
ボッティチェリ「書斎の聖アウグスティヌス」
その後、キケロや聖書に触れたアウグスティヌスは、383年、ローマに入り、弁論術を教えた。ミラノでは新プラトン主義に触れ、マニ教から離れ、387年、キリスト教の洗礼を受ける。

マニ教の善悪二元論は、悪の原理は物質に由来するもので、人間の本性ではないとする。しかしアウグスティヌスは、自らの罪の深さに悩み、人間の自由意志は神の恩寵と対立する原罪だと認識した。
プラトンの理想のイデアを出発点に、一神論と親和性の高い新プラトン主義に触れたことで、アウグスティヌスは、神への信仰こそが地の国から神の国へ至る道であると信じた。そして、神の恩寵が自然を完成させるとした。
アウグスティヌスは、教会が地上では唯一、神の代理を担う場所だと定義し、これが中世キリスト教の立ち位置を決定することになる。

391年、アウグスティヌスは北アフリカでカルタゴに次ぐ第二の都市ヒッポの司祭になった。
410年、西ゴート人によるローマ占領に衝撃を受けたキリスト教世界に対し、『神の国』を発表することで、その精神的支柱となった。
430年、ゲルマン民族はジブラルタル海峡を渡り北アフリカに侵入してきたとき、アウグスティヌスは75年の生涯を閉じる。

アウグスティヌスが影響を受けた古代ギリシアやヘレニズムの哲学は、皮肉なことに、529年、東ローマ帝国のユスティニアヌス帝の時、異教としてキリスト教世界から追放されてしまう。また、神の国を目指した教会もまた、世俗の垢にまみれていくことになる。
これを回復するには、十字軍によって古代ギリシアの知識が入りラム世界から逆輸入され、トマス・アクィナスが『神学大全』を著すまで待たなければならなかった。

マニ教の善悪二元論は、悪の原理は物質に由来するもので、人間の本性ではないとする。しかしアウグスティヌスは、自らの罪の深さに悩み、人間の自由意志は神の恩寵と対立する原罪だと認識した。
プラトンの理想のイデアを出発点に、一神論と親和性の高い新プラトン主義に触れたことで、アウグスティヌスは、神への信仰こそが地の国から神の国へ至る道であると信じた。そして、神の恩寵が自然を完成させるとした。
アウグスティヌスは、教会が地上では唯一、神の代理を担う場所だと定義し、これが中世キリスト教の立ち位置を決定することになる。

391年、アウグスティヌスは北アフリカでカルタゴに次ぐ第二の都市ヒッポの司祭になった。
410年、西ゴート人によるローマ占領に衝撃を受けたキリスト教世界に対し、『神の国』を発表することで、その精神的支柱となった。
430年、ゲルマン民族はジブラルタル海峡を渡り北アフリカに侵入してきたとき、アウグスティヌスは75年の生涯を閉じる。

アウグスティヌスが影響を受けた古代ギリシアやヘレニズムの哲学は、皮肉なことに、529年、東ローマ帝国のユスティニアヌス帝の時、異教としてキリスト教世界から追放されてしまう。また、神の国を目指した教会もまた、世俗の垢にまみれていくことになる。
これを回復するには、十字軍によって古代ギリシアの知識が入りラム世界から逆輸入され、トマス・アクィナスが『神学大全』を著すまで待たなければならなかった。
この時代の世界
参考書籍
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神の国 1 | ||
著者 | アウグスティヌス/服部 英次郎/藤本 雄三 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1982年03月16日頃 | ||
価格 | 1,243円(税込) | ||
ISBN | 9784003380536 | ||
![]() |
神の国 2 | ||
著者 | アウグスティヌス/服部 英次郎/藤本 雄三 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1982年12月16日頃 | ||
価格 | 1,177円(税込) | ||
ISBN | 9784003380543 | ||
![]() |
神の国 3 | ||
著者 | アウグスティヌス/服部 英次郎/藤本 雄三 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1983年07月18日頃 | ||
価格 | 1,067円(税込) | ||
ISBN | 9784003380550 | ||
![]() |
神の国 4 | ||
著者 | アウグスティヌス/服部 英次郎/藤本 雄三 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1986年06月16日頃 | ||
価格 | 1,320円(税込) | ||
ISBN | 9784003380567 | ||
![]() |
神の国 5 | ||
著者 | アウグスティヌス/服部 英次郎/藤本 雄三 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1991年04月16日頃 | ||
価格 | 1,320円(税込) | ||
ISBN | 9784003380574 | ||
永遠の教示に富む偉大な歴史哲学の書『神の国』全22巻。その最後の、そうして最も重要な主題が本冊所収の19〜22巻でとりあげられる。主題とは「神の国」と「この世の国」という2つの国の相異なった目的と終極であり、神の愛に根ざした静穏な秩序と平和の共同体の理念が描き出されるのである。事項索引を付した。 | |||
![]() |
告白 (上) | ||
著者 | アウグスティヌス,A./服部 英次郎 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1976年06月16日頃 | ||
価格 | 990円(税込) | ||
ISBN | 9784003380512 | ||
![]() |
告白 (下) | ||
著者 | アウグスティヌス,A./服部 英次郎 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1976年12月16日頃 | ||
価格 | 924円(税込) | ||
ISBN | 9784003380529 | ||
(この項おわり)
アウグスティヌスは、254年、ローマの属州であった北アフリカの小さな村タガステで産まれた。母親な熱心なキリスト教徒だったが、父親は異教徒だった。
16歳の時、アフリカのローマと言われるカルタゴに移り住み、とある女性と同棲し、私生児をもうけ、マニ教に入信する。彼は後に『告白』で、「私は肉欲に支配され荒れ狂い、まったくその欲望のままになっていた」と述懐している。