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日本の選択 | ||
著者 | 池上 彰 | ||
出版社 | KADOKAWA | ||
サイズ | 新書 |
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発売日 | 2012年12月07日頃 | ||
価格 | 859円(税込) | ||
ISBN | 9784041103692 |
日本の政治がうまくいかないのは、政治家が「票集め」に走り、国民は「幸せの青い鳥」を追い求めているからです。(129ページ)
概要
著者は、元NHKキャスターでフリージャーナリストの池上彰さん。
消費税、社会保障、製造業、領土問題、日本維新の会、大学の秋入学、教育委員会、原発、選挙制度改革、瓦礫の広域処理という10個のテーマについて、わかりやすく解説する。
消費税、社会保障、製造業、領土問題、日本維新の会、大学の秋入学、教育委員会、原発、選挙制度改革、瓦礫の広域処理という10個のテーマについて、わかりやすく解説する。
レビュー
池上さんの話がわかりやすいのは、あるテーマについて問題を設定したり、目標を明らかにした上で、関連する歴史を遡ることにある。
私も仕事上、よくわからないルールやプロジェクトに出会ったら、まず過去の資料を遡ることにしている。いつ、誰が、どういう意志をもって決めたのかがわかると、自分がとるべき方向が見えてくるからだ。

消費税については、いままでの経緯を振り返り、導入時には「所得税、法人税などの大幅な減税が実施されたため、ネットでは2.6兆円の減税となりました。1997年の橋本内閣の際の消費税増税も、所得税などの減税とセットで、国民負担はほぼ変化しませんでした」(32ページ)と解説し、今回の増税では減税がセットになっていないことを指摘する。
日本維新の会をはじめとする新政党については、「日本の政治がうまくいかないのは、政治家が『票集め』に走り、国民は『幸せの青い鳥』を追い求めているから」(129ページ)と手厳しい。

大津いじめ・自殺事件に絡んで教育委員会制度を取り上げ、「かつてこの国を戦争へと導いたのは政治家たちです。そのとき、教育も政治の動きに同調して若い命を戦争へと向かわせてしまったという反省から、教育は政治的に中立の立場で行えるようにしようということになった」(157ページ)という経緯を振り返り、主張が教育委員会に関与するという橋下大阪市長の方針に疑問を投げかける。そして、地域の高齢者や政治家に丸投げしている教育委員会を、ふたたび住民の手で運営すべきと主張する。

ただ、池上さんの言葉がわかりやすいために、それを鵜呑みにしてしまうという罠に陥りやすい。池上さんは、われわれが思考停止しないために分かりやすい解説を心がけているのであって、その辺を誤解してはいけないと感じた次第。
私も仕事上、よくわからないルールやプロジェクトに出会ったら、まず過去の資料を遡ることにしている。いつ、誰が、どういう意志をもって決めたのかがわかると、自分がとるべき方向が見えてくるからだ。

消費税については、いままでの経緯を振り返り、導入時には「所得税、法人税などの大幅な減税が実施されたため、ネットでは2.6兆円の減税となりました。1997年の橋本内閣の際の消費税増税も、所得税などの減税とセットで、国民負担はほぼ変化しませんでした」(32ページ)と解説し、今回の増税では減税がセットになっていないことを指摘する。
日本維新の会をはじめとする新政党については、「日本の政治がうまくいかないのは、政治家が『票集め』に走り、国民は『幸せの青い鳥』を追い求めているから」(129ページ)と手厳しい。

大津いじめ・自殺事件に絡んで教育委員会制度を取り上げ、「かつてこの国を戦争へと導いたのは政治家たちです。そのとき、教育も政治の動きに同調して若い命を戦争へと向かわせてしまったという反省から、教育は政治的に中立の立場で行えるようにしようということになった」(157ページ)という経緯を振り返り、主張が教育委員会に関与するという橋下大阪市長の方針に疑問を投げかける。そして、地域の高齢者や政治家に丸投げしている教育委員会を、ふたたび住民の手で運営すべきと主張する。

ただ、池上さんの言葉がわかりやすいために、それを鵜呑みにしてしまうという罠に陥りやすい。池上さんは、われわれが思考停止しないために分かりやすい解説を心がけているのであって、その辺を誤解してはいけないと感じた次第。
(2013年12月9日 読了)
参考サイト
- 『ホンモノの日本語を話していますか』(金田一春彦,2001年04月)
- 『日はまた昇る』(ビル・エモット/吉田利子,2006年02月)
- 『ヘボン博士の愛した日本』(杉田幸子,2006年03月)
- 『なぜ日本人は劣化したか』(香山リカ,2007年04月)
- 『斎藤佑樹くんと日本人』(中野 翠,2007年04月)
- 『適当な日本語』(金田一秀穂,2008年08月)
- 『日本人の誇り』(藤原 正彦,2011年04月)
- 『日本の国境問題』(孫崎享,2011年05月)
(この項おわり)