次回もアイデアが浮かばないことを確実にする方法

アイザック・アシモフ
アイザック・アシモフ
Isaac Asimov (アイザック・アシモフ) (1920年1月2日 - 1992年(平成4年)4月6日)

アメリカ合衆国の生化学者(ボストン大学教授)・作家。その著作は500冊以上を数える[2]。彼が扱うテーマは科学、言語、歴史、聖書など多岐にわたる。特にSF、一般向け科学解説書、推理小説によってよく知られている。

発言日:1959年

場面

アシモフはエッセイ「How Do People Get New Ideas ?」の中で、新しいアイデアを生み出すには「1つの特定分野に精通しているだけでなく複数の事象に関係性を見いだすことが必要」と説いている。
たとえば、進化論を体系化したチャールズ・ダーウィンやアルフレッド・ウォレスは、植物や動物を観察したり環境による種の変化に注目し、トマス・ロバート・マルサスの「人口論」で語られた人口過剰や淘汰という考え方を自然界にも適用したという。つまり、生物や種に関する知識だけでなく、人口統計学的な知識があったことで、「進化論」という新しいアイデアを生み出すことができた、とアシモフは考えていたわけだ。

また、「新しいアイデアは、最初こそ不合理なものとみなされますが、時間が経過と共に合理なものと考えられるようになっていく」と記している。世界に影響を与えるような素晴らしいアイデアを生み出す人は、世間一般的に見ると変な人とみられるため、「自分のアイデアは合理性や常識を打ち破れるんだ」という自信を持っているという。

アイデアを生み出すには一人になるということが必要になる。他の人が近くにいると、斬新なアイデアを生み出す人の創造力を散漫にさせてしまい、思考プロセスの邪魔になることがある」と記しているが、時には他人の考え方を取り入れることで、それまでには考えもつかなかったことを思いつくこともあるとしている。「新しいアイデアを思いつくのを補助するというよりは、他人といることで思考を鍛えることができる」ためだからだ。
仕事に対する責任感は、新しいアイデアを生み出しにくくするという。
だから、ミーティングのような多くの人が参加する場において新しいアイデアを生み出すには、一人一人が他の人の意見を否定しないことが求められる。参加料を、できるだけ無料にすることも、参加者がリラックスして新しいアイデアを思いつくきっかけになるだとうという。
そこで、次のような内容を記載して読者に注意喚起している。
To feel guilty because one has not earned one’s salary because one has not had a great idea is the surest way, it seems to me, of making it certain that no great idea will come in the next time either.
素晴らしいアイデアが浮かばなかったために給料を稼げなかったと罪悪感を抱くことは、次回も素晴らしいアイデアが浮かばないことを確実にする最も確実な方法であるように私には思えます。
Isaac Asimov Asks, “How Do People Get New Ideas?”」(MIT Technology Review,2014年10月20日)

アイザック・アシモフの作品紹介

発表年 作品名
1950年われはロボット
1951年銀河帝国興亡史1 ファウンデーション
1952年銀河帝国興亡史2 ファウンデーション対帝国
1953年銀河帝国興亡史3 第二ファウンデーション
1954年鋼鉄都市
1955年永遠の終り
1957年はだかの太陽
1959年停滞空間
1976年聖者の行進
1982年銀河帝国興亡史4 ファウンデーションの彼方へ
1983年夜明けのロボット
1985年ロボットと帝国
1986年銀河帝国興亡史5 ファウンデーションと地球
1988年銀河帝国興亡史6 ファウンデーションへの序曲
1992年銀河帝国興亡史7 ファウンデーションの誕生
2000年アンドリューNDR114
(この項おわり)
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