霊場恐山で東日本大震災の供養

2022年7月1日 撮影
山門 - 霊場恐山
山門
霊場恐山 (れいじょうおそれざん) (青森県むつ市田名部字宇曽利山3-2)は、比叡山高野山と並ぶ日本三大霊場。恐山を中心にした地域は下北半島国定公園に指定されている。土壌には高濃度の砒素や硫化水素が含まれており、岩だらけの風景は地獄絵図である。
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霊場恐山
1996年9月20日 撮影
1980年(昭和55年)、1996年(平成8年)の二度訪れている。
三途川 - 霊場恐山
三途川
三途川 (さんずのかわ) の川幅は4000kmあり、日本列島がすっぽり収まってしまうほどだが、恐山では、宇曽利湖から流れ出す天津川が三途川に見立てられている。死後7日目に渡るとされており、生前に犯した罪の重さによって渡す場所が決められている。
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総門 - 霊場恐山
総門
善人は橋を渡り、軽い罪を犯した者は浅瀬を、重い罪を犯した者は激流の中を歩いて渡らなければならないという。
恐山は、862年(貞観4年)に最澄の弟子である慈覚大師円仁 (えんにん) が開いたと伝えられている。
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霊場恐山
霊場恐山
円仁は唐に留学中に夢でお告げを受け、帰国して霊山を探して歩き、恐山にたどりついた。そこで、6尺3寸の地蔵菩薩を彫り、本尊として安置したという。
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霊場恐山
霊場恐山
霊場恐山は、宇曽利湖 (うそりこ) を中心に、釜臥山 (かまぶせざん) 大尽山 (おおづくしやま) 小尽山 (こづくしやま) 北国山 (ほっこくざん) 屏風山 (びょうぶやま) 剣の山 (つるぎのやま) 地蔵山 (じぞうやま) 鶏頭山 (けいとうざん) の八峰に囲まれ、その形が花開く八葉の蓮華にたとえられている。
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霊場恐山
霊場恐山
火山ガスの噴出する岩肌の一帯は地獄に、湖をとりまく白砂の浜は極楽になぞられ、「人は死ねばお山に行く」という素朴な信仰と祈りを伝えてきた。
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薬師の湯 - 霊場恐山
薬師の湯
恐山は活火山で、明治から昭和初期に硫黄を掘り出していた恐山鉱山を掘削した際に温泉が湧きだして、宿坊には内風呂と露天風呂がある。全て源泉掛け流しだ。
霊場恐山
霊場恐山
三途の川を渡り終えると、初七日 (しょなのか) 。この日から十王(十尊)による審査を受ける。そして、35日目には閻魔 (えんま) 大王によって審判が下され、来世が決まる。四十九日には、六道 (りくどう) の中から、次に向かう世界へ向かって歩き始める。
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霊場恐山
霊場恐山
六道のひとつ「地獄道」は、生前の罪の深さによって8つに分類され(八大地獄)、さらに細かく138の地獄があるとされている。この1つ1つが霊場恐山にあると見立てられ、円仁が開山した。
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みたま石 - 霊場恐山
みたま石
地獄の司法制度は近代的で、一周忌や三周忌(宗派によっては三十三回忌まで)に家族による再審査請求ができる仕組みになっている。家族の供養という救済により、死者は地獄道から別ルートへ進むことが可能になる。
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無間地獄 - 霊場恐山
無間地獄
無間地獄 (むげんじごく) は地獄の最下層にあり、生前、もっとも重い罪を犯した者が、たった一人で真っ逆さまに頭から落ち続け、2000年(平成12年)かけてようやく到達する場所にあるという。
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塩屋地獄 - 霊場恐山
塩屋地獄
無間地獄では、燃え下がる炎が骨の随まで焼き尽くし、その苦しみの大きさは他の7つの地獄の苦しみを合わせたより1000倍以上苦しいという。
無間地獄は他の地獄より広大で、地球が3000個も入ってしまうほどだ。
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血の池地獄 - 霊場恐山
血の池地獄
無間地獄の刑期は682京年以上とされ、この宇宙で恒星の形成が行われなくなり、すべてがブラックホールに飲み込まれていく、はるか未来のことである。
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重罪地獄 - 霊場恐山
重罪地獄
ダンテが著した『神曲』には、キリスト教世界における地獄の様子が描かれている。それによると、かつて天使の長だったルシファーが堕天し、地上に穿った地獄の大穴から9つの階層に分かれているという。
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金掘地獄 - 霊場恐山
金掘地獄
無間地獄のと同様に、一番下層の第9圏コキュートスに一番重い罪を犯した者が封じられている。コキュートスは、無間地獄とは逆に氷付けの世界で、その中心に魔王サタンとなったルシフェルが幽閉されている。
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八葉塔 - 霊場恐山
八葉塔
殺風景な岩場にたたずむ高さ5メートルのお地蔵様。八葉塔と呼ばれている。

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八葉塔 - 霊場恐山
八葉塔
生まれる前に亡くなった胎児は水子となり、三途の川の賽の河原で小石を積み上げるのだが、時々、鬼がこれを崩してしまう。水子が再び小石を積むという無限ループ――そこにお地蔵様(地蔵菩薩)が現れ、水子を導き救うとされている。

恐山の至る所で風車を見かけるが、これは水子供養のためにお供えされているもので、受付の横にある売店で購入することができる。
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大師堂 - 霊場恐山
大師堂
慈覚大師円仁は、808年(大同3年)、15歳の時に延暦寺に上り、最澄に師事する。838年(承和5年)に遣唐使船に乗り入唐。五台山を巡礼し、847年(承和14年)に帰国。854年(仁寿4年)に延暦寺第3代天台座主となる。
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大平和観音 - 霊場恐山
大平和観音
観音様(観音菩薩)は、観世音菩薩、観自在菩薩とも呼ばれ、あらゆる人を救い、あらゆる願いをかなえるとされる。そのため、臨機応変に33種類の姿に変身する。
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 - 霊場恐山
前述の通り、土壌には火山性の硫化水素が含まれており、これが大気中に噴き出し、お賽銭が酸化してしまい、ご覧の通り、錆び付いている。
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不動明王 - 霊場恐山
不動明王
お不動さま(不動明王)は大日如来の化身であるとされている。もともとはヒンズー教のシヴァ神で、煩悩を断ち切り仏道に導く役目を果たすために、恐ろしい表情をしている。弘法大師空海が日本に伝えたとされている。
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五智如来 - 霊場恐山
五智如来
五智如来 (ごちにょらい) は、密教の5つの智惠を5体の如来に対応させた者で、金剛界五仏とも呼ばれる。
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宇曽利湖 - 霊場恐山
宇曽利湖
宇曽利湖 (うそりこ) は、剣山の噴火でできたカルデラ湖で、湖底から硫化水素が噴出しており、湖水はpH3.5前後の酸性となっている。ウグイ1種、ヤゴ、プランクトンがわずかに生息しているだけで、水草も見られない。
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極楽浜 - 霊場恐山
極楽浜
アニメ映画『風の谷のナウシカ』に登場する酸の湖のようだ。
湖畔の白い砂浜は極楽に見立てられ、極楽浜と呼ばれる。
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哀悼の辞 - 霊場恐山
哀悼の辞
2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災の被害者の冥福を念じようと、2012年(平成24年)7月の例大祭で、写真上の供養塔が建立された。写真左は、被害者の冥福を念じる手のひらを刻んだ哀悼の辞。
毎年、供養が執り行われている。
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交通アクセス

【バス】
  • JR大湊線「下北駅」からバスで約35分(1日4~5往復)
恐山 関連

参考書籍

表紙 冥途の旅はなぜ四十九日なのか
著者 柳谷晃
出版社 青春出版社
サイズ 新書
発売日 2009年05月
価格 858円(税込)
ISBN 9784413042352
お経、しきたり、五重塔…に秘められた目からウロコ!の新発見。仏教はかくも壮大な世界観を持っていた。
 

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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