西暦1265年 - トマス・アクィナスの『神学大全』

キリスト教とアリストテレス哲学の融合
トマス・アクィナス
トマス・アクィナス
1265年、イタリアに生まれ、ドミニコ会修道士からパリ大学教授となったトマス・アクィナスは、キリスト教とアリストテレス哲学の融合を目指した『神学大全』の執筆に取りかかる。

トマス・アクィナスが生きた時代、十字軍の遠征をきっかけに、アラブ世界の文物がヨーロッパに流入していた。ローマ教皇による度重なる禁止令にも関わらず、それらをとどめることはできなかった。
そのなかにギリシア哲学も含まれており、トマスは、こうした思想とキリスト教信仰の調和をはかるために、アヴィケンナやアヴェロエスの著作を読んで研究を続けた。
たとえばトマスは、毎日昼と夜が交替するのは、太陽や月などの付着するいくつかの天球が地球の周りを回っているからだと説明した。そして、巨大な天球が動かす力の源は神であると証明した。
こうしてアリストテレス学説と結びついたキリスト教の宇宙観は、天動説として揺るぎないものとなった。

5世紀、ギリシア哲学を異端としてキリスト教圏から追放したアウグスティヌスの時代、人間の自由意志は原罪と考えられており、神への愛が救済の道と考えられていた。これはその後のキリスト教世界の基盤となる考え方となった。
しかしトマスは、アリストテレス哲学を受け容れ、自由意志である理性をもって自然を探求することは、神の神秘と対話することに他ならないと考えた。そして、理性だけで世界の理を知ることはできず、彼は「恩寵は自然を完成させる」と説いた。

この時代の世界

1175 1200 1225 1250 1275 1300 1325 1350 1265 1274 『神学大全』の執筆 1225 1274 トマス・アクィナス 1273 ルドルフ1世の即位 1218 1291 ルドルフ1世 1228 1254 コンラート4世 1254 1273 大空位時代 1255 1308 アルブレヒト1世 1235 1303 ボニファティウス8世 1264 1314 クレメンス5世 1254 1324 マルコ・ポーロ 1268 1314 フィリップ4世 1275 1313 ハインリヒ7世 1214 1294 ロジャー・ベーコン 1214 1270 ルイ9世 1298 「東方見聞録」出版 1303 アナーニ事件 1265 1321 ダンテ 1241 ワールシュタットの戦い 1239 1299 ラームカムヘーン 1279 ラームカムヘーンが即位 1254 1324 マルコ・ポーロ 1215 1294 フビライ 1271 元の建国 1243 キプチャク汗国の成立 1260 イル汗国の成立 1271 1304 ガザン 1250 マンスーラの戦い 1223 1277 バイバルス 1218 1265 フラグ 1299 オスマン帝国建国 1258 1326 オスマン1世 1209 1259 モンケ 1234 1282 アバカ 1249 1318 ラシード・アッディーン 1222 1282 日蓮 1239 1289 一遍 1251 1284 北条時宗 1274 文永の役 1281 弘安の役 1232 御成敗式目 1227 1263 北条時頼 Tooltip

参考書籍

表紙 神学大全I
著者 トマス・アクイナス/山田晶
出版社 中央公論新社
サイズ 新書
発売日 2014年07月
価格 2,145円(税込)
rakuten
ISBN 9784121601483
 
表紙 トマス・アクィナス――理性と神秘
著者 山本芳久
出版社 岩波書店
サイズ 新書
発売日 2017年12月
価格 946円(税込)
rakuten
ISBN 9784004316916
西洋中世において最大の神学者であり哲学者でもあるトマス・アクィナス(一二二五頃ー一二七四)。難解なイメージに尻込みすることなく『神学大全』に触れてみれば、我々の心に訴えかけてくる魅力的な言葉が詰まっていることに気づく。生き生きとしたトマス哲学の根本精神の秘密を、理性と神秘の相互関係に着目して読み解く。
 
(この項おわり)
header