金峯山寺で除夜の鐘をつく

2016年12月31日 撮影
蔵王堂 - 金峯山寺
金峯山寺 (きんぷせんじ) (奈良県吉野郡吉野町吉野山2498)は、吉野山の尾根上にそびえる蔵王権現を本尊とする寺院で、修験道の開祖・役行者 (えんのぎょうじゃ) が奈良時代に開いたと伝えられている。
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蔵王堂 - 金峯山寺
本堂の蔵王堂は、1592年(天正20年)、豊臣家の寄進で再興されたもので、高さ34メートル、奥行き・幅ともに36メートルという、木造建造物としては東大寺大仏殿に次ぐ規模をほこる。2階建てのように見えるが、中は吹き抜け構造になっている。国宝である。
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蔵王堂 - 金峯山寺
堂内には、スギ、ヒノキ、ナシ、ツツジなど自然木をそのまま使った68本の柱が林立し、山岳宗教の荒々しい雰囲気を漂わせている。3体ある本尊の蔵王権現は高さ7メートルの巨大なもので、国内最大といわれる厨子に納められた秘仏となっている。

蔵王権現 (ざおうごんげん) は、仏教の仏でも神道の神でもない、日本独自の修験道の本尊である。究極不滅の真理を体現し、あらゆるものを司る王という位置づけで、仏、菩薩、諸尊、諸天善神、天神地祇すべての力を包括しているという中2病的な本尊である。
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修験道は中世末期以降、本山派と当山派に分かれ、天台宗系の本山派は主に熊野で活動、真言宗系の当山派は吉野を主な活動地とした。当時の金峯山寺は山上・山下に多くの子院と僧兵を抱えていた。
金峯山寺の軍事力を背景に、後醍醐天皇は南朝を興した

江戸時代に入ると、徳川家康の命令により天台宗の僧・天海が金峯山寺に入り、金峯山は天台宗(日光輪王寺)の傘下に置かれることとなった。

明治維新後、1872年(明治5年)に修験道廃止例が発布され、1874年(明治7年)に金峯山寺は廃寺に追い込まれた。だが、僧侶・修験道者らの嘆願により、1886年(明治19年)に、天台宗修験派として修験道の再興が図られた。
鐘楼堂 - 金峯山寺
この日は大晦日。鐘楼堂において除夜の鐘をつくことができた。先着108名は記念品を受け取ることができる。
上千本(標高600メートル) にある重要文化財「三郎鐘」でも除夜の鐘をつくことができる。
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威徳天満宮 - 金峯山寺
蔵王道の前庭には、菅原道真を祀った威徳天満宮 (いとくてんまんぐう) がある。平安時代の959年(天徳3年)の鎮座と伝えられており、現社殿は豊臣秀頼によるものとされている。
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星空 - 金峯山寺
蔵王堂から西側へ下ると、脳天大神 (のうてんおおかみ) がある。蔵王権現の化身で、入試合格、学力向上、頭病平癒の御利益がある。吉野の脳天さんとして親しまれている。

吉野山は暗く、星空がよく見える。
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近鉄吉野駅 - 金峯山寺
吉野山へのアクセスは、近鉄吉野駅が便利だ。ここから徒歩3分で吉野大峯ケーブル「千本口駅」がある。ここからロープウェイに乗って吉野山駅まで3分。ロープウェイを降りたら、さらに徒歩10分で蔵王道に到着する。
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吉野山の桜

吉野山は桜の名所で、「千本桜」「一目千本」と形容される。役行者が吉野山に自生するヤマザクラ蔵王権現を刻んだことから、桜の木には神が宿ると考えられ、御神木とされてきた。その後も信者により桜の献木が続き、山を覆うようになった。
「新古今和歌集」の代表的歌人である西行 (さいぎょう) は、吉野山に3年滞在し、庵を結び、60余りの和歌を詠み、吉野山の桜が有名になった。

1594年(文禄2年)には、豊臣秀吉が、徳川家康、宇喜多秀家、前田利家、伊達政宗ら名だたる武将に加え、茶人、連歌師たちを伴い、総勢5千人で吉野山を訪れ、5日間に及ぶ花見会を催した。秀吉は、南と義経や後醍醐天皇も滞在したとされる𠮷水院(𠮷水神社 (よしみずじんじゃ) )を使うことで、自らの権勢を世の中に示した。

明治の廃仏毀釈や太平洋戦争を受けて吉野の桜は一時衰退するが、関係者の努力で往時の勢いを取り戻し、現在も献木活動は続いている。
ヤマザクラの寿命は70~100年ほどで、3人の桜守が年間50本ほどを植樹することで、3万本あるという吉野山の桜を維持している。

交通アクセス

  • 吉野大峯ケーブル「吉野山駅」から黒門、銅鳥居を経て蔵王堂まで徒歩10分
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出発地の最寄駅:

目的地:金峯山寺
金峯山寺 関連

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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