明石市立天文科学館と人丸前駅は日本標準時子午線の上に建つ

2014年8月15日・2023年8月26日 撮影
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石市立天文科学館 2023年8月26日撮影
明石市立天文科学館(兵庫県明石市人丸町2-6)は、日本標準時子午線(東経135度)の真上に建つ天文科学館である。
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(2560×1707 ピクセル, 1687 Kbyte)
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石市立天文科学館 2014年8月15日撮影
1960年(昭和35年)6月10日に開館し、現存する天文科学館の中では最も古い。塔時計の上部にある巨大な時計盤は、正確な日本標準時を刻んでいる。
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(2560×2603 ピクセル, 2351 Kbyte)
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石市立天文科学館 2014年8月15日撮影
1995年(平成7年)1月17日の阪神淡路大震災では、天体望遠鏡が転倒し、塔時計は午前5時46分の地震発生時刻指したまま止まってしまった。
その後、復旧工事が行われ、1998年(平成10年)3月15日、3年2ヶ月ぶりにリニューアルオープンした。

現在の塔時計は3代目で、文字盤の直系6.2m、長針の長さ3.2m、短針の長さ2.2m、地上からの高さは47.5mある。
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1153×1920 ピクセル, 455 Kbyte)
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石市立天文科学館 2014年8月15日撮影
4階の展示室「時のギャラリー」には、塔時計を制御している親時計がある。
親時計は、独立行政法人 情報通信研究機構NICT (エヌアイシーティー) )のテレホンJJYから電話回線で時刻情報を受信し、自動的に補正している。精度は±1/100秒以下という。

塔時計と親時計はセイコーが寄贈したものだ。
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1280×1920 ピクセル, 1047 Kbyte)
明石ダコ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石ダコ 2014年8月15日撮影
入口を入ると、明石ダコが迎えてくれる。昼食に食べた明石焼きの原材料だ。
明石ダコ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1600×1334 ピクセル, 567 Kbyte)
宇宙メダカ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
宇宙メダカ 2014年8月15日撮影
明石ダコの近くには、1994年(平成6年)7月のスペースシャトル「コロンビア号」で向井千秋宇宙飛行士と旅をした宇宙メダカの子孫が泳いでいる。
宇宙メダカ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1600×1363 ピクセル, 893 Kbyte)
天文ギャラリー - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
天文ギャラリー 2014年8月15日撮影
3階は展示室になっており、天文・宇宙や自国に関して学ぶことができる。

写真は構成の一生を示すH-R図(ヘルツシュプルング・ラッセル図)であるが、なかなかきれいなデザインだ。
天文ギャラリー - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1394×1920 ピクセル, 619 Kbyte)
天文ギャラリー - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
天文ギャラリー 2014年8月15日撮影
小惑星探査機はやぶさの50分の1模型や、小惑星イトカワの2000分の1模型が展示されている。

はやぶさのプロジェクトマネージャを務めた[川口淳一郎のサインが展示されている。
天文ギャラリー - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 1261 Kbyte)
赤道環型日時計 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
赤道環型日時計 2014年8月15日撮影
4階はテラスになっていて、さまざまな形の日時計が設置されている。

写真は赤道環型日時計。目盛りが等間隔なので設計は易しいが、曲がった面を正しい形に仕上げるのは難しい。
赤道環型日時計 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1337×1920 ピクセル, 748 Kbyte)
多面体日時計 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
多面体日時計 2014年8月15日撮影
こちらは多面体日時計。水平型、垂直型、赤道環型、極型、正午計が合わさった日時計である。
正午計の目盛りの形は、太陽高度の季節変化と均時差に対応してアナレンマという8の字形になっている。
多面体日時計 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1280×1920 ピクセル, 741 Kbyte)
日時計広場 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
日時計広場 2014年8月15日撮影
こぱふぅも日時計になる!

漫画家の松本零士さんは、父親の仕事の都合で4歳から6歳まで明石公園の近くで暮らしており、天文科学館の北側にある高さ7メートルの子午線標識「トンボの標識」を見たことが、宇宙に関心を持つきっかけだったと語っている。代表作『銀河鉄道999』に描かれる星空は、明石にいた頃に見た星空をイメージしているという。(故松本零士さん、宇宙への興味は明石が「始発駅」,神戸新聞 2023年2月26日)
惑星の大きさ比べ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
惑星の大きさ比べ 2014年8月15日撮影
地球を直径65cm(2000万分の1)の球にした時の、太陽他惑星の大きさが比べられる模型がある。木星、土星、太陽は大きすぎるので、床に描かれている。
惑星の大きさ比べ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 677 Kbyte)
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石市立天文科学館 2014年8月15日撮影
塔時計の13階・14階は展望室になっており、エレベーターが1つと螺旋階段が2つある。螺旋階段の内部には全天星座が描かれている。
明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石市立天文科学館 2014年8月15日撮影
展望室に床には東経135度の日本標準時子午線が引かれている。
明石海峡大橋 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石海峡大橋 2014年8月15日撮影
展望室からは360度のパノラマを楽しむことができる。
南東4km先には、明石海峡大橋がある。
明石海峡大橋 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 745 Kbyte)
明石海峡大橋 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石海峡大橋 2014年8月15日撮影
こちらは、4階の日時計広場から見た明石海峡大橋。
手前に、JR山陽本線と山陽電鉄本線が走っている。
明石海峡大橋 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 822 Kbyte)
明石海峡大橋 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
明石海峡大橋 2023年8月26日撮影
日時計広場の左側に見えるドームはプラネタリウムである。
明石海峡大橋 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 641 Kbyte)
プラネタリウム - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
プラネタリウム 2023年8月26日撮影
プラネタリウムの星空を映し出すのは、カールツァイス・イエナ社(当時は東ドイツ側)が製作した38台目の大型投映機で、太陽、月、5つの惑星と6等星までの約9,000個の構成を投映でき、重さは2トンもある。
プラネタリウム - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 410 Kbyte)
プラネタリウム - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
プラネタリウム 2023年8月26日撮影
1960年(昭和35年)6月10日に稼動を開始した、現在国内最古のプロネタリウムである。ドームは直径20メートル、300席。
2017年(平成29年)に、コニカミノルタプラネタリウムのデジタル投影機「SUPER MEDIAGLOBE II」を導入し、映像表現を強化した。
プラネタリウム - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 682 Kbyte)
2024年(令和6年)2月には、アストロアーツ製のデジタルプラネタリウムソフトウェア「ステラドームプロ」が新たに導入され、カールツァイス・イエナ製プラネタリウムと組み合わせて、天体の動きや宇宙の広がりなどをより視覚的に学ぶことができるようになった。
漏刻 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
漏刻 2014年8月15日撮影
1階入口の外には、東経135度の日本標準時子午線の上に、水が一定の長さで流れる管を使って時間の経過を測る漏刻 (ろうこく) が設置されている。

明石市立天文科学館は、1960年(昭和35年)の「時の記念日」(6月10日)に開館した。日本書紀によると、天智天皇10年4月辛卯(25日、グレゴリオ暦換算で671年6月10日)新しい台に漏刻を設置し鐘鼓を鳴らして時を告げた、という記事があり、これが「時の記念日」の由来になっている。
漏刻は複数の水槽が管で繋がっており、一定量の水が順番に下っていく。一番下の水槽の水面の目盛りを読んで時刻を知ることができる。
漏刻 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1280×1920 ピクセル, 1199 Kbyte)
日本標準時子午線 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
日本標準時子午線 2014年8月15日撮影
漏刻から南へ日本標準時子午線が延びている。

ちなみに、日本標準時(JST)は、東京都小金井市にある情報通信機構(NICT)本部のセシウム原子時計18台と水素メーザー原子時計3台を使って決められている。時刻サーバへのアクセスは、1日約億回、アナログ電話回線でも1ヶ月に約14万回の利用がある。
2011年(平成23年)3月の東日本大震災の際、原発事故に伴う避難指示で、JSTは福島県にあるおおたかどや山標準電波送信所を停止せざるを得なかった。
日本標準時子午線 - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×2880 ピクセル, 1785 Kbyte)
電波時計は、この施設と、はがね山標準電波送信所(佐賀県)の2カ所が発信する電波を使って時刻を微修正するが、停止の影響で一部の電波時計が正確な時を刻めなくなり、利用者から500件以上の苦情があった。
こうした事態を防ぐため、標準時子午線(東経135度)から4キロ西にあるNICT未来ICT研究所に副局を設置することになり、2018年(平成30年)6月10日(時の記念日)に運用開始した。5台のセシウム原子時計と2台の水素メーザー原子時計で運用し、通常は現地と東京からの遠隔で監視し、大地震などで本部から送信できなくなった際は、7台の時計を駆使して標準時を作成、提供することになっているb。
トケイソウ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)
トケイソウ 2014年8月15日撮影
明石市立天文科学館の外庭にはトケイソウが咲いていた。
生物の分類学を創始したリンネは、開花時刻が明確な草花を円上に植えた。公園などでよく見る花壇時計ではなく、これが本来の花時計である。そして、日本の風土でできる花時計を考えたのが、明石市に住む生物学者の十亀好雄 (そがめ よしお) 氏である。
トケイソウ - 明石市立天文科学館(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 990 Kbyte)
毎年、3月1日と、10月12日の年2回、約1.4キロ西にある電波塔の奥に沈む夕日がパンダのように見える「夕焼けパンダ」が観測できる。長尾高明館長(60)が2013年(平成25年)10月、夕日を撮影中に偶然発見した。

人丸前駅

人丸前駅(日本標準時子午線)
人丸前駅 2014年8月15日撮影
明石市立天文科学館を出て、山陽電気鉄道本線の人丸前駅へ向かう。無人駅である。
人丸前駅(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(5053×3217 ピクセル, 5582 Kbyte)
人丸前駅(日本標準時子午線)
人丸前駅 2014年8月15日撮影
ホームはひとつだけで、西寄りの部分を日本標準時子午線が貫いている。
人丸前駅(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1280×1920 ピクセル, 1141 Kbyte)
人丸前駅(日本標準時子午線)
人丸前駅 2014年8月15日撮影
人丸前駅(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 923 Kbyte)
人丸前駅(日本標準時子午線)
人丸前駅 2014年8月15日撮影
山陽電気鉄道本線のすぐ北側にはJR山陽本線が走っている。
人丸前駅(日本標準時子午線)の大きな写真大きな写真
(1280×1920 ピクセル, 899 Kbyte)
日本標準時 関連

交通アクセス

【鉄道】
  • 山陽電鉄「人丸前駅」から徒歩約3分
  • JR明石駅から徒歩約15分
【自動車】
  • 第二神明道路「大蔵谷I.C.」から南西へ約3Km
行き方ナビ
出発地の最寄駅:

目的地:明石市立天文科学館

リツイート

近隣の情報

参考サイト

参考書籍

表紙 知れば知るほど面白い暦の謎
著者 片山 真人
出版社 三笠書房
サイズ 文庫
発売日 2022年02月17日頃
価格 858円(税込)
ISBN 9784837987635
表紙 知時計の科学 人と時間の5000年の歴史
著者 織田 一朗
出版社 講談社
サイズ 新書
発売日 2017年12月14日頃
価格 1,078円(税込)
ISBN 9784065020418
表紙 プラネタリウムの疑問50
著者 五藤光学研究所
出版社 成山堂書店
サイズ 単行本
発売日 2023年07月
価格 1,980円(税込)
ISBN 9784425984312
表紙 プラネタリウムを作りました。
著者 大平貴之
出版社 エクスナレッジ
サイズ 単行本
発売日 2003年06月
価格 1,980円(税込)
ISBN 9784767802510
(この項おわり)
header