道の駅すず塩田村では手塩にかけた粗塩を実演販売

2015年10月3日・2023年6月4日 撮影
道の駅すず塩田村
道の駅すず塩田村 2015年10月3日撮影
道の駅すず塩田村(石川県珠洲市清水町1-58-1)は、「人と塩の関わり」をテーマに、海水から「揚げ浜式製塩法」によってつくった塩を販売するとともに、塩づくりの歴史や世界の塩文化を展示している。
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道の駅すず塩田村
道の駅すず塩田村 2015年10月3日撮影
朝5時に、仁江 (にえ) 海岸から、かえ桶を使って海水を汲み上げる。1つ36リットルのかえ桶を2つ担ぐ重労働だ。
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道の駅すず塩田村
道の駅すず塩田村 2023年6月4日撮影
1.汲んだ海水を引桶 (しこけ) に入れる。引桶は直径150~200cmで、深さ50cm程度。
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道の駅すず塩田村
道の駅すず塩田村 2015年10月3日撮影
2.引桶から、砲弾型の打桶 (おちょけ) を使って、海水を塩田に撒く。塩田1枚の面積は約165m2もある。「潮汲み3年、潮撒き10年」と言われ、約600リットルの海水を約40分間かけて、均等に撒いてゆく。夏場は2度、同じ量を撒く。
揚げ浜塩 - 道の駅すず塩田村
揚げ浜塩 2015年10月3日撮影
3.撒いた海水の水分を早く乾燥させるために細攫え (こまざらえ) という道具で塩田の砂に筋目を入れる。ここまでの作業を朝6時までに終え、その後、8時間程度、天日で塩田を乾かす。
4.塩分を含んで乾いたかん砂柄振 (いぶり) かき集め、木枠で組んだ垂舟 (たれふね) に入れる。
5.垂舟に海水を流し込んで、塩分の濃くなったかん水を、下部にある溜池に溜める。
6.かん水を釜屋まで運んでいく。
釜屋 - 道の駅すず塩田村
釜屋 2023年6月4日撮影
7.釜屋は、3間(5.4m)×4間(7.2m)の大きさの茅葺きの建物だ。
容量約600リットルの平釜で、塩分濃度が24%程度になるまで、約6時間煮詰める。これを荒焚きという。
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釜屋 - 道の駅すず塩田村
釜屋 2015年10月3日撮影
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釜屋 - 道の駅すず塩田村
釜屋 2015年10月3日撮影
写真の左側に平釜、右側に胴桶 (どうけ) が見える。
8.荒焚きしたかん水を1日ほど冷まし、竹炭・黒炭・砂が層になった胴桶 (どうけ) で濾過する。
釜屋 - 道の駅すず塩田村
釜屋 2023年6月4日撮影
9.濾過したかん水を再び平釜に戻し、さらに16時間ほどに詰める。この本焚きでの火加減が、塩の味・風味・品質を決める。
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釜屋 - 道の駅すず塩田村
釜屋 2015年10月3日撮影
10.焚きあがった塩を釜から採り出し、い出場 (いでば) に入れ、4日間寝かせて、苦汁 (にがり) を切る。苦汁は、塩を作る際にできる余剰なミネラル分を多く含む液体で、豆乳を豆腐に変える凝固剤として使用される。

11.苦汁を落とした塩は、釜屋隣の選別場で不純物が取り除かれ、梱包される。約600リットルの海水から120kgの塩ができる。
釜屋 - 道の駅すず塩田村
釜屋 2015年10月3日撮影
このように大変手の込んだ作業であるため、売店で買える塩は、一人一袋に制限されている。一般的な食卓塩と味比べができるので、ぜひ味見してほしい。500年以上続いている揚げ浜式の粗塩は塩辛さが少なく、豊かな海の旨みと甘みが口の中に広がる。

かん水で茹でられたジャガイモを試食したが、ちょうどよい味加減で、まさに美味。
平釜 - 道の駅すず塩田村
平釜 2023年6月4日撮影
道の駅の入口には平釜が展示されている。
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平釜 - 道の駅すず塩田村
平釜 2015年10月3日撮影
直径2メートル、深さ30cm、厚さ1〜1.5cmの平底の鉄鋳物で、江戸時代中期までは奥能登の穴水町中居の鋳物師が作成していた。その後、富山県高岡市で生産されたものを使用している。
塩の資料館 - 道の駅すず塩田村
塩の資料館 2023年6月4日撮影
道の駅には塩の資料館が併設されており、揚げ浜塩田のジオラマや塩の作り方、人と塩作りの歴史として世界各地の岩塩などが展示されている。
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角花家の塩田

角花家の塩田 - 道の駅すず塩田村
角花家の塩田 2015年10月3日撮影
道の駅すず塩田村の近く、国道249号線沿いに、江戸時代から唯一、能登の揚げ浜式製塩の技術を守り続けている角花家の塩田(石川県珠洲市清水町1-58)がある。現在は5代目と6代目が塩をつくっている。2008年(平成20年)に国の重要無形民俗文化財に指定された。
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仁江海岸

仁江海岸 - 道の駅すず塩田村
仁江海岸 2015年10月3日撮影
仁江 (にえ) 海岸は日本夕陽百選に選ばれている。

交通アクセス

【自動車】
  • 輪島駅から国道249号線を約30分

参考サイト

揚げ浜塩 関連

近隣の情報

(この項おわり)
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