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宇宙最強物質決定戦 | ||
| 著者 | 高水 裕一 | ||
| 出版社 | 筑摩書房 | ||
| サイズ | 新書 |
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| 発売日 | 2023年02月09日 | ||
| 価格 | 858円(税込) | ||
| ISBN | 9784480684455 | ||
宇宙の未来はもうすでにダークエネルギーに握られており、絶対的支配が完成しているのです。それを覆すようなヒーローの登場を期待したいのですが、ダークマターやバリオンでは無理でしょう。(148ページ)
概要
タイトルに惹かれて買った。『グラップラー刃牙』『ドラゴンボ-ル』『キングダム』といった漫画をオマージュしながら宇宙物理学の解説をするのは、スティーブン・ホーキング博士に師事した高水裕一さん。専門は宇宙論。2021年に読んだ『物理学者、SF映画にハマる』『宇宙人と出会う前に読む本』も面白かった。
たて座YU星と太陽
宇宙のエネルギー/物質の割合
ダークハロー
ダークマターは光と相互作用しないという不思議な性質を持っており、望遠鏡で見ることができないが、質量はあるので重力レンズ効果を見ることで間接的に観測ができる。ダークマターがなければ星や銀河は誕生しなかったと考えられており、天の川銀河では、中心に存在する巨大ブラックホールの質量のおよそ20万倍以上のダークマターが直径30万光年の球体「ダークハローを形成していると考えられている。
加速膨張する宇宙
『なぜ宇宙は存在するのか』(野村泰紀、2022年)によれば、宇宙の膨張につれてダークマターやバリオンの密度は下がるが、ダークエネルギーだけはエネルギー密度が下がらない。このため、宇宙で時間が経過すればするほど、ダークエネルギーの割合が増えてゆく。アインシュタインが一般相対性理論の方程式に導入した宇宙定数の正体がダークエネルギーである。定数なので変化しないのだ。
アインシュタイン方程式を解いて膨張宇宙を予言したフリードマン方程式
$$ H^2 \ = \ \frac{8\pi G}{3}p $$
によれば、宇宙においては重力を制するものが覇者となるという。その右辺に宇宙項を入れるとダークエネルギーを表し、左辺に移項すると、それは時空構造としても解釈できる(156ページ)。
$$ H^2 \ = \ \frac{8\pi G}{3}p $$
によれば、宇宙においては重力を制するものが覇者となるという。その右辺に宇宙項を入れるとダークエネルギーを表し、左辺に移項すると、それは時空構造としても解釈できる(156ページ)。
いまから100億年後の宇宙は銀河がまばらになり、10の20乗年後には銀河がバラバラになると予想されている。10の34乗年後には陽子の崩壊が起こり、10の100乗年後には銀河中心の巨大ブラックホールが蒸発するという。
ブラックホールが蒸発して消えて無くなると、増大して貯められてきたエントロピーが宇宙空間から消えてなくなり、時間が逆転するかもしれないという。
レビュー
アンドロメダ銀河
あっという間に読み終わってしまった。バトル漫画を読んでいるような面白さだけでなく、知識の更新にもなった――。
子どもの頃、アンドロメダ銀河は天の川銀河から200万光年彼方にある双子の銀河と教わったが、いまは違う。距離は約260万光年。直径は22万光年で天の川銀河の2倍以上。星の数は約1兆で、天の川銀河の2000億個の5倍。
子どもの頃、アンドロメダ銀河は天の川銀河から200万光年彼方にある双子の銀河と教わったが、いまは違う。距離は約260万光年。直径は22万光年で天の川銀河の2倍以上。星の数は約1兆で、天の川銀河の2000億個の5倍。
天の川銀河
形状も天の川銀河の棒渦巻状に対し、渦巻き状と異なる。しかも、天の川銀河へ向かって接近しており、およそ60億から70億年後には合体して1つの巨大銀河になるという(101ページ)。
バリオン、ダークマター、ダークエネルギーをめぐる最新の知見は、ちょうどNHK『コズミックフロントω』でも取り上げられ、ホットな話題だ。
この宇宙が遠い未来にビッグフリーズやビッグクランチに至る話は、古くはH.G.ウェルズのSFを映画化した『タイム・マシン 80万年後の世界へ』(1960年)、近いところでは『機動戦士ガンダムUC』(2016年)で映像化された。
この宇宙が遠い未来にビッグフリーズやビッグクランチに至る話は、古くはH.G.ウェルズのSFを映画化した『タイム・マシン 80万年後の世界へ』(1960年)、近いところでは『機動戦士ガンダムUC』(2016年)で映像化された。
参考書籍
- 『宇宙線のひみつ』(藤井俊博,2025年7月)
- 『宇宙はいかに始まったのか ナノヘルツ重力波と宇宙誕生の物理学』(浅田 秀樹,2024年06月)
- 『多元宇宙(マルチバース)論集中講義』(野村泰紀,2024年03月)
- 『重力のからくり』(山田 克哉,2023年08月)
- 『宇宙・0・無限大』(谷口義明,2023年06月)
- 『時間の終わりまで』(ブライアン・グリーン/青木 薫,2023年05月)
- 『宇宙検閲官仮説』(真貝寿明,2023年02月)
- 『宇宙最強物質決定戦』(高水裕一,2023年02月)
- 『なぜ宇宙は存在するのか』(野村泰紀,2022年4月)
- 『宇宙を支配する「定数」』(臼田孝,2022年2月)
- 『物理学者、SF映画にハマる』(高水裕一,2021年10月)
- 『宇宙人と出会う前に読む本』(高水裕一,2021年7月)
- 『宇宙の終わりに何が起こるのか』(ケイティ・マック,2021年9月)
- 『宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』(谷口義明,2020年07月)
- 『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ,2019年8月)
- 『宇宙はなぜ哲学の問題になるのか』(伊藤邦武,2019年8月)
- 『宇宙は「もつれ」でできている』(ルイーザ・ギルダー,2016年10月)
- 『超巨大ブラックホールに迫る』(平林久,2017年02月)
- 『時間はどこで生まれるのか』(橋元淳一郎,2016年12月)
- 『真空のからくり』(山田 克哉,2013年10月)
- 『時間泥棒』(J.P.ホーガン,1995年12月)
参考サイト
- 宇宙最強物質決定戦:筑摩書房
- 高水裕一@ytakamizu1:Twitter
- 物理学者、SF映画にハマる』(高水裕一=著,2021年):ぱふぅ家のホームページ
- 『宇宙人と出会う前に読む本』(高水裕一=著,2021年):ぱふぅ家のホームページ
- 『天文の世界史』:ぱふぅ家のホームページ
- 『やりなおし高校地学』:ぱふぅ家のホームページ
- 『宇宙は「もつれ」でできている』:ぱふぅ家のホームページ
- 『ホーキング 宇宙の始まりと終わり? 私たちの未来』:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)
