概要

トレヴィズ「銀河系の人々が地球に関心を抱いて以来、いまではもう何千年もたぶん2万年くらい――たっているとしても、一人残らず自分の発祥の惑星を忘れてしまうなんてことが、いったいありうるだろうか?」(21ページ)
あらすじ
一行は惑星コンポレロンに上陸した。
ターミナスの若い議員ゴラン・トレヴィズはミッザ・リザラー大臣と一夜を共にしたが、地球を話題にした途端、リザラーは人差し指と中指を交差させて、両手を挙げた。コンポレロンでは地球を〈最古の世界〉と呼び、その研究をしているヴァジル・デニアドールを紹介された。
デニアドールは地球の位置を知らなかったが、地球を出発した宇宙植民者の最初のグループ〈スペーサー〉、それに続くグループ〈セツラー〉が建設した〈ベイリ・ワールド〉がコンポレロンだという古文書があるという。デニアドールは、〈スペーサー〉世界の宇宙座標の幾つかを教えてくれた。

一行が上陸した最初の惑星はオーロラといった。居住可能な惑星だったが、人間はいなかった。歴史学者ジャノヴ・ペロラットは、ロボットとみられる物体を発見した。それは一瞬だが、機能した。
次に上陸した惑星はソラリアといった。そこには多くのロボットが働いており、銀河語を話せるソラリア人サートン・バンダーが現れた。バンダーは、あっという間に一行を無力化した。
ターミナスの若い議員ゴラン・トレヴィズはミッザ・リザラー大臣と一夜を共にしたが、地球を話題にした途端、リザラーは人差し指と中指を交差させて、両手を挙げた。コンポレロンでは地球を〈最古の世界〉と呼び、その研究をしているヴァジル・デニアドールを紹介された。
デニアドールは地球の位置を知らなかったが、地球を出発した宇宙植民者の最初のグループ〈スペーサー〉、それに続くグループ〈セツラー〉が建設した〈ベイリ・ワールド〉がコンポレロンだという古文書があるという。デニアドールは、〈スペーサー〉世界の宇宙座標の幾つかを教えてくれた。

一行が上陸した最初の惑星はオーロラといった。居住可能な惑星だったが、人間はいなかった。歴史学者ジャノヴ・ペロラットは、ロボットとみられる物体を発見した。それは一瞬だが、機能した。
次に上陸した惑星はソラリアといった。そこには多くのロボットが働いており、銀河語を話せるソラリア人サートン・バンダーが現れた。バンダーは、あっという間に一行を無力化した。
「わたしが現在の状況で最善をつくしてあなたさまをここにお連れしたのは、もっとずっとせっばつまった事情のためです。わたしは死にかけております」(361ページ)
あらすじ
ソラリア人サートン・バンダーは、〈スペーサー〉の歴史を語った。ソラリア人は遺伝子を調整し、ひとつの身体に男性と女性の両方の本質を組み込んで全人になったという。そして、熱をエネルギー変換器官を介して機械的エネルギーに変換したり、精神力変換作用によってロボットを使役しているという。
バンダーはゴラン・トレヴィズ一行を殺そうとするが、ブリスの能力で生き延びた。一行はソラリア人の子供ファロムを連れ、ソラリアを出発した。
3番目に訪れた惑星メルポメニアは死の惑星だった。廃墟から残り47の〈スペーサー〉の座標を発見した。
次に一行が訪れたのはアルファだった。広大な海原の真ん中に〈新しい地球〉と呼ばれる島があった。

そして、ついに地球に辿り着いた。地球は放射能に覆われており、細菌もウイルスも死滅していた。
ファースター号が地球の周りをめぐる巨大な衛星〈月〉へ降下していくと、流暢な銀河標準語を話す男性が一行を歓迎した。「友情をもって、皆さんにご挨拶します」――彼は2万年もの間、稼働しているロボットだった――。
バンダーはゴラン・トレヴィズ一行を殺そうとするが、ブリスの能力で生き延びた。一行はソラリア人の子供ファロムを連れ、ソラリアを出発した。
3番目に訪れた惑星メルポメニアは死の惑星だった。廃墟から残り47の〈スペーサー〉の座標を発見した。
次に一行が訪れたのはアルファだった。広大な海原の真ん中に〈新しい地球〉と呼ばれる島があった。

そして、ついに地球に辿り着いた。地球は放射能に覆われており、細菌もウイルスも死滅していた。
ファースター号が地球の周りをめぐる巨大な衛星〈月〉へ降下していくと、流暢な銀河標準語を話す男性が一行を歓迎した。「友情をもって、皆さんにご挨拶します」――彼は2万年もの間、稼働しているロボットだった――。
レビュー
本書は、アシモフの銀河帝国興亡史の最も遠い未来を描いた作品である。アシモフのロボット・シリーズの登場人物の名前を“2万年”ぶりに目にし、懐かしさで涙腺が緩んでしまった。
このあとに続く『ファウンデーションの誕生』『ファウンデーションへの序曲』は、第1作より前の時代を描いている。アシモフは、この先の未来史を描くことなく、1992年に他界する。

本書のタイトルから、竹宮惠子の漫画『地球へ…』を思い出した。こちらは1977年の作品。人類は、環境破壊された地球を離れ、マザーコンピュータによる完全な管理の下、銀河へ植民してゆく。そんな中、超能力を備えた新人類ミュウの一団が地球へ帰還しようとする――『地球へ…』のマザーコンピュータや、銀河帝国のロボットには悪意がない。悪意はないけれど、私たち人類の選択を狭めている。
だからこそ、人類は故郷に戻り、自分たちの立ち位置を確認し、そこで正しい選択を行わなければならない――。

さて、前作『ファウンデーションの彼方へ』の最後で「ガラクシア」を選んだ主人公トレヴィズの決断について、初めて読んだ34年前も今も、私には釈然としないものがある。うまく言葉にできないのだが、「ガイア理論」を受け入れがたいという気持ちがある。
ただ、21世紀に入ってもなお、私たちの生活、考え方はアシモフの死者の手の上で踊らされているというのも、また事実である。ガラクシアという概念も、もしかしたら‥‥〈スペーサー〉ファロムから目を逸らした主人公トレヴィズが、銀河系外宇宙に目を向けたことに、いまの私は得心がいった――。
このあとに続く『ファウンデーションの誕生』『ファウンデーションへの序曲』は、第1作より前の時代を描いている。アシモフは、この先の未来史を描くことなく、1992年に他界する。

本書のタイトルから、竹宮惠子の漫画『地球へ…』を思い出した。こちらは1977年の作品。人類は、環境破壊された地球を離れ、マザーコンピュータによる完全な管理の下、銀河へ植民してゆく。そんな中、超能力を備えた新人類ミュウの一団が地球へ帰還しようとする――『地球へ…』のマザーコンピュータや、銀河帝国のロボットには悪意がない。悪意はないけれど、私たち人類の選択を狭めている。
だからこそ、人類は故郷に戻り、自分たちの立ち位置を確認し、そこで正しい選択を行わなければならない――。

さて、前作『ファウンデーションの彼方へ』の最後で「ガラクシア」を選んだ主人公トレヴィズの決断について、初めて読んだ34年前も今も、私には釈然としないものがある。うまく言葉にできないのだが、「ガイア理論」を受け入れがたいという気持ちがある。
ただ、21世紀に入ってもなお、私たちの生活、考え方はアシモフの死者の手の上で踊らされているというのも、また事実である。ガラクシアという概念も、もしかしたら‥‥〈スペーサー〉ファロムから目を逸らした主人公トレヴィズが、銀河系外宇宙に目を向けたことに、いまの私は得心がいった――。
(2020年8月12日 読了)
アイザック・アシモフの作品紹介
発表年 | 作品名 |
---|---|
1950年 | われはロボット |
1951年 | 銀河帝国興亡史1 ファウンデーション |
1952年 | 銀河帝国興亡史2 ファウンデーション対帝国 |
1953年 | 銀河帝国興亡史3 第二ファウンデーション |
1954年 | 鋼鉄都市 |
1955年 | 永遠の終り |
1957年 | はだかの太陽 |
1959年 | 停滞空間 |
1976年 | 聖者の行進 |
1982年 | 銀河帝国興亡史4 ファウンデーションの彼方へ |
1983年 | 夜明けのロボット |
1985年 | ロボットと帝国 |
1986年 | 銀河帝国興亡史5 ファウンデーションと地球 |
1988年 | 銀河帝国興亡史6 ファウンデーションへの序曲 |
1992年 | 銀河帝国興亡史7 ファウンデーションの誕生 |
2000年 | アンドリューNDR114 |
(この項おわり)
トレヴィズは歴史学者ジャノヴ・ペロラットと、ガイアの女性ブリスとともに、ファースター号に乗って地球探索の旅へ出発した――。