鞍馬寺の大天狗と牛若丸、そして尊天

本殿金堂

鞍馬寺（くらまでら）（京都府京都市左京区鞍馬本町1074番地）は、牛若丸（源義経）修行の地として知られる寺院だ。山号は鞍馬山（くらまやま）。鑑真（がんじん）和上の高弟・鑑禎（がんてい）上人が770年（神護景雲4年）に草庵を結び、毘沙門天を安置したのがはじまりとされている。

大きな写真

（2560×1707 ピクセル, 2372 Kbyte）

鞍馬駅の大天狗

叡山電車の鞍馬駅を降りると、高さ4.0メートル（顔の高さは1.8メートル）、鼻の長さが2.3メートルもある大天狗が出迎えてくれる。2019年（令和元年）10月、京都精華大学マンガ学科キャラクター・デザインコースの学生たちがデザインしたものにリニューアルされた。

9世紀末、東寺の僧・峰延（ほうえん）が入寺し、真言宗となった。鞍馬山はみっきょの修行地となり、山の精霊である天狗の最上位に当たる僧正坊が鞍馬山に住むとされるようになった。

鞍馬駅の大天狗(2022年1月14日撮影)

牛若丸に剣術を教えた僧正坊が鞍馬天狗で、後に、能「鞍馬天狗」や大佛次郎の時代小説『鞍馬天狗』となった。

冬になると、ご覧のように雪が積もっていた。

大きな写真

（1280×1920 ピクセル, 1125 Kbyte）

参道

仁王門にいたる参道の紅葉が鮮やかだ。

大きな写真

（2560×1707 ピクセル, 2532 Kbyte）

仁王門

仁王門（山門）は平安時代末期の1182年（養和2年）頃に創建され、1911年（明治44年）に再建された。左側の扉1枚は創建時にものと考えられている。両側に立つ仁王尊像は運慶の嫡男・湛慶（たんけい）の作と伝えられている。

大きな写真

（2560×1707 ピクセル, 3414 Kbyte）

九十九折参道

表参道は、清少納言が『枕草子』で「近うて遠きもの　くらまのつづらおりといふ道」と記したことから、九十九折参道（つづらおりさんどう）と呼ばれる。仁王門から本堂金堂まで30分ほどかかる。

大きな写真

（2560×1707 ピクセル, 3449 Kbyte）

由岐神社の御神木

山道の途中にある由岐神社は、元は鞍馬寺の鎮守社だった。
天慶の時代、都では大地震が起き、地方では平将門の乱が起きるなど、世情不安になったことから、朱雀天皇の詔により、940年（天慶3年）、御所に祀られていた由岐大明神を鞍馬山に遷座させた。

高さ約53メートル、樹齢800年（延暦19年）の御神木は、「大杉さん」として人々に親しまれている。その樹皮で造った御守をいただくことができる。

大きな写真

（1280×1920 ピクセル, 1794 Kbyte）

九十九折参道

鞍馬寺は12世紀に天台宗に改宗し、青蓮院（しょうれんいん）の支配下にあった。1730年（享保15年）には日光輪王寺の末寺にもなる。
1949年（昭和24年）、住職の信楽香雲（しがらきこううん）が鞍馬弘教（くらまこうきょう）を創始し、天台宗から独立した。

大きな写真

（2560×1707 ピクセル, 3563 Kbyte）

鞍馬寺

鞍馬弘教のもとで、本殿金堂の中央に毘沙門天、向かって右に千手観世音、左には護法魔王尊が安置され、これらの三身を一体として尊天と呼ぶ。尊天は「すべての生命の生かし存在させる宇宙エネルギー」という教義だ。尊天は秘仏で、60年に一度丙寅の年のみ開帳される。

本殿金堂の脇から奥の院参道へ入る。

大きな写真

（1280×1920 ピクセル, 2196 Kbyte）

僧正ガ谷不動堂

僧正ガ谷不動堂は、鞍馬天狗が牛若丸と出会ったといわれる場所だ。堂内には伝教大師最澄が刻んだと伝えられる不動明王が安置されている。

大きな写真

（2560×1707 ピクセル, 2406 Kbyte）

僧正ガ谷不動堂

不動堂の前の床石は幾何学模様になっている。これは本殿金堂前の金剛床（こんごうしょう）と同じ原理で、この上に立つと、尊天の宇宙エネルギーを浴びることができるという。

義経堂

不動堂の向かい側には、遮那王尊（しゃなおうそん）を祀る義経堂がある。
奥州平泉で非業の死を遂げた義経の魂は、幼少時代を過ごした鞍馬山へ戻り、遮那王尊として護法魔王尊（ごほうまおうそん）の破邪顕正の働きを助けているという。

大きな写真

（1920×1280 ピクセル, 1189 Kbyte）

大杉権現社

大杉権現社は、牛若丸が修行した木の根道にあり、樹齢1000年（長保2年）という護法魔王尊影向（ごほうまおうそんようご）の杉を祀っているが、このスギの巨木は1950年（昭和25年）の台風で折れてしまった。この森のなかで深呼吸すると、霊気が体内に取り込まれていくという。

大きな写真

（2560×1647 ピクセル, 2529 Kbyte）

奥の院魔王殿

奥の院参道の終点にあるのが奥の院魔王殿――鞍馬寺の霊域の中心であり、魔王尊が650万年前に地球救済のために金星から降り立った場所と伝えられている。

大きな写真

（2560×1682 ピクセル, 3185 Kbyte）

交通アクセス

【鉄道】

叡山電車「鞍馬駅」下車、徒歩すぐ。本殿までは徒歩約30分。
ケーブル「多宝塔駅」下車、徒歩約10分。

参考サイト

鞍馬寺
鞍馬：京阪電気鉄道株式会社
由岐神社
日光輪王寺：ぱふぅ家のホームページ

近隣の情報

鞍馬寺の大天狗と牛若丸、そして尊天：ぱふぅ家のホームページ
貴船神社に絵馬のルーツ：ぱふぅ家のホームページ
雪景色の貴船神社：ぱふぅ家のホームページ
瑠璃光院のインスタ映えする紅葉：ぱふぅ家のホームページ
曼殊院は皇室一門が住職を務める門跡寺院：ぱふぅ家のホームページ
比叡山延暦寺と高野山を比較する：ぱふぅ家のホームページ
比叡山で初日の出：ぱふぅ家のホームページ
下鴨神社は「みたらし団子」発祥の地：ぱふぅ家のホームページ
金閣寺から黄金の雨樋が張り出す：ぱふぅ家のホームページ
ソメイヨシノとギョイコウ：ぱふぅ家のホームページ
北野天満宮で梅花祭、芸舞妓が野点に（2023年2月26日）
深まる京都の秋をライトアップで楽しもう（2022年10月28日）
浮かび上がる朱、上賀茂神社でライトアップ（2022年9月20日）
平和への願い込めて鐘つき（2022年8月8日）
「牛」が結んだ意外な縁、北野天満宮にランボルギーニなど名車が集結（2022年5月29日）
3年ぶりの流鏑馬、50センチ四方に命中（2022年5月9日）
緑映える境内、ご縁願って手を合わせ（2022年4月24日）
天神さま、見てますか?「クローン梅」が咲きました（2022年3月5日）
平安装束で「ヤア」、2年ぶりの「蹴鞠初め」（2022年1月6日）
「道成寺」の安珍清姫伝説、イラストで現代風に（2021年11月29日）
延暦寺の戒壇院、初めての特別拝観（2021年10月25日）
絶滅危機のフジバカマ、駅ホームに（2021年10月9日）
延暦寺と北野天満宮がタッグ、神仏にコロナ退散祈る北野御霊会（2021年9月8日）
下鴨納涼古本まつり開幕。2年ぶり開催で「レアもの」も（2021年8月14日）
友禅画の不動明王を仁和寺に奉納（2021年8月6日）

この付近でネットができる宿

京都“元祖川床”発祥の老舗料理旅館　貴船ふじや（京都府京都市左京区鞍馬貴船町４０）
料理旅館　右源太（京都府京都市左京区鞍馬貴船町76）

（この項おわり）

2022年02月27日作成／2023年03月24日更新