伊香保温泉・伊香保神社は万葉集に登場

2020年10月17日 撮影
伊香保温泉
伊香保温泉
伊香保温泉(群馬県渋川市伊香保町)は、草津温泉と並んで群馬県を代表する名湯で、急傾斜地に作られた石段の両側に、温泉旅館、みやげ物屋、遊技場、飲食店などが軒を連ねている。
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伊香保温泉
伊香保温泉
伊香保温泉のシンボルとなっている石段は、長さ約300メートル、365段あり、石段街と呼ばれる。

黄金の湯(硫酸塩泉)は、きりきず、末梢循環障害、冷え性などに、白銀の湯(メタけい酸)は、疲労回復、健康増進に適応するとされている。

温泉の発見は、1300年(正安2年)前とも1900年(明治33年)前とも言われており、後述するように『万葉集』にも伊香保の名前が登場する。
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伊香保温泉
伊香保温泉
現在の温泉街が作られたのは戦国時代である。
長篠の戦いで負傷した武田兵の療養所として石段街が作られた。湯元から温泉を引き、石段を作り、中央に湯桶を伏せ左右に調整、区画された屋敷に湯を分けるという日本初の温泉リゾート都市計画だった。

当初、7士族が大家となっていたが、1639年(寛永16年)には14士族に増え、家来筋にあたる門屋が土地と洗い場を預けられて湯治人宿を商っていた。また、大家と門屋以外の者が、店借りと呼ばれる酒店や豆腐店、髪結、油屋、畳屋などを商い、現在のような町並みを作り上げていった。
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伊香保温泉
伊香保温泉
明治時代以降、竹久夢二、徳富蘆花、夏目漱石、萩原朔太郎、野口雨情など文人が多く訪れた。とくに徳冨蘆花夫妻は伊香保を愛して止まず、生涯で10回も訪れ、「来世で二人が逢うとすれば、場所は伊香保だろう」と書き残している。小説『不如帰』は伊香保で執筆された。
1910年(明治43年)には渋川から路面電車が開通した(バスの台頭で、1953年(昭和28年)に廃止)。同じ頃、湯の花まんじゅうが発売され、全国の温泉地で売られている温泉饅頭の先駆けとなった。

戦後は歓楽街温泉として栄え、いまも芸妓組合が存在している。
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頭文字(イニシャル)D - 伊香保温泉
頭文字(イニシャル)D
伊香保を舞台とする漫画『頭文字 (イニシャル) D』とのコラボレーション企画として、2020年(令和2年)7月27日からアニメツー路ズム推進事業がはじまった。写真は、『頭文字D』のマンホールの蓋。

 - 伊香保神社
拝殿?
伊香保神社(群馬県渋川市伊香保町伊香保1)は、伊香保温泉の石断街を上り詰めた先に鎮座する神社である。
温泉・医療の神様、大己貴命 (おおなむちのみこと) 少彦名命 (すくなひこなのみこと) を祀っている。
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鳥居 - 伊香保神社
鳥居
伊香保温泉の石段365段を上りきると、伊香保神社の鳥居がある。

伊香保神社の由緒によると、創建は825年(天長2年)。旧本社とされる三宮神社は750年(天平勝宝2年)に創建された。
さらに、榛名山も含むいかほの山々をいかつほの神として祀っていた山岳信仰時代があったとされている。
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万葉歌碑 - 伊香保神社
万葉歌碑
伊香保の地名は古く、『万葉集』に複数の歌が収録されている。鳥居の脇には万葉歌碑がある。

い香保ろの 八坂の堰塞 (いで) に 立つ虹の  (あらわ) ろまでも さ寝をさ寝てば
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芭蕉の句碑 - 伊香保神社
芭蕉の句碑
(意味)伊香保の山裾にある大きな水門にかかる虹がはっきり見えるようになるまで、一緒に寝ていられたらどんなによいものか。ぜひそうなるようにしたいものだ。

1689年(元禄2年)9月、松尾芭蕉は奥の細道の行脚を終え、伊賀上野に帰郷する途中に詠んだ歌が、万葉歌碑と並んでいる。

初時雨 (はつしぐれ)  猿毛小蓑越 (さるもこみのを)  不し気南梨 (ほしけなり) 

(意味)今年初めての時雨に寒さを覚え、早速蓑を羽織ったが、それを見ていた猿達も体にあった小さな蓑を欲しそうなように見える。
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拝殿 - 伊香保神社
拝殿
こぢんまりとした拝殿だが、上野国の一宮は「貫前 (ぬきさき) 神社」、二宮は「赤城神社」で、伊香保神社は三宮として、群馬県の中でも格式の高い神社に序されている。
縁結びや子宝、安産、子育て、家内安全、商売繁盛、病気平癒などのご利益があるとされている。
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河鹿橋 - 伊香保神社
河鹿橋
拝殿の左側には、湯元通りに続く道があり、しばらく進むと、深紅の河鹿橋 (かじかばし) が見えてくる。アニメ映画『千と千尋の神隠し』の、湯屋の前にあった赤い橋のモデルである。
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河鹿橋 - 伊香保神社
河鹿橋
春には新緑が、秋には紅葉が楽しめる名所となっている。紅葉の時期は、例年10月中旬頃から色づき始め、11月初旬にはピークを迎る。この時期にあわせてライトアップを行う。
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河鹿橋 - 伊香保神社
河鹿橋
河鹿橋の下を流れる川の水は、もともと透明な黄金の湯に含まれる鉄分が酸化して、茶褐色になっている。

交通アクセス

【鉄道+バス】
  • JR渋川駅から関越交通バス・伊香保温泉行、「伊香保温泉」下車(大人580円)
伊香保温泉 関連

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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