目次
- 脳の老廃物排出メカニズムは睡眠中に働く
- 睡眠不足は脳細胞に物理的なダメージを与える可能性
- 日本人の睡眠時間が改善
- 寝不足だから仕事休むね
- 認知症のリスクを低下させるのに最適な睡眠時間
- シフト勤務が脳の体積低下と関連
- 睡眠の規則正しさは睡眠時間より死亡リスクに影響
- 睡眠にごほうびを出すと成績が上がる
- 参考サイト
脳の老廃物排出メカニズムは睡眠中に働く
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
米ワシントン大学や米ロチェスター大学などの研究者によると、脳の老廃物排出メカニズムは睡眠中に働くという研究成果を発表しました。
脳には他の臓器のようなリンパ管が存在しませんが、代謝によって生じる老廃物を排出する仕組みとして、2012年(平成24年)に「グリンパティック系」が提唱されました。これは脳脊髄液が動脈周囲から脳内に流入し、細胞間を通りながら老廃物を回収し、静脈周囲や髄膜のリンパ管を介して脳外へ排出される経路です。
脳には他の臓器のようなリンパ管が存在しませんが、代謝によって生じる老廃物を排出する仕組みとして、2012年(平成24年)に「グリンパティック系」が提唱されました。これは脳脊髄液が動脈周囲から脳内に流入し、細胞間を通りながら老廃物を回収し、静脈周囲や髄膜のリンパ管を介して脳外へ排出される経路です。
この流れは、アストロサイトに多く存在する水チャネルであるアクアポリン4 によって支えられており、その機能を阻害すると脳脊髄液の循環が大きく低下することが動物実験で示されています。

特に注目されているのは、グリンパティック系が睡眠中に活性化する点です。
マウスの研究では、睡眠中のβアミロイドの除去速度が覚醒時の約2倍になることが確認されています。これは、睡眠中に脳細胞間の隙間が広がり、脳脊髄液が流れやすくなるためと考えられています。さらにノンレム睡眠中には、青斑核から放出されるノルエピネフリンが血管の収縮と拡張を引き起こし、脳脊髄液の流入を促進します。一方で、一般的な睡眠薬ではこの自然なリズムを十分に再現できず、脳の老廃物除去を促進しない可能性が指摘されています。

また、この脳の排出システムは免疫監視とも密接に関係しています。排出された物質は髄膜に存在する免疫細胞に受け渡され、脳の異常が監視されます。この連携が損なわれると、アルツハイマー病モデルマウスではβアミロイドの蓄積が進み、認知機能の低下が早まることが報告されています。

グリンパティック系は主に動物実験で研究されてきましたが、MRI研究によりヒトの脳にも同様の仕組みが存在し、特に睡眠中に脳脊髄液の流れが活発になることが確認されています。これらの知見は、神経変性疾患のみならず、脳腫瘍や自己免疫疾患、精神疾患の新たな治療法の開発につながる可能性を示しています。
特に注目されているのは、グリンパティック系が睡眠中に活性化する点です。
マウスの研究では、睡眠中のβアミロイドの除去速度が覚醒時の約2倍になることが確認されています。これは、睡眠中に脳細胞間の隙間が広がり、脳脊髄液が流れやすくなるためと考えられています。さらにノンレム睡眠中には、青斑核から放出されるノルエピネフリンが血管の収縮と拡張を引き起こし、脳脊髄液の流入を促進します。一方で、一般的な睡眠薬ではこの自然なリズムを十分に再現できず、脳の老廃物除去を促進しない可能性が指摘されています。
また、この脳の排出システムは免疫監視とも密接に関係しています。排出された物質は髄膜に存在する免疫細胞に受け渡され、脳の異常が監視されます。この連携が損なわれると、アルツハイマー病モデルマウスではβアミロイドの蓄積が進み、認知機能の低下が早まることが報告されています。
グリンパティック系は主に動物実験で研究されてきましたが、MRI研究によりヒトの脳にも同様の仕組みが存在し、特に睡眠中に脳脊髄液の流れが活発になることが確認されています。これらの知見は、神経変性疾患のみならず、脳腫瘍や自己免疫疾患、精神疾患の新たな治療法の開発につながる可能性を示しています。
Resolving the mysteries of brain clearance and immune surveillance:A Cell Press journal, 2025-12-03
睡眠不足は脳細胞に物理的なダメージを与える可能性
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
2025年(令和7年)12月16日に、イタリア・カメリーノ大学を中心とする研究チームは、睡眠不足の日が続くと頭がぼんやりしたり、反応が遅れたりしやすくなるが、こうした変化は気分や根性の問題ではなく、神経の信号を速く伝えるための髄鞘が傷ついている可能性があるとする研究報告を発表しました。
髄鞘は脂質が多い層で、電線の被覆のように信号の漏れを防いで伝達速度を高める働きを持っています。髄鞘の材料の一部になるのがコレステロールで、脳内では主にオリゴデンドロサイトが供給や維持の役目を担っています。

ラットを用いた実験では、睡眠を10日間制限した後に白質の指標が低下し、電子顕微鏡で髄鞘が薄くなっている様子が確認されました。研究チームは、軸索そのものの太さは大きく変わらない一方で髄鞘側の変化が目立った点がポイントだとしています。さらに、睡眠の制限を受けたラットでは左右の大脳半球をまたぐ神経信号の伝わりが遅れ、特定の脳領域間の信号伝達は約3割遅くなったとのこと。脳領域間の同期も困難になり、運動や記憶に関わる課題の成績も低下したと研究者は報告しています。

遺伝子発現や脂質の解析を行ったところ、睡眠不足によって小胞体に異常なタンパク質が蓄積した小胞体ストレス状態となり、脂質の代謝が乱れる様子が示されたとのこと。特にコレステロールの恒常性に関わる変化が目立ち、髄鞘に必要なコレステロールがうまく回らなくなることが髄鞘の脆弱化と伝達遅延につながる筋道が示されました。
研究チームが睡眠不足にしたラットにシクロデキストリンという環状オリゴ糖を投与してコレステロールを髄鞘へ運ぶ流れを補助したところ、神経信号伝達の遅延が抑えられ、運動や記憶の成績も改善したとのこと。研究チームは、睡眠不足の影響がオリゴデンドロサイトによるコレステロール制御を介して起きる可能性を裏付ける結果だとしています。
ラットを用いた実験では、睡眠を10日間制限した後に白質の指標が低下し、電子顕微鏡で髄鞘が薄くなっている様子が確認されました。研究チームは、軸索そのものの太さは大きく変わらない一方で髄鞘側の変化が目立った点がポイントだとしています。さらに、睡眠の制限を受けたラットでは左右の大脳半球をまたぐ神経信号の伝わりが遅れ、特定の脳領域間の信号伝達は約3割遅くなったとのこと。脳領域間の同期も困難になり、運動や記憶に関わる課題の成績も低下したと研究者は報告しています。
遺伝子発現や脂質の解析を行ったところ、睡眠不足によって小胞体に異常なタンパク質が蓄積した小胞体ストレス状態となり、脂質の代謝が乱れる様子が示されたとのこと。特にコレステロールの恒常性に関わる変化が目立ち、髄鞘に必要なコレステロールがうまく回らなくなることが髄鞘の脆弱化と伝達遅延につながる筋道が示されました。
研究チームが睡眠不足にしたラットにシクロデキストリンという環状オリゴ糖を投与してコレステロールを髄鞘へ運ぶ流れを補助したところ、神経信号伝達の遅延が抑えられ、運動や記憶の成績も改善したとのこと。研究チームは、睡眠不足の影響がオリゴデンドロサイトによるコレステロール制御を介して起きる可能性を裏付ける結果だとしています。
Sleep loss induces cholesterol-associated myelin dysfunction:PNAS, 2025-12-16
睡眠不足は脳細胞に物理的なダメージを与えて情報伝達を遅らせる:GIGAZINE, 2026年02月03日
睡眠不足は脳細胞に物理的なダメージを与えて情報伝達を遅らせる:GIGAZINE, 2026年02月03日
日本人の睡眠時間が改善
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
2026年(令和8年)2月27日に、株式会社ビデオリサーチ内の生活者に関するシンクタンク「ひと研究所」は、この10年で日本人の睡眠時間は増加傾向にあり、若年層が牽引しているとする調査結果を発表しました。
日本人の睡眠時間は、2016年(平成28年)の7時間18分から、2025年(令和7年)は18分増加の7時間36分になりました。男女とも10~50代で増加傾向で、とくに20代は男女ともに8時間20分超です。女性30代も30分以上増加で8時間以上になりました。
日本人の睡眠時間は、2016年(平成28年)の7時間18分から、2025年(令和7年)は18分増加の7時間36分になりました。男女とも10~50代で増加傾向で、とくに20代は男女ともに8時間20分超です。女性30代も30分以上増加で8時間以上になりました。
日本人は「寝不足で勤勉」というイメージがありますが、近年は変化が見られます。調査によると、平均睡眠時間は2016年(平成28年)の7時間18分から2025年(令和7年)には7時間36分へと増加しており、特にコロナ禍以降に伸びが顕著です。在宅勤務やリモート講義の普及により通勤・通学時間が減少し、生活リズムが変化したことが主な要因とされています。

年代別では、10代から50代で増加傾向が見られますが、とりわけ20代の伸びが目立ちます。男性は約30分、女性も約20分増加し、平均で8時間20分以上と、最も睡眠時間が長い層となっています。一方、60代では大きな変化はなく横ばいです。若年層ほど環境変化の影響を受けやすく、生活の自由度が高まったことが背景にあります。

さらに、スマートフォンや動画配信サービスの普及により、時間に縛られないコンテンツ利用が可能となり、無理な夜更かしが減少しました。また、睡眠の重要性への認識向上や働き方改革の影響で、意識的に睡眠時間を確保する動きも広がっています。加えて、スリープテックやリカバリーウェアなど、睡眠の質を高める消費行動も拡大しています。

このように、日本人の睡眠時間は環境や意識の変化を背景に増加傾向にあり、「よく寝る国民」へと移行しつつあります。今後も健康や美容への関心の高まりとともに、この傾向は一定程度続くと考えられています。
年代別では、10代から50代で増加傾向が見られますが、とりわけ20代の伸びが目立ちます。男性は約30分、女性も約20分増加し、平均で8時間20分以上と、最も睡眠時間が長い層となっています。一方、60代では大きな変化はなく横ばいです。若年層ほど環境変化の影響を受けやすく、生活の自由度が高まったことが背景にあります。
さらに、スマートフォンや動画配信サービスの普及により、時間に縛られないコンテンツ利用が可能となり、無理な夜更かしが減少しました。また、睡眠の重要性への認識向上や働き方改革の影響で、意識的に睡眠時間を確保する動きも広がっています。加えて、スリープテックやリカバリーウェアなど、睡眠の質を高める消費行動も拡大しています。
このように、日本人の睡眠時間は環境や意識の変化を背景に増加傾向にあり、「よく寝る国民」へと移行しつつあります。今後も健康や美容への関心の高まりとともに、この傾向は一定程度続くと考えられています。
10年で睡眠時間は増加傾向、20代は約8時間30分と若年層が牽引 今日の休息と未来のパフォーマンスを高める「睡眠」に注目 ~ビデオリサーチ「ひと研究所」による生活者研究の情報ご提供~:Digital PR Platform, 2026年2月27日
寝不足だから仕事休むね
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
2026年(令和8年)3月3日に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や慢性呼吸器疾患(COPD等)の医療機器を製造・販売するレスメド株式会社(東京・港区)は、世界睡眠デー(3月13日)に向けて「レスメド 世界睡眠調査2026」を発表しました。調査によると、日本は依然として「眠らない国」であるだけでなく、睡眠に関する知識や睡眠が重要であるという意識が低い国であることが判明しました。
「質の悪い睡眠で疲れがとれず病欠したことはあるか」という問いに対し、日本の回答者の61.5%が「全くない」と回答しています(世界平均 29.6%)。これは、日本人が疲れていても無理をして出社し、「プレゼンティーズム」に陥っている可能性を強く示唆しています。
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
レスメドは、2025年(令和7年)12月から2026年(令和8年)1月にかけて、世界13か国・3万人を対象に睡眠調査を実施しました。睡眠は栄養、運動と並ぶ健康の三本柱であり、長期的な健康や生活の質に不可欠であるという認識が世界的に高まっている一方で、実際の睡眠の質は依然として多くの人にとって十分とは言えない現状が明らかにされています。

調査によると、回答者の82%が睡眠を健康と長寿にとって非常に重要だと認識しているにもかかわらず、53%は「良質な睡眠が週に4日以下」と回答しており、認識と行動・成果の間に大きなギャップが存在しています。主な睡眠阻害要因としては、ストレスや不安、仕事上の責任、就寝前の電子機器使用、家庭内の責任、睡眠障害などが挙げられています。

また、睡眠問題は性別による影響の差も顕著です。女性は男性に比べて入眠困難や熟睡感の欠如を訴える割合が高く、特にストレス、家族責任、パートナーのいびきなどが睡眠の質に影響しています。一方で、男性においても入眠困難が急増しており、質の高い睡眠が誰にとっても得にくくなっている実態が示されています。

睡眠不足はメンタルヘルスや職場パフォーマンスにも深刻な影響を与えています。多くの人が疲労感、集中力低下、イライラ感、抑うつ傾向を経験しており、70%が「睡眠不足を理由に仕事を休んだことがある」と回答しています。職場で睡眠健康が十分に重視されていないとの認識も強く、柔軟な働き方や職場文化の改善が重要であると指摘されています。

レポートは、個人、医療機関、企業、政策立案者が連携し、睡眠を公衆衛生上の重要課題として位置付け、「認識」から「行動」、そして「持続的な成果」へと転換する必要性を訴えています。より良い睡眠は十分に実現可能であり、その第一歩は正しい理解と主体的な行動であると結論付けています。
調査によると、回答者の82%が睡眠を健康と長寿にとって非常に重要だと認識しているにもかかわらず、53%は「良質な睡眠が週に4日以下」と回答しており、認識と行動・成果の間に大きなギャップが存在しています。主な睡眠阻害要因としては、ストレスや不安、仕事上の責任、就寝前の電子機器使用、家庭内の責任、睡眠障害などが挙げられています。
また、睡眠問題は性別による影響の差も顕著です。女性は男性に比べて入眠困難や熟睡感の欠如を訴える割合が高く、特にストレス、家族責任、パートナーのいびきなどが睡眠の質に影響しています。一方で、男性においても入眠困難が急増しており、質の高い睡眠が誰にとっても得にくくなっている実態が示されています。
睡眠不足はメンタルヘルスや職場パフォーマンスにも深刻な影響を与えています。多くの人が疲労感、集中力低下、イライラ感、抑うつ傾向を経験しており、70%が「睡眠不足を理由に仕事を休んだことがある」と回答しています。職場で睡眠健康が十分に重視されていないとの認識も強く、柔軟な働き方や職場文化の改善が重要であると指摘されています。
レポートは、個人、医療機関、企業、政策立案者が連携し、睡眠を公衆衛生上の重要課題として位置付け、「認識」から「行動」、そして「持続的な成果」へと転換する必要性を訴えています。より良い睡眠は十分に実現可能であり、その第一歩は正しい理解と主体的な行動であると結論付けています。
Resmed’s 2026 Global Sleep Survey:Resmed Inc., 2026年3月3日
認知症のリスクを低下させるのに最適な睡眠時間
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
これまでの研究では睡眠時間が短すぎる人は認知症リスクが高いことが指摘されていましたが、2026年(令和8年)4月8日にカナダ・ヨーク大学の研究チームは、合計280万人以上のデータを分析し、認知症リスクを低下させるのに最適な睡眠時間は、1晩あたり7~8時間という結果を発表しました。
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
本研究は、身体活動量、座位行動(長時間座って過ごすこと)、睡眠時間という日常的な生活行動と、認知症発症リスクとの関連を明らかにすることを目的として、前向きコホート研究を対象とした系統的レビューおよびメタ分析を行ったものです。対象は35歳以上の地域在住成人で、認知症をベースラインで有していない人々とされました。

研究者らは、1946年(昭和21年)から2025年(令和7年)8月までに公表された関連文献を複数の医学・心理・運動科学系データベースから検索し、最終的に身体活動に関する49研究(約286万人)、睡眠時間に関する17研究(約134万人)、座位時間に関する3研究(約30万人)を分析に含めました。統計解析にはランダム効果モデルを用い、認知症発症リスクの統合推定値(リスク比)が算出されました。
その結果、定期的に身体活動を行っている人は、運動習慣のない人に比べて認知症発症リスクが有意に低いことが示されました。一方、1日に8時間以上座って過ごす長時間の座位行動は、認知症リスクの上昇と関連していました。

睡眠時間については、1晩あたり7~8時間の睡眠をとる人に比べ、7時間未満の短時間睡眠および8時間を超える長時間睡眠のいずれも、認知症発症リスクが有意に高いことが明らかになりました。つまり、睡眠時間と認知症リスクとの間にはU字型の関係が認められました。

著者らは、これらの結果から、適度な身体活動、座位時間の短縮、適正な睡眠時間の確保(7~8時間)は、認知症予防または発症の遅延に寄与する可能性のある「修正可能な生活習慣要因」であると結論づけています。ただし、本研究は観察研究に基づく解析であるため、因果関係を直接証明するものではなく、今後は中年期からの長期追跡研究や行動変化を考慮した研究が必要であると指摘しています。
研究者らは、1946年(昭和21年)から2025年(令和7年)8月までに公表された関連文献を複数の医学・心理・運動科学系データベースから検索し、最終的に身体活動に関する49研究(約286万人)、睡眠時間に関する17研究(約134万人)、座位時間に関する3研究(約30万人)を分析に含めました。統計解析にはランダム効果モデルを用い、認知症発症リスクの統合推定値(リスク比)が算出されました。
その結果、定期的に身体活動を行っている人は、運動習慣のない人に比べて認知症発症リスクが有意に低いことが示されました。一方、1日に8時間以上座って過ごす長時間の座位行動は、認知症リスクの上昇と関連していました。
睡眠時間については、1晩あたり7~8時間の睡眠をとる人に比べ、7時間未満の短時間睡眠および8時間を超える長時間睡眠のいずれも、認知症発症リスクが有意に高いことが明らかになりました。つまり、睡眠時間と認知症リスクとの間にはU字型の関係が認められました。
著者らは、これらの結果から、適度な身体活動、座位時間の短縮、適正な睡眠時間の確保(7~8時間)は、認知症予防または発症の遅延に寄与する可能性のある「修正可能な生活習慣要因」であると結論づけています。ただし、本研究は観察研究に基づく解析であるため、因果関係を直接証明するものではなく、今後は中年期からの長期追跡研究や行動変化を考慮した研究が必要であると指摘しています。
シフト勤務が脳の体積低下と関連
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
2025年(令和7年)12月25日に、デューク・シンガポール国立大学の神経科学者であるトーマス・ウェルトン氏らの研究チームが1万4000人超のMRIデータを分析し、シフト勤務者では視床と扁桃体の脳容積が選択的に減少していることを発表しました。また、シフト勤務をやめると約2.4年以内に容積減少の進行が停止する可能性を示しました。
この論文「hift work is associated with selective brain volume loss」は、シフト勤務が脳構造に与える影響を大規模なMRIデータを用いて調査した研究です。24時間体制の業務が増加する中、シフト勤務は睡眠障害や認知機能低下との関連が指摘されていますが、脳そのものへの影響については十分に解明されていませんでした。

研究では、英国の大規模生体データベースであるUK Biobankに登録された健康な就労者14,198人を対象としました。そのうち2,122人がシフト勤務者で、年齢中央値は47歳でした。研究チームはMRI画像から153項目の脳構造指標を抽出し、年齢、性別、喫煙歴、社会経済状況などの影響を統計的に補正したうえで比較しました。

その結果、シフト勤務者では右側の視床(thalamus)と左側の扁桃体(amygdala)の容積が有意に小さいことが分かりました。視床は感覚情報の中継や睡眠・覚醒の調節に重要な役割を担い、扁桃体は不安や恐怖などの情動処理に関与しています。このことから、シフト勤務による体内時計(概日リズム)の乱れが、睡眠や感情に関連する脳領域へ影響を及ぼしている可能性が示唆されました。

さらに、白質の微細構造も調査したところ、皮質脊髄路や大脳脚などで劣化傾向が認められました。また、脳容積の減少は認知機能の低下とも関連していました。これらの結果は、シフト勤務者でしばしば報告される注意力や認知機能の低下に神経学的な背景がある可能性を示しています。

特に注目されるのは、シフト勤務を中止した人々を対象とした解析結果です。シフト勤務に関連する脳容積減少は、勤務をやめてから約2.4年以内に進行が停止していました。これは、脳の変化が必ずしも不可逆ではなく、勤務形態の改善や適切な介入によって悪化を防げる可能性を示しています。

著者らは、今回確認された脳容積の減少は大規模な脳萎縮ではなく比較的小さな変化であるとしながらも、長期的には認知機能低下や神経変性疾患のリスクと関連する可能性があると指摘しています。そのため、シフト勤務者に対しては、睡眠管理の徹底や健康状態の継続的なモニタリング、勤務スケジュールの見直しなどの予防的な対策が重要であると結論づけています。
研究では、英国の大規模生体データベースであるUK Biobankに登録された健康な就労者14,198人を対象としました。そのうち2,122人がシフト勤務者で、年齢中央値は47歳でした。研究チームはMRI画像から153項目の脳構造指標を抽出し、年齢、性別、喫煙歴、社会経済状況などの影響を統計的に補正したうえで比較しました。
その結果、シフト勤務者では右側の視床(thalamus)と左側の扁桃体(amygdala)の容積が有意に小さいことが分かりました。視床は感覚情報の中継や睡眠・覚醒の調節に重要な役割を担い、扁桃体は不安や恐怖などの情動処理に関与しています。このことから、シフト勤務による体内時計(概日リズム)の乱れが、睡眠や感情に関連する脳領域へ影響を及ぼしている可能性が示唆されました。
さらに、白質の微細構造も調査したところ、皮質脊髄路や大脳脚などで劣化傾向が認められました。また、脳容積の減少は認知機能の低下とも関連していました。これらの結果は、シフト勤務者でしばしば報告される注意力や認知機能の低下に神経学的な背景がある可能性を示しています。
特に注目されるのは、シフト勤務を中止した人々を対象とした解析結果です。シフト勤務に関連する脳容積減少は、勤務をやめてから約2.4年以内に進行が停止していました。これは、脳の変化が必ずしも不可逆ではなく、勤務形態の改善や適切な介入によって悪化を防げる可能性を示しています。
著者らは、今回確認された脳容積の減少は大規模な脳萎縮ではなく比較的小さな変化であるとしながらも、長期的には認知機能低下や神経変性疾患のリスクと関連する可能性があると指摘しています。そのため、シフト勤務者に対しては、睡眠管理の徹底や健康状態の継続的なモニタリング、勤務スケジュールの見直しなどの予防的な対策が重要であると結論づけています。
hift work is associated with selective brain volume loss:ScienceDirect, 2025年12月15日
睡眠の規則正しさは睡眠時間より死亡リスクに影響
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
研究チームは、イギリスに住む6万人以上の人に、腕時計のような小型の加速度計を1週間身につけてもらい、睡眠と覚醒のリズムを記録しました。そこから「睡眠規則性指数(SRI)」という数値を計算しました。SRIは、今日の睡眠パターンが前日とどれだけ似ているかを表す数値で、100点に近いほど毎日同じ時間帯に寝起きしていることを意味し、0点に近いほど寝る時間や起きる時間がバラバラであることを意味します。

その後、研究チームは対象者を平均6年以上追跡し、亡くなった人の記録を調べました。その結果、SRIが高いグループ、つまり睡眠が規則正しいグループは、SRIが低いグループに比べて、あらゆる原因による死亡リスクが20~48%低いことがわかりました。がんによる死亡リスクは16~39%、心臓病や糖尿病などによる死亡リスクは22~57%低くなっていました。

さらに研究チームは、睡眠時間と睡眠の規則正しさのどちらが死亡リスクをより正確に予測できるかを比較しました。その結果、睡眠時間よりも睡眠の規則正しさのほうが、死亡リスクの強い予測因子であることがわかりました。毎晩7~8時間眠ることも大切だが、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることも、それと同じくらい、あるいはそれ以上に健康に関わっている可能性があるということである。

研究チームは、睡眠の規則正しさを整えることは、特別な道具や薬を使わなくても取り組める、健康長寿のためのシンプルで効果的な方法になりうると述べている。夜ふかしや寝だめを繰り返すよりも、毎日決まった時間に寝て起きる習慣のほうが、体にとって良い可能性があるということである。
その後、研究チームは対象者を平均6年以上追跡し、亡くなった人の記録を調べました。その結果、SRIが高いグループ、つまり睡眠が規則正しいグループは、SRIが低いグループに比べて、あらゆる原因による死亡リスクが20~48%低いことがわかりました。がんによる死亡リスクは16~39%、心臓病や糖尿病などによる死亡リスクは22~57%低くなっていました。
さらに研究チームは、睡眠時間と睡眠の規則正しさのどちらが死亡リスクをより正確に予測できるかを比較しました。その結果、睡眠時間よりも睡眠の規則正しさのほうが、死亡リスクの強い予測因子であることがわかりました。毎晩7~8時間眠ることも大切だが、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることも、それと同じくらい、あるいはそれ以上に健康に関わっている可能性があるということである。
研究チームは、睡眠の規則正しさを整えることは、特別な道具や薬を使わなくても取り組める、健康長寿のためのシンプルで効果的な方法になりうると述べている。夜ふかしや寝だめを繰り返すよりも、毎日決まった時間に寝て起きる習慣のほうが、体にとって良い可能性があるということである。
Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration: A prospective cohort study:Sleep, Volume 47, Issue 1, 2024年1月
睡眠にごほうびを出すと成績が上がる
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
2025年(令和7年)3月に、ピッツバーグ大学のオセア・ジュンテッラ氏、カーネギーメロン大学のシルビア・サッカルド氏、カリフォルニア大学サンディエゴ校のサリー・サドフ氏らの研究チームは、大学生1,149人を対象とした実験で、平日に7時間以上眠れた朝にその日のうちに報酬を渡すと、睡眠時間が増え、学期の成績も上がったとする研究報告を発表しました。睡眠を増やす働きかけが学業成績を高めることを、実験によって示した最初の報告です。
AI生成コンテンツ / AI-generated contents
研究チームは2019年(平成31年)春から2022年(令和4年)春までの7学期にわたり、米国のピッツバーグ大学の学生1,149人に活動量計Fitbitを着け続けてもらい、睡眠を記録しました。目標は「日曜から木曜の夜に、朝9時までに7時間以上眠る」ことです。参加者はくじ引きのように無作為に分けられ、何もしない対照群(380人)と、目標を達成すると報酬を受け取れる即時インセンティブ群(468人)などに割り当てられました。

即時インセンティブ群には、ふだんより1時間早い時刻が目標の就寝時刻として設定され、その30分前に「そろそろ寝る準備をしましょう」というメッセージが毎晩届きました。参加者は「スマホの電源を切る」「寝る前の音楽をかける」といった就寝前の行動を自分で1つ選び、毎晩それを実行してもらいました。翌朝9時を過ぎると目標を達成できたかどうかがアプリに表示され、達成できていれば4.75ドルがその日のうちに支払われます。この仕組みを4週間続けたあと、報酬をやめて1~5週間、睡眠の変化を追跡しました。

実験前、参加者が7時間以上眠れていた平日の夜は全体の約43%でした。報酬のあった4週間では、この割合が11.5ポイント増え、実験前と比べて26%増加しました。平日の睡眠時間は平均19分伸びています。報酬をやめたあとも効果は残り、7時間以上眠れた夜の割合は5.2ポイント(実験前比12%)、睡眠時間は平均8分長い状態が続きました。
なお、睡眠時間が増えたのは休日の睡眠や昼寝を削ったためではありません。就寝時刻が早まったことと、毎日ほぼ同じ時刻に寝起きする規則正しさが高まったことによるものでした。

学期の成績は、4点満点で表す成績平均値(GPA)で0.075~0.088ポイント上がりました。成績のばらつきを基準にすると0.10~0.11標準偏差にあたる差です。翌学期の成績にも同じくらいの効果が見られましたが、2学期後には差がなくなっていました。効果が大きかったのは昼ごろに始まる授業で、理数系(STEM)の科目で目立っていました。

研究チームは、成績が上がった理由は「お金をもらえたこと」自体ではないと述べています。奨学金を受けている学生や家計に余裕のない学生でとくに効果が大きいわけではなく、カフェイン飲料を飲む量も増えていませんでした。
代わりに見つかったのは生活時間の変化です。勉強に使う時間の合計は変わらないまま、夜の勉強が朝に移っていました。ネット、テレビ・動画、ゲームなどに使う画面時間(勉強のための画面時間は除く)は就寝前を中心に減っており、減った分は睡眠が増えた分とほぼ同じでした。運動量や学期末の心の健康には変化がなく、実験期間中はストレスにうまく対処できていると答える人が増えたとのこと。

かかった費用は1人1学期あたり約112ドル(Fitbit代60ドルと報酬の平均52ドル)です。一方、成績そのものに報酬を出す方式の効果をまとめた研究では、GPAの上昇は平均0.041ポイント、費用は1人1学期あたり約457ドルでした。睡眠に報酬を出すほうが、約2倍の効果を4分の1以下の費用で得られたことになります。

同時に実施された別の方式との比較では、報酬を学期末にまとめて渡す方式よりも、その日のうちに渡す方式のほうが実験期間中の効果が48~73%大きく、就寝のメッセージと達成結果の通知だけで報酬を出さない方式の3~4倍の効果がありました。ただし報酬をやめたあとは、これらの方式の差はほとんどなくなりました。
また、報酬をやめると就寝時刻は元に戻り、就寝のメッセージを送り続けても早寝は続きませんでした。一方で睡眠時間と規則正しさの改善は約4週間続いています。研究チームは、外からの合図によって早寝が自動的な習慣になったのではなく、参加者が自分に合った就寝・起床のリズムを見つけたためではないかとみています。
即時インセンティブ群には、ふだんより1時間早い時刻が目標の就寝時刻として設定され、その30分前に「そろそろ寝る準備をしましょう」というメッセージが毎晩届きました。参加者は「スマホの電源を切る」「寝る前の音楽をかける」といった就寝前の行動を自分で1つ選び、毎晩それを実行してもらいました。翌朝9時を過ぎると目標を達成できたかどうかがアプリに表示され、達成できていれば4.75ドルがその日のうちに支払われます。この仕組みを4週間続けたあと、報酬をやめて1~5週間、睡眠の変化を追跡しました。
実験前、参加者が7時間以上眠れていた平日の夜は全体の約43%でした。報酬のあった4週間では、この割合が11.5ポイント増え、実験前と比べて26%増加しました。平日の睡眠時間は平均19分伸びています。報酬をやめたあとも効果は残り、7時間以上眠れた夜の割合は5.2ポイント(実験前比12%)、睡眠時間は平均8分長い状態が続きました。
なお、睡眠時間が増えたのは休日の睡眠や昼寝を削ったためではありません。就寝時刻が早まったことと、毎日ほぼ同じ時刻に寝起きする規則正しさが高まったことによるものでした。
学期の成績は、4点満点で表す成績平均値(GPA)で0.075~0.088ポイント上がりました。成績のばらつきを基準にすると0.10~0.11標準偏差にあたる差です。翌学期の成績にも同じくらいの効果が見られましたが、2学期後には差がなくなっていました。効果が大きかったのは昼ごろに始まる授業で、理数系(STEM)の科目で目立っていました。
研究チームは、成績が上がった理由は「お金をもらえたこと」自体ではないと述べています。奨学金を受けている学生や家計に余裕のない学生でとくに効果が大きいわけではなく、カフェイン飲料を飲む量も増えていませんでした。
代わりに見つかったのは生活時間の変化です。勉強に使う時間の合計は変わらないまま、夜の勉強が朝に移っていました。ネット、テレビ・動画、ゲームなどに使う画面時間(勉強のための画面時間は除く)は就寝前を中心に減っており、減った分は睡眠が増えた分とほぼ同じでした。運動量や学期末の心の健康には変化がなく、実験期間中はストレスにうまく対処できていると答える人が増えたとのこと。
かかった費用は1人1学期あたり約112ドル(Fitbit代60ドルと報酬の平均52ドル)です。一方、成績そのものに報酬を出す方式の効果をまとめた研究では、GPAの上昇は平均0.041ポイント、費用は1人1学期あたり約457ドルでした。睡眠に報酬を出すほうが、約2倍の効果を4分の1以下の費用で得られたことになります。
同時に実施された別の方式との比較では、報酬を学期末にまとめて渡す方式よりも、その日のうちに渡す方式のほうが実験期間中の効果が48~73%大きく、就寝のメッセージと達成結果の通知だけで報酬を出さない方式の3~4倍の効果がありました。ただし報酬をやめたあとは、これらの方式の差はほとんどなくなりました。
また、報酬をやめると就寝時刻は元に戻り、就寝のメッセージを送り続けても早寝は続きませんでした。一方で睡眠時間と規則正しさの改善は約4週間続いています。研究チームは、外からの合図によって早寝が自動的な習慣になったのではなく、参加者が自分に合った就寝・起床のリズムを見つけたためではないかとみています。
Sleep: Educational Impact and Habit Formation:NBER Working Paper No.32550, 2025年3月
Sleep: Educational Impact and Habit Formation:Journal of Political Economy
Sleep: Educational Impact and Habit Formation:Journal of Political Economy
参考サイト
- 睡眠と健康:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2010年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2013年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2014年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2015年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2017年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2018年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2019年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2020年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2021年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2022年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2025年版:ぱふぅ家のホームページ
- 睡眠と健康 2026年版:ぱふぅ家のホームページ
- 日本睡眠学会
- 日本睡眠教育機構 JSES
- 日中の眠気の評価法:健康・体力づくり財団
- 睡眠・覚醒障害研究部:国立精神・神経医療研究センター
- 睡眠医療プラットフォーム
(この項おわり)
