世界平和大観音像は巨大廃墟

2018年9月8日 撮影
世界平和大観音像
平和観音寺 (へいわかんのんじ) (兵庫県淡路市釜口2006-1)は、1982年(昭和57年)、不動産事業で財をなしたオクウチグループの創業者、奥内豊吉氏が出身地の淡路島に私財を投じて建立した。建造当時は世界最大の像だった、高さ100メートルの世界平和大観音像がランドマークとなっている。

宗教法人の認証は得ておらず、絵画や車など、奥内氏の個人コレクションを展示する博物館となっていたが、2006年(平成18年)2月26日に閉館し、現在は廃墟となっている。
世界平和大観音像の大きな写真大きな写真
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平和観音寺
奥内氏は1988年(昭和63年)に死去し、施設を相続した妻も2006年(平成18年)に死去。遺族が相続を拒否したために閉鎖となった。リーマン・ブラザーズ系の金融機関が債権を一時保有し、神戸地裁で競売にかけたら入札参加者がなかった。リーマンショックのあおりで、債権は別会社に移ったものの、その会社は維持管理者ではなく、修繕の法的義務がないという。
奥内氏の遺族は道義的な責任を感じ、淡路市に相当な額のふるさと納税をしており、それが観音像関連の経費に活用されているという。
平和観音寺の大きな写真大きな写真
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2011年(平成23年)9月、淡路市は安全対策として初めて内部調査を実施し、倒壊の危険性はないと判断し、観音像の入り口を封鎖した上で、傷みの激しい十重の塔にネットを張るなど応急処置をとった。
観音像は、1995年(平成7年)1月の阪神淡路大震災、2013年(平成25年)4月の淡路島地震でも倒壊は免れたが、老朽化は進んでおり、2018年(平成30年)8月の台風11号のあと、腰付近の外壁約2メートル四方が崩落しているのが見つかった。写真をご覧いただきたい。
相続財産管理人によると、観音像本体の固定資産評価額だけで6億円だという。淡路市は、債権者がいる以上は手を出せないというスタンスだ。

観音像の近くに住む住民は、「極めて危険だ。今後、コンクリート片が国道や近くの民家に落ちることがあればどうするのか。早く解体、撤去してほしい」と訴えている。

解体へ

2020年(令和2年)4月1日、財務省近畿財務局は、世界平和大観音像を周辺施設と共に、2022年度中に解体撤去すると発表した。相続人がいないことから、3月30日付で、1万9千m2の土地を含めて国の所有物となっていた。
2021年(令和3年)6月14日、解体工事が始まった。9月には本体の解体作業に着手する。2023年(令和5年)1月に更地に戻す計画だ。解体費用は8億8000万円で、国の税金で賄われるという。

交通アクセス

【自動車】
  • 淡路インターチェンジから南へ約11km。約15分。

近隣の情報

参考サイト

(この項おわり)
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