睡眠と健康 2018年版

2015年5月3日 作成

睡眠による学習効果

睡眠不足
2018年(平成30年)8月、英ロイヤル・ホロウェイ大学の研究によると、睡眠中に、記憶を定着させるために脳が学習を行っていることが示されました。

実験では、語学の勉強を行った日の夜を「寝ずに過ごしたグループ」と「通常通りの睡眠を取ったグループ」に分け、1週間後にテストを行いました。すると、通常通り睡眠をとったグループの方がすぐに単語を思い出すことができ、得点も高くなりました。
睡眠にはレム睡眠ノンレム睡眠があります。ノンレム睡眠は、睡眠の深さによってさらに4段階に分かれており、3段目と4段目に当たる徐波睡眠(SWS)を対象に研究が行われました。
SWSの期間中、脳は海馬と大脳新皮質が絶えず情報のやり取りを行っており、知識の長期記憶化のために活動しています。このとき、単に記憶を脳に定着させるだけでなく、さまざまな知識を組み合わせて新たなアイデアを生み出すことがあるといいます。SWSを少しでも長い間行うことで、より深い知識を得られることから、一定の睡眠時間の確保は重要であるといいます。
また、SWSの時間は年齢によっても変わることがわかっており、特に子どもは大人よりも時間が長いことが明らかになっています。

寝だめはできない

睡眠不足
平日の睡眠不足(睡眠負債)を土日に寝だめすることで返済はできません。

ゴールデンウィークのような長期休暇では、好きなだけ長く寝られます。起床時間が遅くなるので就寝時間も遅くなり、終盤には完全な夜型生活に。これが、ゴールデンウィークで一番避けてほしいパターンです――国立精神・神経医療研究センターで睡眠を研究する三島和夫さんが警鐘を鳴らします。
とくに注意が必要なのが、夜型の人だ。夜型の人は全人口の2割程度いるとされ、体質的に早起きが苦手。普段は努力して学校や仕事に行っていても、長期休暇に入ると一気に夜型生活に逆戻りしがちです。自分がどの型かは、睡眠医療プラットフォームで簡易診断してみてください。

睡眠負債を1日で完済するのは無理です。ほどほどの寝坊を続けて何日間かかけて、解消することが大切です。根本的な解決には、仕事や学校がある普段の日の睡眠改善が欠かせません。
朝日新聞,2018年5月2日

週末の寝だめは死亡リスクを下げる

一方、2018年(平成30年)5月、平日に寝られない人が休日に「寝だめ」することで、睡眠不足による死亡リスクを下げるという研究結果をスウェーデンの研究チームが発表しました。
ただし、あくまでも被験者の自己申告に基づいたデータなので、昼寝を何時間したのかなど不詳で、完璧な実験だったとは言い切れないという指摘もあります。研究者も、あくまで暫定的な結論と述べています。

参考サイト

(この項おわり)
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