比叡山延暦寺と高野山を比較する

2014年8月14日 撮影

目次

根本中堂 - 比叡山延暦寺
根本中堂
比叡山延暦寺(滋賀県大津市坂本本町4220)は、標高848メートルの比叡山全域を境内とする天台宗の総本山である。単に比叡山または叡山 (えいざん) と呼ばれることもある。
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写真の根本中堂は、織田信長による比叡山焼き討ちの後、天海の進言により、徳川家光が1634年(寛永11年)より8年の歳月をかけて再建したもので、1953年(昭和28年)に国宝に指定されている。1994年(平成6年)、「古都京都の文化財」として世界遺産に登録された。
2021年(令和3年)6月3日から5日かけ、伝教大師最澄の1200年(正治2年)大遠忌法要が執り行われた。

根本中堂は、東側の石段を登って文殊楼から見下ろすことができるのだが、この日はあいにくの霧雨で煙ってしまっている。

京都から比叡山へ

八瀬比叡山口駅 - 比叡山延暦寺
八瀬比叡山口駅
この日は、京都から比叡山へ向かった。
叡山電鉄「八瀬比叡山口駅」(京都市左京区八瀬野瀬町113)で下車する。無人駅である。
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高野川 - 比叡山延暦寺
高野川
途中、高野川 (たかのがわ) を渡る。

比叡山というと、高野山と比較しがちだが、この川は高野山とは何の関わりもない。淀川水系の一級河川で、賀茂川と合流して鴨川になる。
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ケーブル八瀬駅 - 比叡山延暦寺
ケーブル八瀬駅
さらに進む。
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ケーブル八瀬駅 - 比叡山延暦寺
ケーブル八瀬駅
ケーブル八瀬駅に到着する。

ここから叡山ケーブルに乗る。
叡山ケーブルは高低差が561メートルあり、日本のケーブルカー路線で最大となっている。
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ロープ比叡駅 - 比叡山延暦寺
ロープ比叡駅
ケーブル比叡駅で降り、ロープ比叡駅から比叡ロープウェイに乗る。
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比叡山頂駅 - 比叡山延暦寺
比叡山頂駅
比叡山頂駅に着いたら、少し歩いてバス停へ向かう。
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比叡山東堂

東堂 - 比叡山延暦寺
東堂
比叡山山頂からバスに乗り、延暦寺バスセンター(東堂駐車場)で降りる。

ここで拝観料を払い、東堂 (とうどう) にある国宝堂、根本中堂などを見学できる。
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大講堂 - 比叡山延暦寺
大講堂
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写真の大講堂は、1634年(寛永11年)の建築で重要文化財だったが、1956年(昭和31年)に火災で焼失した。

現在のものは坂本の讃仏堂を1964年(昭和39年)に移築したものである。本尊は大日如来で、その左右には比叡山で修行した各宗派の宗祖の木像が祀られている。
根本中堂 - 比叡山延暦寺
根本中堂
根本中堂や大講堂からなる東堂は、788年(延暦7年)、東大寺で受戒した伝教大師最澄が寺院を建立した延暦寺発祥の地である。
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開運の鐘 - 比叡山延暦寺
開運の鐘
大講堂の前にある鐘は「開運の鐘」と呼ばれている。誰でも自由に打つことができる。
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最澄と空海

最澄は、12歳の時に出家し、14歳で得度、19歳で東大寺で具足戒を受ける。比叡山で修行し、788年(延暦7年)に薬師如来を本尊とする草庵を建立する。
804年(延暦23年)、38歳の時、7歳年下の空海とともに遣唐使船で唐へ渡る。ただし、最澄と空海は乗っていた船が違い、中国大陸に接岸した場所も時期も異なる。
最澄は翌年帰国する。一方の空海は、20年の約束のところをわずか2ヶ月で密教の大法を授かり、806年(延暦25年)に帰国する。813年(弘仁4年)、最澄は空海が持ち帰った阿闍梨灌頂を伝授するように願ったが、なお3年の実修を要すといって拒否された。
816年(弘仁7年)、空海は嵯峨天皇から高野山を賜り、弟子達に命じて伽藍の建立に取りかかった。
822年(弘仁13年)、最澄が56歳で死去。835年(承和2年)、空海は61歳で死去。

今回の関西旅行では、比叡山と高野山の両方を見学したわけだが、絵物語や国宝舘を備えて参詣者に自らの歴史を伝えようとする比叡山に対し、とんでもない数の墓石と絶えることのない念仏で参詣者を圧倒する高野山。織田信長に焼き払われた比叡山に対し、為政者とはうまく距離をとって立ち回ってきた高野山。
最澄が天才だとすれば、空海は超人という違いがわかる旅でもあった。

日本古代史が専門の榎村寛之さんは著書『謎の平安前期ー桓武天皇から「源氏物語」誕生までの200年』の中で次のように述べている。
天台宗の僧侶集団は、貴族ではない地方有力者で、秀才だが血統がない子弟も頭角を現せる、ハイクラスのエリート集団となり、いわば宮廷の外部シンクタンクとして機能し、国家仏教という仕組みの頭脳の部分を支配するようになる。のちに法然(地方豪族)や親鸞(下級貴族)、栄西(地方豪族)や日蓮(地方豪族?)ら、上級貴族以外、門閥を問わない出自の有名僧が延暦寺で学んでいたことは偶然ではない。
一方真言宗は少し違う展開を遂げた。空海はほとんど私的な学問僧として唐に渡り、当時流行していた真言宗を学び、一式まとめて持ち帰り、九州で修行僧として名を売ってから都に戻った。つまり新しい仏教のカリスマ布教者として個人からスタートしたわけだ。さらに都から遠い高野山を手に入れて修行の場を作る。しかし山に籠もったわけではなく、京内の官寺(国家によって造られ、監督を受ける寺院)だった東寺を任され、京と高野山に二大拠点を構えた、そして東大寺別当にも就任し、その後も真言宗は奈良時代の私度僧(官の許可なく出家した僧尼)で超能力者として有名な役小角ゆかりの大峰山の山岳信仰も傘下に収めて、京・奈良・高野・大峰と南に直線的な展開を遂げることになる。

高野山高 vs 比叡山高

2016年(平成28年)11月3日、高野山高等学校比叡山高等学校の野球部が、高野山で初の交流試合をした。公式戦・練習試合を含め対戦は初めてで、高野山高の創立130周年記念行事として実現したもの。ともに甲子園出場経験のある強豪。7―1で高野山高が勝った。

比叡山から大津へ

東海自然歩道 - 比叡山延暦寺
東海自然歩道
見覚えのある「東海自然歩道」の看板が――東海自然歩道は、東京の高尾山から大阪の箕面山 (みのおやま) を結ぶ全長約1,700kmの自然歩道で、全コースを踏破するには40~50日かかるという。
途中、ケーブル延暦寺駅から根本中堂を通る。
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ケーブル延暦寺駅 - 比叡山延暦寺
ケーブル延暦寺駅
東堂地区から歩いて10分ほど下ると、坂本ケーブルのケーブル延暦寺駅に至る。

駅舎は1927年(昭和2年)の開業当時のもので、1997年(平成9年)に国の登録有形文化財に登録されている。
洋風2階建てで、2階には貴賓室があったが、現在はホールとして一般開放されている。
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ケーブル延暦寺駅 - 比叡山延暦寺
ケーブル延暦寺駅
1階には切符売場や待合室、運転室、乗務員控室などがある。

坂本ケーブルは2,025mあり、日本最長のケーブルカーである。
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ケーブル坂本駅
ケーブル坂本駅
坂本ケーブルの麓のケーブル坂本駅も、1927年(昭和2年)の開業当時の姿ととどめている。1997年(平成9年)に国の登録有形文化財に登録された。
ケーブル坂本駅の大きな写真大きな写真
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ケーブル坂本駅
ケーブル坂本駅
沿線には木彫りの動物の置物が並ぶ。
ケーブル坂本駅の大きな写真大きな写真
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京阪電車「坂本駅」
京阪電車「坂本駅」
ケーブル坂本駅から京阪電車「坂本駅」は少し離れており、江若バスに乗って5分ほど。ICカードは使えない。

現在の駅舎は1997年(平成9年)9月に使用開始されたもので、1998年(平成10年)に「関西照明技術普及協会賞」を受賞し、2000年(平成12年)に第1回「近畿の駅百選」に選定されている。
京阪電車「坂本駅」の大きな写真大きな写真
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延暦寺 関連

交通アクセス

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目的地:比叡山延暦寺

近隣の情報

参考サイト

(この項おわり)
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