さようなら交通博物館

2006年4月22日 撮影
交通博物館正面
万世橋から交通博物館を臨む
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さよなら交通博物館
秋葉原にある交通博物館(東京都千代田区神田須田町1-25)が2006年(平成18年)5月14日をもって閉館する。こぱふぅが産まれ、3代にわたって楽しめるスポットだっただけに残念だ。
風雨にさらされ汚れていた入口の0系新幹線D51機関車は、きれいにデコレーションされていた。

交通博物館は、1921年(大正10年)10月、鉄道開業50周年を記念して、東京駅近くに鉄道博物館として開館した。
さよなら交通博物館の大きな写真大きな写真
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交通博物館
その後、1936年(昭和11年)4月に神田須田町に移転し、中央本線万世橋駅の一部を転用して博物館とした。これが今日の交通博物館である。

関東大震災後に建てられた仮駅舎を転用したため、建物のつくりは実に質素である。裏手から見える階段部分に時代を感じる。
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交通博物館は流浪の博物館である。
戦時下の1943年(昭和18年)11月には万世橋駅が廃止されるが、博物館は戦災を免れ、1946年(昭和21年)1月に交通文化博物館と改称し、日本交通公社に運営を移管した。さらに、1948年(昭和23年)には交通博物館と名前を改めた。1971年(昭和46年)2月に交通文化振興財団に運営を移管され、1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化に伴い、JR東日本が継承した。そして、2006年(平成18年)5月14日に閉館する。
来年2007年(平成19年)10月14日、埼玉県さいたま市に鉄道博物館として移転オープンする予定となっている。

交通博物館本館内部
交通博物館は、その名が示す通り、交通全般を対象とした博物館である。
1階は鉄道が中心だが、2階には自転車、バイク、自動車、バス、船などが、3階には駕籠や人力車、リニアモーターカー、航空機、そしてJAXAのロケット模型も展示されている。狭い空間に数多くの本物の展示物が置いてあるという。昔ながらの博物館だ。
2007年(平成19年)にさいたま市にオープンする鉄道博物館は鉄道専用の博物館になるということで、現在、これらの展示物の引き取り手を探しているという。
交通博物館本館内部の大きな写真大きな写真
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交通博物館本館内部
東京大学の廣瀬通孝教授(システム工学)らが、閉館した交通博物館を3Dで甦らせる試みを始めた。移転前の交通博物館の外観と館内をデジタルカメラで記録。館内では1~2メートルごとに360度の風景を撮影し、計43,185枚の画像を集めたという。
交通博物館本館内部の大きな写真大きな写真
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この画像を投影した大型スクリーンの前で前後左右に歩くと、あわせて画像も動く仕組みも開発している。公開が楽しみだ。
弁慶号
1階から外に出ると、弁慶(辨慶)号(国鉄7100形蒸気機関車)が展示されている。
弁慶号は、北海道に初めて鉄道「官営幌内鉄道」が開業した1880年(明治13年)、札幌~手宮間を走ったアメリカ製の機関車である。前端には牛よけ(カウ・キャッチャー)が、煙突には大型のダイヤモンドスタックが取り付けられ、大型の油灯式前照灯など、西部劇に出てくる蒸気機関車そのものである。
弁慶号の大きな写真大きな写真
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交通博物館開設に合わせ、北海道の1号機関車である義経(義經)号を保存しようと準備しようとしていたのだが、当該機関車が「辨慶」であることが判明し、1940年(昭和15年)に復元・保存された。
行き先表示板 - 交通博物館
最近のこぱふぅのお気に入りは、新幹線の行き先表示板。
東京駅の行き先表示板は多色LEDに変わってしまったが、ここにあるのは昔ながらの反転式表示板だ。
行き先表示板 - 交通博物館の大きな写真大きな写真
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行き先表示板 - 交通博物館
岡山駅で使われていた実物である。操作は、このような押しボタンスイッチである。実際に操作して表示板を変更できる。

これ以外にも、東海道新幹線や東北新幹線で実際に使われていた列車制御板が展示されているが、いずれもアナログ時代のそれであり、自分たちの年齢を痛感させられる。
行き先表示板 - 交通博物館の大きな写真大きな写真
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SLほど古くないにせよ、“夢の超特急”新幹線の技術も、現在から比べれば十分に古臭い。
逆に、その古臭さが子どもの興味をかき立てるのかもしれない。
交通博物館には、1999年(平成11年)から数回訪れている。
いままでなら、夏休みは混雑しても平日は閑散としているような博物館で、いつ閉鎖になってもおかしくないと考えていたのだが、いざ閉館となると寂しいものである。
今日は、万世橋まで入場者の行列ができるほどの混雑ぶりだった。
7年間にわたる交通博物館の映像をまとめてみた。

交通アクセス

【鉄道】
  • JR秋葉原駅下車、徒歩で3分。
交通博物館関連

近隣の情報

(この項おわり)
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