メタボリックシンドローム 2026年版

2026年4月27日 作成

小麦粉や米粉でなぜ太るのか

炭水化物中心の食事をする太った男性
大阪公立大学大学院の研究グループは、マウスによる実験で、主食として日常的に食べられているパンや小麦粉、米粉への偏った摂取が、食べ過ぎていなくても体重増加や代謝異常を引き起こす可能性を2026年(令和8年)1月に研究報告した。

「パンは太りやすい」「炭水化物は控えるべき」といった通説は広く知られているが、それが食品そのものの性質によるものなのか、嗜好性や食行動の変化によるものなのかは、これまで明確ではなかった。
そこで研究グループは、栄養バランスの整った標準飼料に加えて、パンや小麦粉、米粉を自由に選んで食べられるようにした環境をマウスに用意し、体重変化、エネルギー消費量、血液中の代謝物、肝臓における遺伝子の働きを解析した。
その結果、マウスはパンや小麦粉を好んで食べるようになり、栄養バランスの整った標準飼料はほとんど口にしなくなった。そして、体重も脂肪の量も明らかに増加した。摂取カロリーの合計が大きく増えていなくても、小麦粉を摂取した場合は体重が増加する可能性が示唆された。体重増加の背景には食べ過ぎではなくエネルギー消費量の低下が示された。

一方で、小麦粉の摂取を中止すると体重増加や代謝異常は速やかに改善した。偏った食生活からバランスのとれた食事に切り替えれば、体重は比較的容易にコントロールできる可能性が示唆された。
一方、同じ実験を米粉で行ったところ小麦粉と同様に体重増加が生じており、これは小麦特有の現象ではなく、高炭水化物食品に偏って食べること自体が体重増加を招いている可能性も見込まれる。
Wheat Flour Intake Promotes Weight Gain and Metabolic Changes in Mice:Molecular Nutrition & Food Research, 2026年1月

メタボと嗅覚、認知機能を結ぶ新仮説

米国の研究者は2026年(令和8年)8月、メタボリックシンドローム、嗅覚の低下、睡眠障害、認知機能の低下を結び付ける仕組みを整理したレビュー論文を発表しました。アルツハイマー病やパーキンソン病では、物忘れや運動障害が現れる何年も前から、においを感じにくくなることがあります。

脳には、睡眠中などに不要な物質を洗い流す「グリンパ系」と呼ばれる仕組みがあります。脳脊髄液の一部は鼻の奥にあるリンパ管を通って排出されます。論文は、メタボに伴う高血圧、糖尿病、肥満などで鼻の血管が広がり、血液がたまると、近くのリンパ管が圧迫される可能性を指摘しています。
リンパの流れが妨げられると、脳の老廃物を排出しにくくなり、嗅覚の低下や有害なたんぱく質の蓄積を経て、認知症などの神経疾患につながるのではないか、というのが研究者の提案です。メタボリックシンドロームは、パーキンソン病の発症リスクを約24~40%高めるとの研究や、認知症やアルツハイマー病の認知機能低下との関連も報告されています。

ただし、この一連の仕組みは仮説であり、因果関係が証明されたわけではありません。人での脳脊髄液の排出経路には未解明な点があり、鼻の血管拡張から認知機能低下までを長期的に追う研究が必要です。論文は、嗅覚検査と、血圧・血糖・脂質・BMIなどの代謝リスクの確認を組み合わせることが、神経疾患の早期発見に役立つ可能性を示しています。

参考サイト

(この項おわり)
header