交通科学博物館には0系新幹線1号車がある

2007年7月28日 撮影
交通科学博物館
夏休みの家族旅行で四国へ向かう途中、JR/地下鉄・弁天町駅のすぐ近くにある交通科学博物館(大阪市港区波除3丁目)に立ち寄った。1962年(昭和37年)の開業。
東京・神田の交通博物館は昨年閉鎖されてしまったが、こちらは健在。鉄道だけでなく、自動車や航空機、帆船など交通機関全般を展示する「交通博物館」である。
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残念ながら、2014年(平成26年)4月6日に閉館することになった。収蔵品は、2016年(平成28年)4月29日開業予定の京都鉄道博物館に移設する計画だ。
0系新幹線 - 交通科学博物館
展示物の中で目を引くのは0系新幹線1号車だ。
先頭車両を含む4両が展示されており、1両は車内で映像を見ることができるように改造されている。

2014年(平成26年)11月7日、博物館の解体工事にともない、この0系新幹線が搬出された。搬送日程は公表されていなかったが、沿道には鉄道ファンらが詰めかけ、珍しい光景を熱心に撮影していた。

残念ながら、交通博物館の玄関にあった0系新幹線は、2007年(平成19年)10月オープン予定の鉄道博物館には移転されないとのこと。
0系新幹線 - 交通科学博物館の大きな写真大きな写真
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0系新幹線の運転台 - 交通科学博物館
運転席に入ることができる。

運転台は非常にシンプルで、手元にはマスコンとブレーキハンドルだけ――まるでゲーム機のようだ。
運転台の位置はかなり高く、かなり前方にあるレールでないと視界に入らないと思う。200km/h 走行時には、非常ブレーキを使っても制動距離が 2000m 以上に及んだそうだから、これはこれで構わなかったのかもしれない。
2007年(平成19年)8月、この0系新幹線1号車が機械遺産に認定された。
機械遺産とは、歴史に残る機械を次世代に伝えるため、社団法人日本機械学会が創立110周年を記念して設けた制度である。機械技術の発展史で重要な成果があった機械、生活や文化、経済、社会に貢献した機械などが対象。機械や機器のほか、機械関連システム、機械工場、設計仕様書や教科書などが認定される。
第1回の認定を通ったのは、0系新幹線のほか、国産旅客機のYS11、マツダのロータリーエンジン、ホンダの自転車用補助エンジン「カブ号F型」、コマツブルドーザーG40、豊田佐吉が発明した自動織機、東京帝国大学工学部の1905年(明治38年)当時の水力学の講義ノートなどである。
リニアモーターカーML500 - 交通科学博物館
交通科学博物館の中に入り、すぐに目に入ってくるのはリニアモーターカーの展示である。模型から実機まで、さまざまな展示物がある。
写真は、ML500 の模型だ。ML500 の 500 は、500 km/hを意味し、1977年(昭和52年)に1台だけ試作された無人実験車両である。1979年(昭和54年)、当時の世界最高速度 517 km/hをマークした。
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リニアモーターカー関連
151系特急形車両「こだま」 - 交通科学博物館
1958年(昭和33年)11月から1964年(昭和39年)9月まで運転された、国鉄初の電車による151系特急形車両「こだま」である。当時、東京~大阪間を、電気機関車牽引による客車特急「つばめ」・「はと」が7時間30分で結んでいたのに対し、「こだま」は6時間50分で結ぶことができた。さらに1960年(昭和35年)には6時間半まで短縮し、東京~大阪間の日帰りが可能になったことから「ビジネス特急」と呼ばれた。
こだま」の名前は、1964年(昭和39年)10月1日に開業する新幹線に受け継がれた。
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1800形蒸気機関車
1800形蒸気機関車は、1880年(明治13年)に開業した京都~大津間のために英国に発注された小形蒸気機関車である。
京都~大津間のうち、山科~大谷間にあった 5 km の長い勾配(25‰)は蒸気機関車の登坂力の限界とされたが、日本政府の「汽車監察方」であったB.F.ライトが設計し、英国キットソン社で製造された。3年後に開通した長浜~敦賀・関ヶ原間などの勾配区間にも導入された。
全長 8.8m、重量 36.9tである。
1800形蒸気機関車の大きな写真大きな写真
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101系通勤型電車 - 交通科学博物館
懐かしい中央線色の101系通勤型電車があった。
101系通勤型電車 - 交通科学博物館の大きな写真大きな写真
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101系通勤型電車-交通科学博物館
中に入ると、電車のメカを見ることができるシースルー構造になっている。
こぱふぅがお気に入りのドア開閉メカもある。

台車には住友の井桁マークが刻まれている。新幹線の台車も住友金属工業(現・新日鉄住金)製だ。
なぜ住友が台車に強いかということは、4日後に別子銅山記念館を訪ねて分かることになる。
運転シミュレーター-交通科学博物館
運転シミュレーターの映像は、どういうわけかJR東日本の中央線・立川~八王子間である。見慣れた風景を大阪で見ることができるとは。
駅の停止位置にピタリと停める「電車でGO!」と同じ内容だが、なかなか難しい。
電車でGO!関連
行き先表示板-交通科学博物館
昨年閉館した交通博物館(東京)にもあった行き先表示板――これも、こぱふぅのお気に入りのガジェットだ。押しボタンの組み合わせで行き先表示や時刻設定を変更するというメカニカルな機械なのだが、ご執心の模様。
ジオラマ-交通科学博物館
昨年閉館した交通博物館(東京)と同様、HOゲージ(レール幅16.5mm,縮尺1/80)の模型を走らせる大型ジオラマがある。ジオラマに敷かれたレールの総延長は400mにもなる。
平日は3回(夏休みは4回)、土・日・祝日は5回のデモンストレーションが行われる。
HOゲージ関連
ヘッドマーク-交通科学博物館
さまざまな列車のヘッドマークが並べられている。
帰路で乗る予定の寝台特急「富士・はやぶさ」のヘッドマークもあった。
寝台列車関連
この他にも、交通博物館(東京)にあった弁慶号と同型で、鉄道記念物となっている7100形蒸気機関車「義経号」230形蒸気機関車、準鉄道記念物となっている「キハ81形ディーゼル車」、D51形蒸気機関車などの実物展示がある。

230形蒸気機関車は、1903年(明治36年)から1年間に51両が製造された、国産初の量産型機関車だ。このうち交通科学博物館が所有する 233号機関車 は、2016年(平成28年)3月、重要文化財の指定を受けた。京都鉄道博物館に展示される。

交通アクセス

【鉄道】
  • JR大阪環状線・弁天町駅下車すぐ
  • 地下鉄中央線・弁天町駅、4番出口下車すぐ

近隣の情報

(この項おわり)
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