広島電鉄は路面電車日本一

2006年7月24日・2019年12月31日 撮影
千田車庫 - 広島電鉄
2006年7月24日 千田車庫 写真:ままぱふぅ
広島電鉄(通称「広電」、本社:広島県広島市中区東千田町二丁目9番29号)は、広島市を中心に路面電車と路線バスを運行している。路面電車は、鉄道線の部分と合わせて総延長35.1キロを保有しており、1日の輸送人員や約16万人で、ともに路面電車として日本一である。
千田車庫 - 広島電鉄の大きな写真大きな写真
(1920×1352 ピクセル, 1780 Kbyte)
広島の路面電車
われわれ観光客にとって、宮島線とフェリーを含む「一日乗車乗船券」が大人840円・子供420円というのはありがたい。
広島の路面電車の大きな写真大きな写真
(1920×1864 ピクセル, 1379 Kbyte)
広島の路面電車
路面電車は、かなり狭い路地へも入っていく。背の低いビルの隙間をぬって路面電車が往来する姿は、高度経済成長記に育ったわれわれの原風景であり、とても温かみを感じる。
次世代都市交通機関とか、LRT(ライトレール)とか、難しい理屈はさておき、自動車より安くて便利な交通機関があったら、人はそれを利用するだろう。
広島の路面電車の大きな写真大きな写真
(1920×1363 ピクセル, 1403 Kbyte)

交通アクセス

広島市内では路面電車が数珠繋ぎになっており、それぞれお客さんで満席である。
東京の路面電車が、自動車による交通渋滞と累積赤字の結果、縮小してしまったことを考えると、なぜ経営が成り立っているのが不思議である。

じつは、モータリゼーションが盛んになった1960年代、広島の路面電車も時代遅れの烙印を押され、路線廃止が検討されたことがある。ところが、当時の広島電鉄電車部長だった奥窪央雄さんが「地下鉄など代替交通手段がない状態での廃止は市民に対して無責任だ」と主張、辛くも廃止を免れた経緯がある。
広島港 - 広島電鉄
2019年12月31日 広島港 写真:こぱふぅ
その後、交通渋滞に悩んでいた広島県警と協力体制を確立し、軌道内停車禁止ゾーンの設置や電車優先信号システムの導入など、路面電車の地位を確立していった。また、広島市には公共交通部門がないため、市としても広島電鉄をバックアップしていくという体制が出来上がっていった。
広島港 - 広島電鉄の大きな写真大きな写真
(2560×1707 ピクセル, 2231 Kbyte)
八丁堀付近 - 広島電鉄
2019年12月31日 八丁堀付近 写真:こぱふぅ
民間企業ならではの戦略もある。
1997年(平成9年)、運賃を130円から150円に値上げしたのだが、その2年後に超低床車両「グリーンムーバー」を導入するなど、本格的な LRT 化へ舵を切った。
八丁堀付近 - 広島電鉄の大きな写真大きな写真
(1920×1280 ピクセル, 1254 Kbyte)
もみじ饅頭の自販機
2019年12月31日 もみじ饅頭の自販機 写真:こぱふぅ
2006年(平成18年)現在、市内線運賃は大人150円、子供80円均一で、他の系統への乗換の際に広島地区共通カードで利用すれば、乗り換え処理も自動でやってくれる。大人1人につき同伴の幼児を3人まで無料にしたり、障害者の介助者2人までを無料にするなどの特典がある。

こうした経営努力が実り、市内線の営業係数(100円の運賃収入を得るために必要な経費)は87.4円(東洋経済、2010年(平成22年)4月3日号)と、路面電車としては優等生である。
路面電車は、一人の運転手で運ぶことができる乗客数が少ないため、経営面で考えると効率が悪いのだ。そんな中、広島電鉄は頑張っている方である。
もみじ饅頭の自販機の大きな写真大きな写真
(1182×1920 ピクセル, 827 Kbyte)
路面電車が再評価されている。
マイカーが普及した昭和期、道路の渋滞を招く存在だとして廃止が相次いだ。大阪市電は大阪万博を前にした1969年(昭和44年)に全廃、京都市電も1978年(昭和53年)に姿を消した。だが近年、環境面や交通渋滞・事故による脱モータリゼーション、少子高齢化や訪日外国人増加による公共交通機関の必要性といった観点から注目を集めている。
広島電鉄では、2025年(令和7年)に広島駅の駅ビル建て替えに連動して、電停も地上から高架化する計画を立てた。改札からそのまま階段を下りずに乗り換えができるようになる。
広島電鉄 関連

近隣の情報

(この項おわり)
header