地下鉄博物館には日本初の地下鉄などが展示

2006年4月15日 撮影
地下鉄博物館
東西線・葛西駅のガード下にある地下鉄博物館(東京都江戸川区東葛西六丁目3番1号 東京メトロ東西線葛西駅高架下)を訪れた。
地下鉄博物館
自動券売機のような機械で入場券を買い、改札機を通して入場する。
丸ノ内線300形 - 地下鉄博物館
入ってすぐに、丸ノ内線301号車が目に入る。
1954年(昭和29年)1月20日、帝都高速度交通営団初の路線である丸ノ内線池袋~御茶ノ水間に登場した真っ赤な300形の第1号車である。
丸ノ内線300形 - 地下鉄博物館の大きな写真大きな写真
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子どもの頃、地下鉄といえば300形が思い浮かぶほど印象的な車体であった。
1996年(平成8年)に引退したが、廃車された車両のうち6両は、三越銀座店で展示販売された。1両40万円という破格の値段で、個人で購入したマニアもいたようだ。
また、131両がアルゼンチンに売却され、現在、ブエノスアイレス地下鉄B線で活躍している。
銀座線1000形 - 地下鉄博物館
銀座線は1927年(昭和2年)12月30日、「東洋唯一の地下鉄道」というキャッチコピーで、浅草~上野間で営業を開始した日本初の地下鉄である。そこで最初に走ったのが、写真の1000形の第1号車である。2017年(平成29年)3月、国の重要文化財(美術工芸品)に指定された。
銀座線1000形 - 地下鉄博物館の大きな写真大きな写真
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1000形は、戦後に台車が交換され、1975年(昭和50年)に廃車になるまで半世紀近くにわたって現場で、また実験用車両として活躍した。この展示用車両は、古い台車を取り寄せて完全復元したものである。すべての地下鉄車両の原点となった1000形に対する関係者のこだわりが感じられる。
銀座線1000形-地下鉄博物館
当時、地上を走る電車は木造車体が一般的だったが、地下鉄では火災対策が重要課題であり、1000形の場合、車体はおろか、内張りまで鋼鉄製の全鋼製であった。木造車に慣れた当時の乗客に違和感を感じさせないよう、内装は鋼板に木目焼き付け印刷を施した。
車内照明も重要な課題だった。1000形では間接照明を採用し、車内灯の光が直接乗客の目に当たらないようにする配慮がなされた。網棚はない。
また、吊革は普段はバネの力で外側に跳ね上がっており、つかまる際手前の方へ引っ張る構造のリコ式が用いられた。鋳造製で重量感がある。これは、1960年代まで営団地下鉄電車の特徴となった。
写真のように内部も再現されているが、現代の車両にはない高級感が漂う。

地下鉄をつくる

地下鉄トンネル - 地下鉄博物館
「地下鉄をつくる」コーナーでは、地下鉄トンネルの建設を立体映像で見ることができる。
建設方式は、大きく2つにわかれ、開削工法シールド工法がある。トンネルの断面が円形と四辺形にわかれるのは、建設方式の違いによる。
地下鉄トンネル - 地下鉄博物館の大きな写真大きな写真
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子どもの頃は開削工法が主体で、道路が鉄板で覆われていたことを思い出す。銀座線の開削風景がモノクロ・フィルムで上映されていたが、ツルハシで地中を掘り進み、猫車で土砂を運び出している様子には驚いた。
「図解 東京の地下技術」(青山やすし /古川公毅 /かんき出版/2001年(平成13年)12月)によれば、都営地下鉄大江戸線では、上下線を駅ホームの部分を一気に掘削すべく、3台のシールドを横に繋げた3心円シールドを導入したという。さらに、地上道路の道幅が狭いために上下2階建てになっている六本木駅では、4心円シールドを使い、上下階の間隔をわずか2.3メートルに縮めた。また、清澄白川駅ではシールドマシンをUターンさせるなど、ともかく大江戸線には最新のシールド技術が惜しみなく投入された。
千代田線6000形シミュレータ-地下鉄博物館
「地下鉄プレイランド」には、数々の運転シミュレータがあり、実際の映像と運転台を使って運転体験できる。中でも、千代田線6000系シミュレータは、運転に応じてモックアップ全体が前後左右に揺れ、目をつぶって座席に座っていると、本物の地下鉄に乗っていると錯覚するほどである。
いずれのシミュレータも難易度が高いのだが、職員の方が手をさしのべてくれると、ホームにピタリと停まってくれる。素晴らしい。
運転シミュレータは、千代田線6000系のほか、丸ノ内線02系半蔵門線8000系東西線5000系がある。実際の映像と運転台を使って運転体験できる。シミュレータの難易度は高いが、職員の方が手をさしのべてくれると、ホームにピタリと停まってくれる。

参考サイト

交通アクセス

【鉄道】
  • 東京メトロ東西線「葛西駅」下車、すぐ

近隣の情報

(この項おわり)
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