『医者を悩ます「ニュータイプなうつ病」がわかる本』

山田和男=著
多少の残業時間があっても、いくらか裁量権が制限されていても、仕事に対する達成感があれば、なんとかやっていける人も多いようです。(172ページ)

レビュー

うつ病の男性のイラスト
アメリカで1年間にうつ病にかかるコストは約5兆円という。
そんな中、「ニュータイプなうつ病」が増えている。それは、「長引く/教科書破り/若年化/多様化/軽症にみえる/治療が難しい/社会復帰しづらい」という特徴があり、旧来の治療法が通用しない病気だという。こんな病気にかかると、家族も、上司も、同僚も、部下も、人事担当者も、学生担当の教員も、精神科医も、みんなが困ってしまう。
精神科医として長いキャリアを持つ筆者は、「ニュータイプなうつ病」の問題点として「ニュータイプなうつ病はわかりにくい」「ニュータイプなうつ病は治りにくい」(20ページ)をあげる。
そして筆者は、「残業時間の多さと裁量権のなさがうつ病を増やしているよう」(172ページ)だと分析。加えて、「多少の残業時間があっても、いくらか裁量権が制限されていても、仕事に対する達成感があれば、なんとかやっていける人も多い」(172ページ)と指摘している。

いまの日本の元気の無さが、「ニュータイプなうつ病」に反映されているのかもしれない
(2010年9月15日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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