
荒船風穴

荒船風穴
風穴の冷蔵能力を活用し、当時年1回だった養蚕を複数回可能にすることで、生糸の大量生産につながった。3基の風穴があり、貯蔵能力は国内最大規模で、取引先は全国42道府県をはじめ朝鮮半島にも及んだ。



冷風体験ポイント
現在でも操業当時と変わらぬ冷風環境が維持されており、冷風を体験することができる。
風穴から数百メートルほど離はなれた場所に岩が重かさなっている場所があり、この中には冬の間に凍った氷が残っている。この岩のすき間を空気が通り抜けることにより、風穴に出でるころには2〜3℃の冷気になる。

風穴から数百メートルほど離はなれた場所に岩が重かさなっている場所があり、この中には冬の間に凍った氷が残っている。この岩のすき間を空気が通り抜けることにより、風穴に出でるころには2〜3℃の冷気になる。


1号風穴
風穴の石積みは城塞の石垣と異なり、冷気を取り入れるためにすき間をつくりながら積み上げている。外側は冷気を閉じ込めるためすき間まを塞いでいる。



1号風穴
外気温は6.5℃だが、1号風穴の内部は0.0℃と、チルド室並みに冷たい。

冷風体験窓

2号風穴
2号風穴は、1908年(明治41年)に完成した。翌1909年(明治42年)の調査によると、貯蔵可能な蚕種枚数は110万枚と、榛名風穴の10万枚を大きく引き離していた。
石積みの風穴の上に土蔵のような建物を建て、中は地下2階、地上1階の3層に分けられていた。
石積みの風穴の上に土蔵のような建物を建て、中は地下2階、地上1階の3層に分けられていた。

3号風穴
これは春蚕、夏秋蚕の貯蔵を分けたうえ、出荷の際には順に層を上がることで、自然に外気の温度に慣れさせるようにする配慮からだった。

3号風穴は、1913年(大正2年)に完成した。

3号風穴は、1913年(大正2年)に完成した。

風穴冷風体験館
2018年(平成30年)10月に、風穴冷風体験館が完成した。施設では岩肌から吹き出す10℃前後の冷風をいつでも感じることができる。風穴は11月末まで見学できる。12月からは冬季閉鎖される。

自動販売機
村長や群馬県会議員を務めた経験のある庭屋静太郎と、高山社蚕業学校を卒業し長野で風穴の知見を得た息子の千壽の親子が、荒船風穴の建設に着手した。
1903年(明治36年)に群馬県での最初の風穴「榛名風穴」が完成し、1905年(明治38年)に荒船風穴の1号風穴が完成する。

江戸時代までは、蚕種が春に孵る性質に合わせた飼育しかできなかった。しかし、年間を通して涼しく、温度変化の少ない長野県の山間の風穴を利用することで、蚕種を保存する技術が進んだ。
明治時代に製糸業が発達すると、原料となる繭の増産が求められた。そこで、蚕種が孵る時期を遅らせ、夏や秋の農閑期に養蚕する数を増やすようになった。
1903年(明治36年)に群馬県での最初の風穴「榛名風穴」が完成し、1905年(明治38年)に荒船風穴の1号風穴が完成する。

江戸時代までは、蚕種が春に孵る性質に合わせた飼育しかできなかった。しかし、年間を通して涼しく、温度変化の少ない長野県の山間の風穴を利用することで、蚕種を保存する技術が進んだ。
明治時代に製糸業が発達すると、原料となる繭の増産が求められた。そこで、蚕種が孵る時期を遅らせ、夏や秋の農閑期に養蚕する数を増やすようになった。

自動販売機
荒船風穴1・2号風穴の上方に張り出した大岩は岩陰遺跡で、岩穴から焼町式土器などが出土した。約5000年(令和2982年)前(縄文中期)の遺跡だという。縄文人も、この天然の冷蔵庫を利用したのだろうか‥‥。
交通アクセス
【自動車】
- 下仁田駅から約30分
- 佐久I.C.から約40分、または下仁田I.C.から約50分で風穴駐車場。徒歩約20分。
参考サイト
- 荒船風穴:下仁田町
- 荒船風穴 - 富岡製糸場と絹産業遺産群:群馬県
- 富岡製糸場は超ホワイト職場としてスタート:ぱふぅ家のホームページ
近隣の情報
- 荒船風穴はカイコの卵を保存する施設:ぱふぅ家のホームページ
- 軽井沢駅では明治期の駅舎を保存:ぱふぅ家のホームページ
- 碓氷峠鉄道文化むらでトロッコ列車に乗る:ぱふぅ家のホームページ
- SL碓氷はD51が戦前の客車を牽引:ぱふぅ家のホームページ
- 峠の釜めしは今も人気:ぱふぅ家のホームページ
- めがね橋(碓氷第三橋梁)はわが国最大の煉瓦作りアーチ橋:ぱふぅ家のホームページ
- 碓氷関所と中山道碓氷峠越、国史跡へ文化審議会が答申(2024年12月28日)
- 明治のレンガアーチ橋は語る(2022年11月30日)
- 展示車両のペイント体験(2021年11月28日)
- ロウバイが見頃 甘い香り「春の兆し感じる」(2018年1月21日)
- ピンクの桜 秋の佐久彩る(2016年11月11日)
(この項おわり)
駐車場から風穴まで800メートルほどあり、高低差もあるので(風穴のある場所は標高840メートル)、歩きやすい靴と服装で行くといいだろう。