目次
- カロリーゼロの人工甘味料が空腹感を増大させるかも
- 肥満対策は個人の行動変容だけでは達成できない
- 参考サイト
カロリーゼロの人工甘味料が空腹感を増大させるかも

2025年(令和7年)3月に、カロリーゼロの人工甘味料「スクラロース」を摂取すると、甘い物を摂取したのにカロリーが得られなかった脳が混乱し、食欲を制御する機能が変化する可能性があると、アメリカ南カリフォルニア大学の研究チームが実験結果を発表しました。
被験者グループは、性別と体重(健康体重、太り気味、肥満)が均等になるように選ばれた18歳から35歳までの若い成人75人で、3回の実験で砂糖(ショ糖)入り飲料か、スクラロース入りの飲料、または水を300ml飲みました。3種類の飲料を飲む順番はランダムで、甘い飲み物はチェリー風味で味付けして砂糖なのかスクラロースなのかわからないようになっていました。
飲料を摂取する前と後に行われた血液検査と空腹度アンケートの結果を比較したところ、予想通り砂糖を摂取すると血糖値が上昇し、同時にインスリンやグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)などの血糖値を調整するホルモンも増加して、空腹度は抑制されました。一方、スクラロースでは血糖値もホルモンも変わらず、また砂糖を摂取した場合に比べて空腹感は大きくなりました。
この結果について、研究者は「体は、血糖値を調節するホルモンを使ってカロリーを摂取したことを脳に伝え、空腹感を軽減します。しかし、スクラロースにはそのような効果がなく、またスクラロースと砂糖に対するホルモン反応の違いは、肥満の被験者ではとりわけ顕著でした」と語っています。

さらに、脳のfMRIスキャンにより、スクラロースを摂取すると食欲のコントロールなどを助けている視床下部の活動が増加することがわかりました。これは、スクラロースが摂食行動や欲求に影響を与える可能性を示唆しています。対照的に、砂糖入りの飲料を飲むと視床下部への血流は減少しました。

スクラロースはショ糖の600倍の甘さなのにもかかわらず、カロリーはゼロです。そのため、味覚から検知した摂取カロリーと実際に得られたカロリーの間に大きな差が生じてしまい、それが甘い物への欲求を引き起こす可能性があると、研究チームは考えています。
飲料を摂取する前と後に行われた血液検査と空腹度アンケートの結果を比較したところ、予想通り砂糖を摂取すると血糖値が上昇し、同時にインスリンやグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)などの血糖値を調整するホルモンも増加して、空腹度は抑制されました。一方、スクラロースでは血糖値もホルモンも変わらず、また砂糖を摂取した場合に比べて空腹感は大きくなりました。
この結果について、研究者は「体は、血糖値を調節するホルモンを使ってカロリーを摂取したことを脳に伝え、空腹感を軽減します。しかし、スクラロースにはそのような効果がなく、またスクラロースと砂糖に対するホルモン反応の違いは、肥満の被験者ではとりわけ顕著でした」と語っています。

さらに、脳のfMRIスキャンにより、スクラロースを摂取すると食欲のコントロールなどを助けている視床下部の活動が増加することがわかりました。これは、スクラロースが摂食行動や欲求に影響を与える可能性を示唆しています。対照的に、砂糖入りの飲料を飲むと視床下部への血流は減少しました。

スクラロースはショ糖の600倍の甘さなのにもかかわらず、カロリーはゼロです。そのため、味覚から検知した摂取カロリーと実際に得られたカロリーの間に大きな差が生じてしまい、それが甘い物への欲求を引き起こす可能性があると、研究チームは考えています。
肥満対策は個人の行動変容だけでは達成できない

イギリスのシェフィールド大学で栄養学上級講師を務めるルーシー・ニールド氏らは、肥満に悩む人に「食べる量を減らし、運動量を増やす」というアドバイスは効果がないだけでなく、有害な結果をもたらす可能性があると警鐘を鳴らします。2007年(平成19年)にイギリス政府が発表した「フォーサイト」報告書を引用し、高カロリーで栄養価の低い食品が安価でどこにでも手に入り、車中心の都市からスクリーンに支配された余暇まで、日常生活から身体活動が排除されている「肥満を誘発する環境」を改善しない限り、肥満対策は達成できないと主張します。
肥満は個人の意志や選択でなったものではなく、複雑で慢性的な再発性の病気であり、その要因は、遺伝や幼少期の経験、文化的規範、経済的な不利、メンタルヘルス、精神疾患、職業など多岐にわたるといいます。
イングランドでは成人の約26.5%、子どもの約22.1%が肥満の影響を受けています。また、イギリス全体では肥満によって、年間1260億ポンド(約18兆6000億円)の損失が発生しているといいます。

しかし、依然としてイギリスの肥満対策の多くは個人の行動変容に重点を置いています。確かに、カロリー制限や定期的な運動は減量にとって重要ですが、こればかりに焦点を絞ると「肥満は個人の努力不足だ」という危険な言説が広まり、社会的な偏見を強化してしまうといいます。

ニールド氏らは肥満の適切な対策として、以下の4点を挙げています。
イングランドでは成人の約26.5%、子どもの約22.1%が肥満の影響を受けています。また、イギリス全体では肥満によって、年間1260億ポンド(約18兆6000億円)の損失が発生しているといいます。

しかし、依然としてイギリスの肥満対策の多くは個人の行動変容に重点を置いています。確かに、カロリー制限や定期的な運動は減量にとって重要ですが、こればかりに焦点を絞ると「肥満は個人の努力不足だ」という危険な言説が広まり、社会的な偏見を強化してしまうといいます。

ニールド氏らは肥満の適切な対策として、以下の4点を挙げています。
- 肥満は慢性疾患だと認識する
- 体重に対する偏見に対処する
- 個人にマッチする多面的な支援を提供する
- 人ではなく環境の変化に焦点を当てる
Obesity care: why “eat less, move more” advice is failing:THE CONVERSATION, 2025年7月9日
参考サイト
- メタボリックシンドローム 2025年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2018年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2017年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2015年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2014年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2013年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2012年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2011年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボリックシンドローム 2010年版:ぱふぅ家のホームページ
- メタボ予防関連情報 2009年版:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)