
マクスウェル

マクスウェルの悪魔
上図のように、中央にドアが付いた2つの部屋がある。ドアを開け放しにして、2つの部屋の温度は均一になっているものとする。すなわち、エントロピーが大きな状態である。
部屋の温度は空気分子の運動としてあらわれるが、この運動を観測できる悪魔がドアの前に立っており、運動の速い(温度が高い)分子が来たらドアを開け、遅い分子が来たらドアを閉める操作する。こうすることで、2つの部屋の温度を変えることができる。つまり、この悪魔はエントロピーを減少させることができる。

この問題は100年にわたって科学者を悩ませることになる。もしマクスウェルの悪魔の存在を許せば、熱力学第二法則が崩れ、永久機関が実現できてしまうからだ。
20世紀に入り、情報科学が発展すると、観測によってエントロピーが増大することが分かってきた。厳密には、観測したデータを消去するときにエントロピーが増大する。
こうして、もしマクスウェルの悪魔が実在したとしても、エントロピーは減少しないし、熱力学第二法則は保たれるという。
21世紀に入り、半導体技術と微細加工技術を組み合わせることで、マクスウェルの悪魔を実現させている。このことは、情報をエネルギーに変換できることを示している。

10代半ばには数学の才能を開花したマクスウェルは、天性の実験センスで真理を嗅ぎ分けながら数学を学ぶ機会に恵まれなかったファラデーに代わり、彼の一連の実験を体系化していった。
1865年、マクスウェルが発表した論文「電磁場の動力学的理論」では、ファラデーの電磁誘導とエールステッドの電流の磁気作用、およびそれらに関連する補足条件を使い、電磁場を記述するマクスウェル方程式を導き出している。マクスウェルはその後も電磁気学の理論を体系化し、1873年、その集大成とも言うべき『電気磁気論』を刊行する。
こうしてニュートン力学とマクスウェル電磁気学が出揃うのだが、両者の間に横たわる不整合に気づいたアインシュタインは、1905年に特殊相対性理論を発表することになる。
部屋の温度は空気分子の運動としてあらわれるが、この運動を観測できる悪魔がドアの前に立っており、運動の速い(温度が高い)分子が来たらドアを開け、遅い分子が来たらドアを閉める操作する。こうすることで、2つの部屋の温度を変えることができる。つまり、この悪魔はエントロピーを減少させることができる。

この問題は100年にわたって科学者を悩ませることになる。もしマクスウェルの悪魔の存在を許せば、熱力学第二法則が崩れ、永久機関が実現できてしまうからだ。
20世紀に入り、情報科学が発展すると、観測によってエントロピーが増大することが分かってきた。厳密には、観測したデータを消去するときにエントロピーが増大する。
こうして、もしマクスウェルの悪魔が実在したとしても、エントロピーは減少しないし、熱力学第二法則は保たれるという。
21世紀に入り、半導体技術と微細加工技術を組み合わせることで、マクスウェルの悪魔を実現させている。このことは、情報をエネルギーに変換できることを示している。

10代半ばには数学の才能を開花したマクスウェルは、天性の実験センスで真理を嗅ぎ分けながら数学を学ぶ機会に恵まれなかったファラデーに代わり、彼の一連の実験を体系化していった。
1865年、マクスウェルが発表した論文「電磁場の動力学的理論」では、ファラデーの電磁誘導とエールステッドの電流の磁気作用、およびそれらに関連する補足条件を使い、電磁場を記述するマクスウェル方程式を導き出している。マクスウェルはその後も電磁気学の理論を体系化し、1873年、その集大成とも言うべき『電気磁気論』を刊行する。
こうしてニュートン力学とマクスウェル電磁気学が出揃うのだが、両者の間に横たわる不整合に気づいたアインシュタインは、1905年に特殊相対性理論を発表することになる。
この時代の世界
参考書籍
(この項おわり)
この悪魔は、熱力学第二法則で不可能としているエントロピー減少を行うことができるものだが、100年にわたる研究の末、ようやく悪魔が存在してもエントロピーは減少しないことが確かめられた。