大井川鐵道できかんしゃトーマスに乗ろう

大井川鐵道では、2014年（平成26年）7月から大井川本線で、子供向けアニメ「きかんしゃトーマス」を模した蒸気機関車トーマス号を運行している。特定日に1日1往復（新金谷駅 - 千頭駅）する全車指定席の特別急行列車である。

C11 227号をベースに、車体塗装を変更し、顔を設置し、前照灯を移設するなど、手の込んだ改装が施されている。客車は7両で、作品に合わせて明るいオレンジ色に塗り替えられている。

前照灯は安全保安部品のため、場所を移設するにも役所の認可が必要で、大井川鐵道は手間をかけてこれを実行した。改装作業も、自社と地元の工場で行う補修態勢が整っていたから実現できたのである。

大井川鐵道にも大人の事情があった――2007年（平成19年）、JR東日本がSL奥利根号の運行を始めたことなどにより、SL目当ての観光客数に陰りが見えてきた。大井川鐵道に3000系を譲渡し、トーマスのラッピング電車を運行していた京阪電気鉄道がソニー・クリエイティブプロダクツに紹介した。
やるなら本気で――こうしてトーマス号の運行が実現した。

転車台で方向転換するトーマス号。
千頭駅の転車台は手動で、重量65.85トンのトーマス号を回転させる。

オリジナルのトーマスは動輪が3つ。C11形も3つだが、動輪の前に1軸、後ろに2軸あるので、オリジナルよりやや大きい。ボイラー上部のドームも、オリジナルの1つに対し、C11形は2つなど細かい差異はあるものの、目が動くなど、大井川鐵道の改装に手抜きはない。

左から、パーシー、ヒロ、ジェームス、そしてトーマス――じつはトーマスが運行する4ヵ月前、千頭駅構内にヒロが静態展示された。ヒロは2010年（平成22年）に公開された劇場版『きかんしゃトーマス 伝説の英雄』に登場する日本製の機関車という設定。

映画の中で、ヒロが「トーマスも日本に遊びに来いよ」と言うと、トーマスが「必ず行くよ」と応じる。その顛末を実現してしまったのが大井川鐵道というわけ。

DB1形を改造したラスティーは、千頭駅構内を運行する遊覧列車だ。2016年（平成28年）から運行開始した。

新金谷駅前から千頭駅前まで、2016年（平成28年）6月からバスのバーティーの運行がはじまった。