこの学生でエンジニアとして応募してきた闇森響の面接をすることになっていた。
塔ノ森神社の28代目神娘の塔ノ森サカヱが一行を出迎える。
塔ノ森伝説を再現する祭りの終盤、突如として怪異が現れる。誰かが結界を操作し、外部との通信が遮断されてしまう。
二子山、闇森、サカヱが協力し、あかね、いろはが怪異退治に取りかかる。
塔ノ森神社の28代目神娘の塔ノ森サカヱが一行を出迎える。
塔ノ森伝説を再現する祭りの終盤、突如として怪異が現れる。誰かが結界を操作し、外部との通信が遮断されてしまう。
二子山、闇森、サカヱが協力し、あかね、いろはが怪異退治に取りかかる。
株式会社マジルミエ 第8巻
いろは「その戸惑いは正しいですわ。大きい話を前にして、思考停止になる方が危険でしてよ。悩みましょ。それが貴女の糧になりますわ」
重本は、塔ノ森の事件から、魔法少女の教科と魔力規制緩和が目論まれており、実行犯が真尾笑であることを告げる。
メイはアストの新魔道具Wingの開発に全力を傾けていた。鎌倉は古賀社長に新魔道具の納品を急がせる。そうした中、翠川の調査で、次に怪異が現れるのは東京湾だという。真尾が見守る中、予定通り、東京湾に新型怪異が現れる。準備万端のマジルミエが退治に取りかかるが、苦戦‥‥鎌倉は古賀社長にWingを使って退治するよう命じる。
メイはアストの新魔道具Wingの開発に全力を傾けていた。鎌倉は古賀社長に新魔道具の納品を急がせる。そうした中、翠川の調査で、次に怪異が現れるのは東京湾だという。真尾が見守る中、予定通り、東京湾に新型怪異が現れる。準備万端のマジルミエが退治に取りかかるが、苦戦‥‥鎌倉は古賀社長にWingを使って退治するよう命じる。
株式会社マジルミエ 第9巻
ラーメン屋の店主「お姉ちゃん達。さっきの退治してくれたんだろ? 味玉サービスさせて貰ったよ」
新型怪異にはWingでも歯が立たず、メイは限界を超える魔力を投入しようとする。カナは身体を張ってメイを止めようとする。そこへ古賀社長が通信で割って入り、「遂行中の作戦について、現時点をもって中止してください」と命じる。古賀はメイの落ち度ではなく、人命は何より優先すべきだと言う。
重本は古賀社長に電話をかけ、業務提携を申し入れる。重本は「お前は魔法少女の命を現場で落としたいのか?」と迫る。古賀は業務提携を受け入れ、重本はアリスシステムのすべてをアストに開示する。重本が考えた合体技とは‥‥。そして、業務終了。メイを交えて食べたカレー担々麺の味は‥‥。
カナはメイとランチの約束をしていたが、株式会社マジルミエがとんでもない事態に巻き込まれた‥‥。
重本は古賀社長に電話をかけ、業務提携を申し入れる。重本は「お前は魔法少女の命を現場で落としたいのか?」と迫る。古賀は業務提携を受け入れ、重本はアリスシステムのすべてをアストに開示する。重本が考えた合体技とは‥‥。そして、業務終了。メイを交えて食べたカレー担々麺の味は‥‥。
カナはメイとランチの約束をしていたが、株式会社マジルミエがとんでもない事態に巻き込まれた‥‥。
株式会社マジルミエ 第10巻
蔵入萬之助「競馬の馬が駆けに強い必要はない。馬に必要なのは本番で戦う度胸です」
事件から1年後、ミヤコ堂に転職したカナは、同僚からの誘いを断り黙々と勉強を続け、魔法利用業務の資格免許試験に一発合格を果たした。カナが資格をとったわけは‥‥。一方、鎌倉の傍らには翠川が‥‥。
重本と翠川を除くマジルミエのメンバが揃い、カナが社長を務める桜木企画を立ち上げる。新エネ庁コンペに参加し、翠川に接触するために。
翠川は鎌倉に桜木企画のコンペ参加を知らせるが、鎌倉は「参加させておきなさい」と言う。規制緩和のうねりは人の手では止められないからだ。
カナは、翠川が社長と繋がっていることを知り‥‥いろはの前に現れた真尾は、重本が国営時代の地下実験場にいることを告げる。
長期戦になることを悟ったカナは、資金調達先として、ギャンブルで成り上がった個人投資家の蔵入萬之助を引き入れる。
一方、いろはは魔総研で地下実験場の情報を探していたが‥‥
重本と翠川を除くマジルミエのメンバが揃い、カナが社長を務める桜木企画を立ち上げる。新エネ庁コンペに参加し、翠川に接触するために。
翠川は鎌倉に桜木企画のコンペ参加を知らせるが、鎌倉は「参加させておきなさい」と言う。規制緩和のうねりは人の手では止められないからだ。
カナは、翠川が社長と繋がっていることを知り‥‥いろはの前に現れた真尾は、重本が国営時代の地下実験場にいることを告げる。
長期戦になることを悟ったカナは、資金調達先として、ギャンブルで成り上がった個人投資家の蔵入萬之助を引き入れる。
一方、いろはは魔総研で地下実験場の情報を探していたが‥‥
株式会社マジルミエ 第11巻
翠川「[約束しますよ、重本:blue]さん。貴方が真摯である限り、貴方の約束は僕が守ります」
蔵入の情報網を使い、地下実験場への侵入に成功する桜木企画だったが‥‥そこでは、残留魔力を変異怪異として出力する「RABBIT」のデモンストレーションが行われていた。集まった金持ちに、大型魔法や怪異で傷ついた街への復興助成金や各種損害補填によって利益を上げさせようというのだ。
鎌倉の手によって怪異操作チップを埋め込まれた翠川は、囚われの身となっていた重本に、「やっと約束が果たせましたよ。お待たせしてすみません、社長」と言った。重本と翠川との約束とは‥‥。
鎌倉の手によって怪異操作チップを埋め込まれた翠川は、囚われの身となっていた重本に、「やっと約束が果たせましたよ。お待たせしてすみません、社長」と言った。重本と翠川との約束とは‥‥。
株式会社マジルミエ 第12巻
重本「選択肢は限られ、逃げ道もない。それでも、何とか光を見つけながら、身の丈以上の努力をして‥‥何とか立っているような‥‥」
鎌倉は怪異操作チップを使って新手の怪異を投入してくるが、重本がRABBITの本来の使い方をみせる。怪異は退治されるが、真尾が現れ鎌倉を連れ去る。そして、翠川に埋め込んだチップの時限爆弾を起動する。重本、二子山、闇森が解除IDをハッキングしようとするが‥‥。
重本が戻り、マジルミエは再出発。蔵入の金を使って、南の島で休暇を満喫する。
重本が戻り、マジルミエは再出発。蔵入の金を使って、南の島で休暇を満喫する。
株式会社マジルミエ 第13巻
アリス「1人で全部やろうとしないで頼ってください。私だって魔法少女業界を良くしたいんです」
アストからアリスシステムが返却されない。翠川は、心配するあかねを飲みに誘い安心させる。
魔法団体連盟定例会議が始まり、越谷長官は大規模魔法の再規制を提案するが、そこに追放されたはずの鎌倉が現れ、霞ヶ関のど真ん中で災害クラスの怪異を解放すると脅す。一方、蔵入の立ち会いのもと、古賀は重本が差し出した契約書にしぶしぶ押印する‥‥それは、アリスシステムを業界スタンダードの引き上げる奇策だった。
マジルミエは、霞ヶ関で発生した災害怪異を殲滅に向かう。そして、アストの精鋭部隊40名が応援に駆けつけ、一糸乱れぬ攻撃を加える。だが、災害怪異は16年前のものに似ていた。カナはいろはを援護しようとして上空からの雷撃の直撃を受けてしまう。古賀は16年前の悪夢を思い出していた‥‥。
アストのWingがカナを包み込み、メイはカナに「桜木さん、ダメですよ、危険に身をさらしてまで仕事したら」と語りかけるのだった。
魔法団体連盟定例会議が始まり、越谷長官は大規模魔法の再規制を提案するが、そこに追放されたはずの鎌倉が現れ、霞ヶ関のど真ん中で災害クラスの怪異を解放すると脅す。一方、蔵入の立ち会いのもと、古賀は重本が差し出した契約書にしぶしぶ押印する‥‥それは、アリスシステムを業界スタンダードの引き上げる奇策だった。
マジルミエは、霞ヶ関で発生した災害怪異を殲滅に向かう。そして、アストの精鋭部隊40名が応援に駆けつけ、一糸乱れぬ攻撃を加える。だが、災害怪異は16年前のものに似ていた。カナはいろはを援護しようとして上空からの雷撃の直撃を受けてしまう。古賀は16年前の悪夢を思い出していた‥‥。
アストのWingがカナを包み込み、メイはカナに「桜木さん、ダメですよ、危険に身をさらしてまで仕事したら」と語りかけるのだった。
レビュー
怪異が自然災害であれば、気象庁を抱える国土交通省や環境省の所管だろう。魔力がエネルギーの一種であり、魔法少女企業が一般的な民間企業なのであれば、資源エネルギー庁や中小企業庁を抱える経済産業省の所管だろう。だが、この物語では、魔法少女の労働者としての権利を守る立場で、第1巻冒頭から厚生労働大臣が顔を覗かせる。そして、独立行政法人になった魔総研が国立研究所時代に研究していただろう内容からして、それが至極自然に感じる‥‥現実に存在する理研(理化学研究所)は国立研究開発法人という特殊な法人格をもっているが、戦前には財閥の1つに数えられており、『日本列島改造論』を唱えた田中角栄は理研に就職するために上京してきたという史実がある。
第1巻で就活しているカナは、本を読んで業界をよく研究している学生として描かれているが、これもまた、現代の就活生の勤勉さをよく描き出している。そして残念なことに、企業が求めている戦力とはミスマッチなことがほとんどである。
だが、萬田所長が見抜いたように、アリスシステムの本質は、新入社員をチームリーダーとして育成するOJTシステムだ。そして現実の日本のビジネス上の強みは、新たなハード屋システムを開発することではなく、このチーム力にある。ゆえに、世界中を探しても類を見ないほど中小企業の割合が高く、しかも100年以上続いている老舗が多い。
第9巻で、ショートカットになったカナは、後方支援という立ち位置で重厚な衣装を纏う。新卒社員が1年そこそこで社長になるというのも、ベンチャー企業なら、あながち無理な話ではない。そして、技術屋社長の重本を支える投資家としての蔵入の参加で、マジルミエは盤石な体制を固める。
参考サイト
- 株式会社マジルミエ:少年ジャンプ+
- 株式会社マジルミエ【公式】@@MagilumiereLtd:Twitter(現・X)
- アニメ「株式会社マジルミエ」
- 『千年、働いてきました』(野村進,2006年11月)
- 『千年企業の大逆転』(野村 進,2014年08月)
- 『できる会社の社是・社訓』(千野信浩,2007年04月)
- 『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(城繁幸,2006年09月)
- 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』(城繁幸,2008年03月)
- 『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』(永井孝尚,2014年09月)
- 『デッドライン仕事術』(吉越浩一郎,2007年12月)
- 『散歩でわかる経済学』(跡田 直澄,2008年12月)
- 『とてつもない日本』(麻生太郎,2007年06月)
(この項おわり)